表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/244

第82話:計算外

 東4局(トンラス)。親は和弥の下家(シモチャ)。ドラは(ナン)


 下家の配牌はここまで、ずっと悪くない。しかし、いまだノー和了(ホーラ)という現状を考えると、決して褒められたモノではないだろう。しかしまだベスト8の可能性が消えた訳ではない。この大将戦で連続1位ならば逆転2でベスト8進出の可能性はある。さらにここまでこれたのは部員達のおかげでもある。その事を忘れてはいない。

 この手が順調に育てばメンタンピン・赤1。大会では30符4翻は切り上げ満貫ではないが、最低でも11,600(ピンピンロク)が手に入る。

挿絵(By みてみん)

(ならばこの手は、ギリギリまで面前聴牌(テンパイ)を目指すべきね)


 12巡目までは絶対に鳴かないと下家は心に決め、まずは一索を切る。

 7巡目───


(高目が入った………)

 挿絵(By みてみん)

「リーチ!」


 だが、捨て牌から和弥は即座に、下家の待ちを看破した。

 挿絵(By みてみん)

(相変わらず分かりやすいな下家さんは………。端から四萬切って、その周辺には何もなしか。赤五を使いたくて四萬を早々に切ったのが、見え見えじゃねぇか。最初の中張牌(チュンチョンパイ)が四萬で、そのあとに手出しの(ハク)とか。せめて順番逆だったらな。端の3番目から二筒切ってリーチ。三・六萬一点だな)


 現物を引けた和弥は、ここは当然一発は避ける。

 その和弥とは正反対に、美里は一発で三萬を掴んでしまった。

挿絵(By みてみん)

(やれやれ。さっき対面の坊やに満貫振り込んだ後遺症かな)


(普通なら真っすぐ三萬切りだけど………。五萬を対子で持っている私に赤がないって事は、この子が抱えてる可能性が高いわね。赤が使えるんで顔がウキウキしちゃってるよ。高い手なのは間違いないわね)


 仕方なく美里は、現物の(ペー)を切る。


(チートイか。下家のアタリ牌を止めたな、この女………)


 手の内から北を打った美里を見て、まずは一枚アタリ牌が消えた事に和弥は安堵した。が、次の8巡目。和弥も六索を掴んでしまう。


(大した手じゃねぇし。ここはオリるか)


 仕方なく暗刻(アンコ)落としをする和弥。

 一方───こちらも逆転1位でベスト8入り出来る可能性もある上家(カミチャ)には、勝負手が入っていた。

 挿絵(By みてみん)

(ツモるか裏が乗ればハネ満………。待ちが悪いし、ダマでいきたかったけど。先制リーチされた以上、ダマにしてる理由はないね。ここまでドラが出てないということは、誰かが抱えてる可能性が高いね。シャボ待ちでアガれるとは思えない。ならば………)


「リーチ」


 九索を切って、ペン七索で追っかけリーチをする上家。

 10巡目。

 顔の淀んだ上家が、静かに(ホー)に三萬を置く。


「ロン!」

 挿絵(By みてみん)

「メンタンピン・赤1。裏はないけど11,600!」


 上家の少女は何も言わず自分の対面、和弥から見て下家に点棒を渡そうと点棒入れを開けた次の瞬間。


「ちょっと待って。悪いけどダブロン」


 美里もゆっくりと、手牌を倒した。

挿絵(By みてみん)

「チートイ・ドラドラ。6,400(ロクヨン)


 フロア内はエアコンが効いているとはいえ、控室のモニターを見て小百合は美里の薄ら笑いに寒気すら覚えた。結果として下家はリー棒+親ッパネ分の点数を失ったのである。

 大会ではリー棒は上家(カミチャ)取りルールなので、上家のリー棒も美里が回収した。


(は、早くも飛びそうになっているなんて………)


 もう上家の手元には4,500点しか残っていない筈。完全に読み負けした上家の惨状に、小百合は言葉がない。


「さて。誰かさんから5,200(ゴーニー)以上を和了(アガ)れば、私が逆転で先制勝利だね」


 上家は申し訳なさそうに、ただ俯くばかりである。


「………和了れれば、の話だろ」


 異様な空気の中、下家の一本場で勝負が再開した。

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 1点で読まれるの草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