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出会い

ライン中等学院都市。

ここイスパニヤ王国に存在する世界最高峰の実力者たちが集う教育機関である。

この教育機関には授業が存在しない。まるで「学ぶ場は用意した。あとは好きにやれ。」とでもいうような場所である。世界から集められた豊富な知識を持つ優秀な研究者、多くの知識を蓄えた蔵書館。自ら学ぶことが求められた学院では、上位層と下位層で歴然とした差が存在する。

徹底された残酷なまでの実力主義。

学院に入ると20歳まで7年間暮らすことになる。半年に一度の試験で全生徒に順位がつけられ、それは学院内での優越を示すと共に、順位に応じた「チャブ」と呼ばれる通貨が支給される。 試験の内容は全て戦闘である。全生徒が試験会場に転移され、最後のワンパーティになるまで続く。学んだ内容が実践できない者はこの学院では生きていけない。好成績を残せば豪遊することができるし、悪成績ならば生活が苦しくなる。

この学院において実力のない者は生きていけないのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

辺りには静寂が満ちていた。

「おかしい」と、本能が警鐘を鳴らすのを感じながら、ルーグは一歩を踏み出す。

その瞬間ー

ーードゴォォォォン!!ーー

踏み出すはずだった場所に、攻撃魔術が降ってきた。 紙一重で交わすルーグをよそに、突然の襲撃者は更なる攻撃魔術を降らせる。

「打て、【雷鞭】」

その瞬間、ルーグの視界が青く染まる。

雷鞭。攻撃魔術の中でも、ハイレベルの殺傷力を持つ魔術。当たってしまえば、血液が沸騰し体が原型を留めないほど破裂する。さらに動脈に発生した気泡によりガス塞栓症と出血多量により苦しみながら死に至る。また、当たらずとも半径1メートル以内にいれば高圧電流が体を流れ、良くて戦闘不能、悪くて死に至る、というまさしく一撃必殺の魔術。

これだけの情報が一秒にも満たない速さでルーグの頭を駆け巡った。 襲撃者はルーグが死んだものと思い戦場に背を向ける。しかし、

「俺、まだ死んでないんだけど」

その一声は襲撃者の真後ろから響いた。

そう真後ろ。

襲撃者が振り向く前に、愛刀セニュオリスが閃く。

「3年のミリガン先輩でしたか。一本いただきました。」

入学してすぐの試験。

俺、ルーグ・アルバレストは無謀にもソロでこの試験な挑んでた。

試験ではどれだけ長く生き延びたかと、倒した敵の質と数によって順位が上がるこのシステムでは明らかにソロは不利であった。長く生き残るためには逃げる、あるいは戦って勝つという二つの選択肢があるが、パーティならばパーティとしての順位が出て、全員一律のチャブがもらえるし、何より協力して戦うため勝ちやすい。また、誰かが敵の気配に気づけば全員で対応できるので、みんなでカバーし合うことができる。 そのためほとんどの生徒は、パーティを組んでいた。

…… あぶれたわけではない。

決して、あぶれたわけではない…と思いたい。

入学してすぐトモダチ作りなど、できるわけがない。

ソロでは大人数パーティに太刀打ちできないので、同じソロや、少人数パーティを獲物に狩っていた。

「現在時刻は1日目の22時ちょうど。現在残っているのは全体の半分、といったところか。」

ルーグはひとり、会場の南西に位置する家屋の中にいた。

ソロであることで一つ困ることがあるとすれば見張り交代ができないから、安眠ができないところか。だからこそ常に気を張っていなければならない。ましてやここは学院都市。世の中にいるたくさんの才能を持った者が集まっている。いつ、どこから、攻撃が降ってくるかわからない。

