死して始まる物語 Hello world
…皆さんは、自分で何かを成し遂げたり何かを自らの力で何かを生み出した経験は、あるだろうか?
あるいは、
それを成し遂げる努力をしている途中かもしれない。
どんな小さなものでもいいあるのであれば、
それはとても素晴らしいことだ。誇っていい
胸を張っていい私はそんなふうに生きられる人が大好きだ。
それがたとえ初めての思い描いたものからどんなにかけ離れていても。
そしてここでも今も頑張っている人がいる。
とある学校の部室そこには、1人の青年が目の前のパソコンに映っている英語や数字日本語などがごっちゃになった文字の羅列を見つめながら、
着ている制服を着崩し頭を掻きながら手元にある
キーボードで目の前のを文字たちを打ち直し続けている。
周りを見るといろいろな本や資料なのか英雄譚、護身術、プログラミングの本などが散らかっている。
青年は、髪は耳にかからない程度に短い黒のショートカット身長は170くらい鍛えているのか体つきはよく体力がありそうに見えるが、
今は寝不足なのか目の下に隈が出来ており頭痛がするのか頭がフラフラ揺れている。
何時間も動かしていた手が不意に止まり、
何度めかもわからない最終確認を行う
目の前のプログラムがきちんと機能し、
様々なキャラクターが動き出したのを確認して、
大きく口を開くと、
「間に合ったーーーーーーーーー!!!!!」
と満面の笑みを浮かべながら青年は歓喜の声を出した。
「さてどうする?一度始めからプレイしてみるか?
いやその前にこの完成品をきちんと保存しなければ!」
そう言って目の前に残った作業に目を向ける。
今は先程まで味わっていた頭を刺すような痛みも感じない。
そう今の自分は絶好調だ。ゲームを作る前よりも作り終わって
目の前の自分の作品をどうするかを考える時がやはり一番ワクワクするとゆうもの。
「さてでは、保存もきちんと出来たようだし始めるか!」
そう言って始めようとした瞬間、目の前の扉が勢いよく開かれた。
「うるさいですよ!土屋センパイ!」
そう言ってある女の子が部屋に入ってきた。
髪は少し茶色がかったボブ
背は低めで150cmくらい
部室に入り周りを見渡したかと思うと散らばった本や
資料を抱え、テキパキと周りの掃除を始めながら
「もうこんなに散らかして」
と頬を膨らませながら怒っていた。
その仕草も相まって何処かリスのような可愛いらしさがある。
このサークル二人のうち1人の笏賀結衣花が忙しなく動くのをみて
「あれ?笏賀って。なんかうちの高校の文化祭の出し物練習とかで部活参加何日かできないって話じゃなかったっけ?」
「今日も練習はしてきましたよ。でも早めに切り上げました。最近こっちに来れませんでしたしね。センパイが無理してないかみておきたいと思ってましたし」
その言葉に少し驚く笏賀はそんな理由でわざわざ忙しいだろうに部室に来てくれたようだ。
「センパイもクラスメイトの人が去年みたいに手伝って欲しいって言ってましたよ。気分転換に行って来てわ?最近休んでないでしょう?息抜きもしないと」
「それはそうだが...」
確かに最近いろいろ立て込んでいて少し無理をしていた。やるべきことをしていただけだがそれで倒れでもしたら元も子もない
「そうだな確かに、笏賀の言う通りだな。
少しあとで休むことにするよ。まあ4時間も眠れば十分だろう。」
「センパイそれは休むって言いません!というかそれなら今日何時間寝てたんですか?」
「え?」
「...寝てないんですね」
ため息をつく後輩の姿をみてそんなにやばいだろうか
と考えつつ自分も掃除に参加する自分で散らかしたのだから、笏賀だけにまかしておくわけにはいかない。
そんな調子で掃除すること数十分。ようやくひと段落ついた頃
「いやほんとありがとうあとで飲み物奢ってあげるよ。」
「そうですか?なら遠慮なく、あれとゆうかゲームできたんですか?先輩の話だとまだもう少しかかりそうってきいてたはずですけど・・」
そう言って先程まで俺が触っていたパソコンを見ていた。
「あーいや一回やり始めるとさ、なかなかやめ時が、
それでもう最後までやっちゃうかって」
「なるほどそれでそんなに目の下の隈がすごいことになってるんですねー」
「えっまじか」
「マジですよーほら」
笏賀がいつの間にか取り出した手鏡で俺の顔をみると
確かにすごい、いつもより髪はボサボサだし隈のせいで病人一歩手前みたいな顔になってしまっている。
「確かにこれはひどい」
鏡から目を離すと笏賀がパソコンの方を気にしている
いや気にしているのはゲームの方か
「やるかい?新作」
「はい!」
そう言った笏賀ちゃんの顔は先程まで怒っていたとは思えないほどの満面の笑みだった。
自分が作ったゲームは主にRPGと呼ばれるゲームだ。
主人公がモンスターと戦い仲間を集め
強大な敵に立ち向かっていく。
小さい頃やり込み遊び尽くしたゲームだ。
そしてこれは今まで自分が制作してきた中でもかなりの力を入れた。
それをこうして遊んでくれているクリエイターの端くれとしてとても嬉しい
それをあんな笑顔でやりたいと思ってくれることは
とても恵まれているとゆう物だ。
「どうここら辺は今までの敵の動きとかかなり改善させたんだけど」
「そうですねかなり良いと思います。私が用意した
素材もうまく使ってくれてますし」
「いつも助かっておりますそれでなんか直すとこある?俺まだ調整するけど」
「ウーン動きとかはかなりいいと思います。
ただ装備とかの名前なんですかデクスカリバーって
フツーに元ネタの名前のままでいいと思いますよ」
「いやーなんか俺のゲームで伝説を雑に扱いたくないなーと個人的には思うんだよ」
「センパイ英雄譚とか神話とか大好きですもんねー」
「....まあね」
そんな会話をしながら2人で一つのパソコンを見ながら意見を出し合う。
そうして第一ステージをクリアすると
「そういえばセンパイ今日はこの後どうされるんですか?」
笏賀ちゃんがゲームをプレイしながらそんな事を聞いてくる。
「ん?まあいつも通り今日も早めに終わるよ行かなきゃいけないとこあるしね」
「...そうですか」
そう言った笏賀ちゃんの表情は何故か悲しそうに見えて
「大丈夫?」
そうつい聞いてしまっていた。
「いえ、大丈夫ですよセンパイ」
気になり彼女の顔をよく見ようとするともう先ほどの悲しそうな顔はなく彼女は、パソコンに表示されている時間を指差して
「センパイそういえば今17時くらいですけどいつものとこ行かなくっていいんですか?」
「あーそうだな。ごめんこのパソコン持って行くけど良いか?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
時間を見て笏賀ちゃんの許可を取りパソコンを受け取りそろそろ出発するかと支度を始める。
「あっそうだ飲み物何がいい?今買ってこようか」
「飲み物はまた次の機会でもいいですよ。私はもう少しここにいます。やりたい事があるので」
「わかったじゃまた明日」
「はいセンパイまた」
そう言って慌ただしく部室を後にした少年を見送り
少女は部室にある先程整理した本の一冊を手にとる
「センパイ来てくれるかな....」
とどこか悲しようなそれでいて何かに期待するような
表情を浮かべ呟いた。