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第65話:突破

 竹田はずっと、和弥の手牌を凝視している。


(やっぱりな。役牌片アガリか。間違いなくこの(ペー)和了(アガ)り牌だったんだろうな)


 点棒を受け取ると、淡々と牌を収納口に落としていく和弥。

 一方、ついに竹田の顔から完全に笑いが消えた。


(ワ、ワイが和了ればいいんや………。ワイがアガれば………)


 心の中で、必死に自問自答を繰り返す竹田。完全に余裕のない状態である。


(1回戦目のように大きく構えて、デカい手をもっと狙うべきだったな。小場に持ち込もうとしたのが裏目に出たな)


 勝利を確信する和弥。

 いよいよ2回戦目大将戦の、南4局(オーラス)である。親は和弥。ドラは三筒。配牌は悪くない。


(よし………。仕掛けてもいいし、7,700(チッチ)以上なら一気に逆転出来る)


 理牌(リーハイ)もそこそこに、和弥は第一打の(チュン)を切る。当然竹田を含めた他家のケアも忘れなかった。

 が。一つだけ異変に気が付いた。竹田の後ろから対局を見て牌譜を取っていた、大会の係員である。

 先ほどまで威嚇するように和弥を睨んでいた係員だったが、竹田の手牌をずっと見ているのだ。

 気取られないように、視線を自分の手牌に戻す和弥。しかしあの係員の表情は明らかにおかしい。


(何だ? この係員のお兄さん。大阪野郎の手の何を見てあんなに驚いてたんだ? しかも明らかにシブい顔をしてたじゃねえか)


 それは竹田の第一打で明らかになった。


「ダブリーやっ!」

挿絵(By みてみん)

 半ば叩きつけるように、牌を横に曲げる竹田。

 その声に小百合と由香は圧倒されたが、綾乃と、そして龍子は呆れ返ってこのダブルリーチを見ていた。


(は? 完全に壊れたねドレッドヘアーくん。オーラスでトップ目がリーチなんてする?)


(良くこれで大阪代表なんてなれたものだな………。これじゃ『リーチしないと役無しで和了れない』って宣言したようなものだろう)


 和弥も綾乃や龍子と同じ考えである。


(そんなダブリーで俺が日和ると思ったら大間違いだ。さては差が詰められたプレッシャーで、マトモな判断が出来なくなってるな?)


 淡々と牌を切っていく和弥。


(しかもさっきのあの係員のあの顔………。通しも同然だぜ。完全に愚形でダブリーだろ?)


 竹田はもう焦りまくっているのも隠そうとせず、「振り込め」とばかり両脇をチラチラと見る。

 勿論ここまで来たら両脇の生徒も、何とか逆転の一手を作ろうと暴牌を続けるが、全くかすりもしない。

 7巡目。和弥も追いついた。


筒子(ピンズ)の上は通る………。さっき七筒は入念に確認していたな。ドラ待ちだろ?)


 和弥は静かにダマテンにとる。


(もしドラをもう一枚引いた時は、平和(ピンフ)は無くなるが六筒切って四・五筒待ちだ)


 11巡目。竹田がまた叩きつける様に牌を捨てた、その瞬間だった。


「ロン」


 静かに手牌を倒す和弥。

挿絵(By みてみん)

「タンピン・ドラドラ。11,600(ピンピンロク)。アガリトップで終了(ラスト)だ」

月・水・金曜日に更新していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダメだろ役員…配牌役満イーシャンテンとかだったら絶対表情変わるけどw
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