特に、四年生を超えた先輩などに目をつけられてしまえば、負けはほぼ確実、となる。だからこそ察知されてはならないし、気を張らないとこの試験は生きていけないのーー

「侵入者か」

ルーグはこの家屋に入ってくる4人を察知していた。幸い、向こうはこちらに気づいていない。

仕掛けるなら、今だ。

セニュオリスを抜き物陰に隠れながら近づく。

もう少し、もう少しーー

侵入者のうちの1人との距離が2メートルになったタイミングでルーグは躍り出た。

まずは、リーダー格。 この位置から不意打ちをすれば絶対当たる。

ーーキィィィィンーー

リーダー格と思われる者がセニュオリスを二本の剣で受け止めていた。

女、だった。 黒く長いストレートの髪をアップでまとめ、戦闘が起きるといるのに鎧どころかTシャツ一枚しか着ていない。ジーンズを履いているがクラッシュだらけで、まるで普段着のような格好である。

しかしその腰には二本の剣の鞘が刺さり一般人とは絶対に思わない風貌をしている。

油断ならない。

俺が当たると確信した剣を、こいつは受け止めたのだ。 たった2メートルしかない距離で俺は瞬息の技を放った。

届くまでの時間は、0.2秒。


ーー化け物だーー

「あなたの名前を問います」

女は言った。

「1年のルーグ・アルバレストだ。そっちは?」

「私はパーティ【アルカンシェル】のリーダー、2年のヒメ・ロータスです。ルーグ・アルバレスト、私はあなたに降服を呼びかけます。あなたは包囲されている。」

「たった4人だ。なんてことはない。」

「あなたは勘違いをしている。私たちは4人パーティではない。包囲しているのは7人だ。」

無慈悲な宣告が俺にされた。

この化け物が指揮をとる7人パーティとまともに戦えば確実に負ける。故にー ー

ロータスの脚を蹴り、体制を崩す。そして追撃が来る前に窓から飛び出る。地面に着地して街の方へ向かおうとした瞬間、空から雨が降ってきた。

恐ろしい数の魔術の雨。

致死性の魔術「スファギ•ヴロビ」またの名を、「殺戮の雨」。その名の通り雨が触れた部位が破裂して血飛沫を上げる魔術。雨のように降ってくるため回避不能。まさしく、最強の魔術。こんなもんボンボン打たれたらたまったもんじゃない。現在の規模は、直径100メートル圏内と言ったところだが、もし、この試験会場全体を覆うことができるようになれば試験にもならず、彼女たちの一人勝ちになってしまう。どうやらこのパーティは、化け物の集まりのようだ。

しかし、俺にはセニュオリスがいる。

「【リリース・ダグーウェポン・ジ・ネームド・セニュオリス】」

セニュオリスにはしっていた亀裂に、青白い光が灯る。そして、ルーグはセニュオリスからダグーを引き出す。

「【エリオクシオール】」

ルーグの周りに半球のシールドが生まれた。

「スファギ・ヴロビ」はシールドに阻まれて決してルーグにたどりつくことはない。 魔術師の驚いた顔が、目に映る。ルーグは魔術師に向かって駆け出した。

「ユフィ、ミューズを守って!」

ロータスの声が聞こえる。すると、魔術師の後ろにいた剣士が姿を現した。

「【エスピリトゥ・クルス】」

女剣士のその言葉と共に放たれた斬撃がルーグに迫る。ルーグはその斬撃を避けずにシールドを張ったまま突っ切ろうとした。

しかし、

「...なに!!!」

その斬撃はシールドの一部を切り裂いた。 ルーグは、セニュオリスの「エリオクシオール」を切られるとは思っていなかった。

前方に、ミューズと呼ばれた「スファギ・ヴロビ」を使った魔術師とユフィと呼ばれた「エリオクシオール」を破った魔剣士、右手に長刀の女剣士と二刀持ちの男剣士、後方にロータス(二刀流剣士)、左手に能力不明の男、上空にこれまた能力不明の男。

詰み、という言葉が似合うような状況だが、意外にもルーグは落ち着いていた。

まずは魔術師。

どれだけ戦っても魔術師の力で回復されたり、援護攻撃されると長期戦になってしまう。 ソロである俺に長期戦に持ち込まれると九割九分九厘負ける。ならばーー

「【セルシュール】」

セニュオリスの能力で魔術師の真後ろへ疑似瞬間転移する。

「1人目」

セニュオリスが閃き魔術師の首を刎ねる。 誰一人としてルーグの動きについていけている者はいない。誰もが、囲んでいたはずなのにその場から消えたと思っただろう。何かに集中すればするほど他の事象に目が届かなくなる。

