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第77話:深まる関係

「………うっせーな。誰だよ……」


 朝から来客を告げるチャイムが鳴り響く。和弥はカメラで来客を確認する。


『おはよう竜ヶ崎くん。ごめんね? 来ちゃった』


(まさかの委員長かよ)


 カメラ越しにも分かる美少女。来客は小百合だった。こんな朝から来るとは思っていなかったため、和弥は苦々しい顔をするが………。


「ちょっと待っててくれ」


『中に入っては駄目かしら?』


 勝手に和弥のマンションに来たのは、あくまで小百合だ。とはいえマンションの前で待たせておくのも、失礼な話である。


「分かった分かった。入ってくれ。今ロックを解除する」


 エントランスの自動ドアが開くと、小百合は満面の笑みを浮かべたのが分かった。


「お邪魔します」


(やれやれ……。こんな事が立川南の男子生徒に知れたら、喧嘩売られそうだな。負ける気はしねーが)


 そんな訳で、小百合を招き入れる事になってしまった。

 こんなシチュエーションなど味わった事がないだけに、妙に居心地が悪いのだが……その反面心が踊っているのも事実だった。


「………正直驚いたわ。想像よりずっと綺麗なのね」


「一週間に一回はハウスキーパーに来てもらってるからな」


 皮肉を言われている事が分からないのか、それとも惚けているのか。ため息を吐く小百合だった。


「今日は会場まではバイクで行こうと思っていたのに」


 小百合にコーヒーを出し、和弥はソファーに座った。


「ねぇ、竜ヶ崎くんのバイク。一度乗ってみたいわ」


 そう呟く小百合に和弥は微笑む。


(……マジで天然なのかこの子? それともただのお嬢様か……?)


 そんな疑問がふと頭をよぎるも、慌てて打ち消した。


「言っておくけど、かなり飛ばすぞ俺?」


「竜ヶ崎くんが運転するんでしょう? だったら何も怖くなんてないわ」


 一体なんだろう、先週あたりからのこの信頼感は?


「ウチの学校はバイク禁止だろ。そこは注意しないのかよ」


「だったら賭け麻雀をしている時点で学校に報告してるわ」


 言われてみればその通りである。


「ちょっとだけ待っててくれ。髪だけはセットしたい」


「あら、その髪も似合ってるわよ?」


 小百合の世辞をわざと聞こえないフリして、和弥は洗面所に向かった。


◇◇◇◇◇


 小百合と共に下に降りた和弥は、キーを回しエンジンを始動させる。


「じゃ……行くぞ?」


 ヘルメットを被った和弥は、小百合にもハーフキャップ型ヘルメットを手渡した。


(全く……このお嬢様は……)


 バイクの後ろに座る小百合の体温を感じながら、和弥がスロットルを開けた。

 2人を乗せたNinja400は、そのままマンションを曲がり大通りに出る。

 会場からそれほど遠くない場所に位置しているので、よほどの渋滞でも起きない開始時間の30分前には着けるだろう。

 和弥がそんな事を考えていると。前方の信号に止められた和弥と小百合を載せたNinja400に、クラクションを鳴らす車があった。


(……ん?)


 バイクのエンジン音で気づかなかったが、左側には見覚えのある外車が止まっている。

 龍子だ。助手席には綾乃も座っている。


「おい、西浦。ウチはバイクは禁止のはずだが?」

月・水・金曜日に更新していきます。

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[一言] そもそも免許取った年齢からして二人乗りは…
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