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The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜  作者: MIX
第五章:絶対に負けられない戦い
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第96話:直接対決・2

「それでは準々決勝を始めます!」


 ベスト4をかけた8卓の各校。ここから準決勝の8校に進めるのはトータルの1位・2位のみ。

 ここまで立川南麻雀部はまず、今日子が連続トップと幸先のいいスタートを切る。しかし次鋒の紗枝がまさかの3位・最下位(ラス)


「す、すみません………」


 泣きそうな顔をして控室に戻ってきた紗枝。


(中野は別に何かをミスしたって訳じゃねぇ………。半荘2回戦で交代ってこのルールは明らかに初心者向きじゃない……)


「大丈夫だよ紗枝ちゃん! たまにはこんな事もあるっって!!」


 元々自分が出ないせいで、紗枝は団体戦の次鋒になったのだ。綾乃は必死に紗枝を慰める。


「その通りだよ紗枝ちゃん。あとは先輩に任せなって!!」


 しかし威勢良く控室を出ていった由香も2位・3位。副将の小百合もトップの後は3位。何とも微妙なポイントとなった。モニターを見ていた和弥は立ちあがる。


「りゅ、竜ヶ崎くん………ごめんなさい………」


「別に俺に謝ってどうする。一回はトップ取っただろ。俺が連続でトップになりゃいい話だろうが」


 麻雀とは不思議なもので、負けが込んでしまって、それを取り返そうとすればするほど、ますます泥沼に嵌ってしまうものである。

 負けが込んでいくとそこから熱くなって変に頭に血が上り、普段の打ち筋はどんどん狂っていくものだからだ。

 小百合が和弥に尊敬の念さえ抱いている理由の一つには、どんな時も最善手を出来るあのマシーンのような冷酷さである。自分も冷静さでは誰にも負けない自信はあったが、和弥と打ってからは『上には上がいる』ことを常々思い知らされた。

 俯いたままの小百合と敢えて視線を交わさず、和弥は出ていく。

 和弥が卓に近づくと、会場は異様な空気に包まれていた。いよいよ陵南渕高校大将・発岡恵の登場だからである。


「やあ。会えて嬉しいわ」


「………俺は別に。どうせ個人戦でももう一度は会うだろ」


「相変わらず冷たいわねー」


 赤いフレームの眼鏡の位置を直しながら、和弥を見つめる恵。

 席決めの結果、恵は和弥の下家(シモチャ)に座る事になった。起家(チーチャ)は和弥である。

 (トン)1局。ドラは三筒。


「ポン」


 和弥の上家(カミチャ)、恵にとっての下家からのポン。


(まずはサクッと俺の親を流そうってハラか)


 6巡目。

挿絵(By みてみん)

(問題は筒子(ピンズ)のカンチャンだな……。六索を切って三色一向聴(イーシャンテン)を維持するか、それともタンヤオに移行するか…)


 恵の(ホー)を確認する和弥。


(発岡恵の手は別に染めてもいない。手なりで一向聴(イーシャンテン)聴牌(テンパイ)…。中張(チュンチョン)牌は危険だ。それに早和了(アガ)り競争に付き合うのは、俺の麻雀じゃない)


 和弥は打・一筒。


(ここはメンタンピン狙いだ!)


「チー」


 しかし今度は恵は、和弥の一筒をチーである。


(タンヤオじゃなかったか………。これで役牌バックか暗刻(アンコ)、三色、一通…何でもありだ)


 チラリと和弥を見る恵。


(そうよ、迷いなさい。あなたの強さの根幹。それは一瞬の視線や動きも見逃さない洞察力と、コンピューターのような判断力。でも不意を突かれたら慌てるのが人間。下家にいる特権は利用させてもらうわ)


 9巡目。

挿絵(By みてみん)

(よし……。絶好の四筒が入ったぜ)


 カン四筒をツモり、一筒の対子落としにいく和弥。だが………。


「ロン」


 パタリと手牌を倒す恵。

挿絵(By みてみん)

「東・ドラ1の2,600」


 今大会、和弥の初めての放銃である。

月・水・金曜日に更新していきます。

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[一言] 狙い撃ちかー
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