消えたルーグに目を奪われていた者たちは、魔術師が地面に倒れてから仲間がやられたことを知った。

「【セルシュール】」

右手にいた二人の剣士の目の前に躍り出る。

倒れた仲間に意識がいってしまい、二人は俺の出現に意識が追いついても体が追いつかない。

「2人目」

「3人目」

7人中3人を倒した。次はーー

「うぉぉぉぉお!」

左手の男が突っ込んでくる。 ルーグとしてはありがたかった。次に倒そうと思ったいた者が自分からやってきてくれるのだ。セニュオリスを正眼に構え、攻撃に備える。

「【グラン・レイ・ゼロ】」


一瞬なにが起きたのかわからなかった。

ルーグは地面に倒れていた。

突っ込んできた男の言葉でルーグの体から力が抜けてしまったのだ。

体に力が入らない。

逃げることも起き上がることすらできない。

「な、何をした!」

「貴様の命脈をゼロにしたんよの」

ルーグの問いに、男はそう答えた。

「命脈をゼロにすれば死なないわけないんよの」

「ちっ。そんなのチートじゃねえか」

「そんなに軽々しく使えんよの。敵が自分の仲間を3人倒したにつき1人に1回使えるとかいうゴミ魔術なんよの。」

「そうだったのか。お前、名は?」

「アルベド・リーベンシュタインよの」

「覚えておく」

そういってルーグは試験会場から退場した。 その時、ユフィと呼ばれた女魔剣士がこちらを見ていたことにルーグは気づかなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小鳥の囀りがあたりに響き所々で人の動く声が聞こえる。

「うぅーん」

部屋の中は日の光が重厚なカーテンに遮られ薄暗いが、カーテンの隙間から差し込む一筋の光。

その光に照らされる人影が一つ。 外の音とカーテンから漏れた光に起こされ、青い瞳を隠した瞼が開く。

少女の名前はユーフィリア・シリウス。パーティの仲間や親しい友人からは愛称でユフィと呼ばてれる。

「朝か…」

ユフィは少し眠そうな声でそう呟いた。 彼女はゆっくりとベッドから起き上がり、陽の光を遮っていたカーテンを開ける。窓から差し込む朝日は、部屋を温かく照らし、ユフィの銀髪をきらめかせた。

ユフィは寮の一人用の部屋に身を置いている。 部屋の中に広がる静寂と、外から聞こえる小鳥の歌声が穏やかな雰囲気を作り出していた。

しかしそんな穏やかな雰囲気をぶち壊すものが一人...

ドタドタドタドタタ… バタン!!!

「ユフィーーー!おはよーー!」

勢いよくドアを開けて入ってきたのは、昨日まであんなに凛々しかったヒメだ。 朝っぱらから騒音を出して、鍵がかかっていたはずのドアを無理やり開ける。 戦場でのヒメはとても頼りになるのだが、他は、まぁ…その…うん。そういうことだ。 当のヒメはユフィがそんなことを思っているなどわからはずもなく、ユフィに抱きついていた。

「うぅぅーん!朝のユフィ成分はやっばい格別ですなぁ。やっぱり今からでも2人部屋に変えて一緒に寝ようよぅー」

「ヒメおはよ。ずっと言ってるけど、嫌だって。それにハルトのこと忘れてない?ヒメの部屋もう2人部屋でしょう。」

「あぁ…忘れていたよぅ。私としたことが、うっかり?」

「側付きにしたのはヒメなんだから、ちゃんとしなよ。」

「大丈夫だよ。ハルはしっかりしてるし。」

「…そうゆー問題じゃぁないでしょ。」

「そうかな?」

抜けてる。 はっきりいって抜けすぎてる。 試験の後だからかもしれないがいつも以上に抜けてる。多分今日のヒメはまともに働かないだろう。

「はぁぁぁ。」

ため息がついつい漏れてしまう。

「ん?ユフィ悩み事?ため息すると幸せが逃げちゃうぞ?」

「あんたねぇ…はぁぁぁぁぁ。」

「ん?」

朝からこのお気楽物に絡まれてちょっぴり疲れてしまう。

「それじゃあ、試験の結果見に行こうか。」

「そうね。」

試験の結果は試験終了と共に即刻公開される。

今回の試験は11日と4時間18分で全ての試験が終了した。 基本的には長く試験を続けられた方が順位が高いが、倒した敵の質や量によってプラス点があるため一概には言えない。

学院の中央広場に浮かび挙げられた掲示板には全てのパーティあるいは個人の順位が公開されていた。

「うーーん…あった!学年順位2位だって!」

興奮したヒメの声を聞いて思わず私も喜ぶ。

「やった!全体順位は…72位だって!結構いい方じゃん!」

ちなみにビリは126位なので2年生としては結構上位に食い込んでいる。 1年生と2年生合わせて42グループあるのだから83位以上にいるということは、上級生を抜かしていることになる。 2年生の結果としては上出来なのでユフィはとても嬉しかった。

「となると、チャブは…(126-72)×1000000だから…5400万チャブ!」

ヒメの言葉にユフィも喜びを隠しきれない。

「今までで最高の金額だね!」

「半年で5400万だから…一ヶ月で900万かぁ。今日はみんなで少し贅沢しようか!」

「いいね、ヒメ!じゃあみんなを呼んでるよ。」

そのとき、ふと隣に戦場で見た顔が通り過ぎた。

「…ねえヒメ。あれ、アルバレストじゃない?」

「うん?どれ?」

「今隣を通り過ぎたの。」

「あぁ、そうだね。そう言えば順位はいくつなんだろう。」

「んーーと、え、嘘でしょ。」

ありえない。

そう思うような順位だった。

そんな気持ちに拍車をかけるように、アルバレストの独り言がした。

「まあまあの結果かな。次はこの結果を踏まえてパーティ選ばないとなぁ…」

まあまあ。

そんなのあり得ない。 だって彼は…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ルーグは普通の人よりも少し早起きだ。

朝早く目を覚まし、朝の静けさを楽しむことが多かった。 彼はゆっくりとベッドから体を起こし、窓から外を眺めた。町はまだ静かで、朝の活気が始まる前の時間帯。ルーグは少しの間、この平和な瞬間を楽しんでから、身支度を整え、街へと続く小道に歩み出した。 朝市が活気づく前の静かな街を歩くのは、彼にとって日課のひとつだった。 学院都市はひとつの大きな街を3つほど合わせたぐらいの大きさがある。 そんな学院都市を気の向くままに、歩く。 朝の少し冷たい空気を吸って吐く。 それだけで体の中の想子が洗われるように澄んでいく。 ただそれが心地よかった。 街が活気付くまで歩いた後、公開されている試験結果を見に行く。 ルーグは期待と緊張が入り混じった気持ちで中央の広場に向かった。広場は人々で賑わい、試験の成績が発表される掲示板の周りには多くの学生たちが集まっていた。

「ええーっと、俺はあった。学年順位が1位で全体順位が70位かぁ。」

まあ想像より少し高かったけど、妥当な線だと思う。

「まあまあの結果かな。次はこの結果を踏まえてパーティ選ばないとなぁ…」

そう言った瞬間、隣から肩を掴まれた。

「まあまあなわけないでしょ!おかしいじゃない。私たちの方があなたに勝ってあなたは私たちより先に退場したじゃない!どう考えてもおかしいでしょ!」

ルーグは急に肩を掴まれて怒声を撒き散らされたことに驚きを隠せずいた。しかし、 彼女と目があったとたんそんなことはどうでもよくなった。

綺麗だと、そう思った。

朝日に照らされて輝く銀色の髪。 こちらを見つめる澄んだ青い目。 背は157cmくらいか。 少し低い背にも関わらず、2つの膨らみは大きく主張している。 不健康に見えない程度に引き締まっていて腰回りは女性らしさを主張するように丸みを帯びている。 今でこそニットにパンツを履いて少しクールな感じでまとめているが、フェミニンな感じでまとめれば彼女の華やかさが一層極まるだろう。

「綺麗だな」

気づいたらそう呟いてしまった。

なぜそんなこと言ってしまったのかも、どうして口から出たのかもわからない。ただ、純粋に心から出てしまったのだ。

「は!はあぁぁあ!」

目の前の彼女は少し顔を赤くしながら驚きの声と共に後ずさる。 彼女は一瞬固まってしまい、ルーグが言った言葉にどう反応すべきかを探っているようだった。

「すみません、驚かせてしまって。気がついたら出てきてしまって。でも、本当に綺麗ですね。」

ルーグはついつい呟いてしまった失言を突き通すために、また褒める。正直恥ずかしいが、これでこの場が収まるならいくらでも言ってやる。

「え、えーと…その、突然ごめんなさい。ちゃんと挨拶するのははじめまして、かな?私はユフィ・シリウスといいます。」

「あ、俺はルーグ・アルバレストと言います。えーと、それで、すみません。なんの話でしたっけ。」

「えーと…。君、私の側付きになりませんか?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんなこんなで始まったルーグとユフィの同棲生活は、あくまで側付きとしてのものであり、同棲と聞いて連想する甘酸っぱい雰囲気は全くなかった。

「ルーグ!!早くでないと研究所遅れるよ!!」

「ふぁーい...」

朝7時に起きてウォルター・エバンス先生の研究所に向かう。12時半まで魔道具の研究を行って、2時までお昼休憩。お昼休憩が終わったら6時まで戦闘訓練。戦闘訓練が終わったら自由行動となる。が...

「スパルタだ...」

今日も1日のメニュー をなんとかこなしベッドに倒れ込むが...

「すぐベッドに倒れ込まない!!」

生活指導の厳しいユーフィリア先輩にしかられる。これでこの先、生きていけるのだろうかという不安を抱えつつ夕飯の支度をしている先輩のもとへいく。

ちなみに朝昼晩全てユフィが作ることになっている。理由は「あなたが作ると食生活乱れそうだから」だそうです。...俺そんなに不摂生に見える?

「今日の献立は独断で決めたけどいい?」

「好き嫌い無いんで食えれば何でもいいです」

「そう...じゃあ作り始めるから、その辺で待つなりしていて」

「そうします。手伝えることもないんで」

「本当に潔いわね。まあ、邪魔なのがうろちょろしてても困るけど」

「言うなあ...」

ユフィのいうとおり邪魔になるので、ルーグは素直にダイニングテーブルで待つことにした。

見目麗しい女子が美味しい料理を作ってくれるというのはなんだか不思議な気分で未だに慣れないが、実際目の前に魚を捌くユフイがいるので現実だ。

(なんだか、奥さんもった気分だなぁ)

別にそういった感情は持っていなくとも、この状況にはそう思わざるをえない。

「...なんか変なこと考えてない?」

「...ソンナコトナイデス、ハイ」

エスパーか?と疑うほどに的確な指摘にヒヤヒヤして邪念を捨てることにした。

一時間もすれば目の前には色とりどりの料理が並んだ。

「...いただきます」

「いただきます」

完璧な盛り付けに感動しつつ、料理に手をつける。

「うまい」

「それはよかった」

素直に感想を口にすればユフィが安堵したように表情を綻ばせる。

「本当に美味しそうに食べるね」

「実際うまいからな」

「...それならよかったです」

ルーグの賛辞に喜んだユフィの安堵の含んだ優しい笑みは、一瞬ルーグが固まるほど綺麗だった。

「アルバレスト?」

「あ、いや、なんでもないです」

みとれていた、何て言える筈もなくルーグは黙々と夕食を口に運び続けた。

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