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第58話:読み合い

 その後も局は進み、満貫や安い手をアガりつつ、南4局(オーラス)を迎えた。

 ドラは九索。

 現在和弥は35,900点持ち。2位の恵は30,000点。オーラスでの親ノーテンはその半荘(ハンチャン)は終了なので、和弥は一人ノーテンでもトップで終えられる。

 しかし9巡目───


「リーチ」


 恵がまたもリーチをかけてきたのだ。

挿絵(By みてみん)

(その捨て牌でか………)


 和弥は無理せず、現物を切る。


(無駄な勝負をする事はない。俺はこの女とだけ戦ってるワケじゃねぇんだ)


 最初は全員一発は避けられた。

 そして次のツモで、少し長考する上家(カミチャ)の麗美。

 彼女の点数は21,400点。恵のリー棒を合わせれば、7,700点直撃で2位に浮上出来るのだ。


「通らばリーチ!」


 八索を横に曲げる麗美。


「ロン」


 待ってましたとばかり手牌を倒す恵。

 挿絵(By みてみん)

「リーチ・タンヤオ・七対子。裏はないけど6,400」


 まんまとトップを逆転されてしまった。


「1回戦目は私の勝ちね」


 ストレートティーを注文しながら、勝ち誇ったような表情の恵。

 両脇の綾乃と麗美の腕が低い、という訳ではない。実際このレートの勝負に真剣とも思えないが、実力は誰よりも和弥が知っている。

 だが、それを抜いても恵の雀力は突出していた。


(絵に描いたような引っ掛けリーチだな。マジで口先だけじゃねぇなこの女………。だが)


 1回戦目の清算が終わり、和弥は頭に浮かび上がる恵への評価を無理やりかき消す。


(この半荘(ハンチャン)のみで終わりなワケじゃねぇぞ)


 しかし2回戦目・3回戦目は綾乃の徹底した早アガリ攻めにあい、連続3位。

 4回戦目。

 綾乃と麗美の徹底した妨害に合い、ここまで3位のままオーラス。

 ドラは四索。


「どうしたの? まさかこれで終わりじゃないよね?」


 3,900点差とはいえ、トップはまたも恵。

 1,000・2,000ツモ、あるいは2,600直撃で逆転出来るが、両脇からの出アガリなら5,200以上が必要だ。


(焦るな。落ち着け)


 和弥は自分にそう言い聞かせる。

 そして7巡目。


(ここが勝負だな………)


 点棒入れから千点棒を出した和弥は、すかさず牌を横に曲げた。


「リーチ」


 全く(ひる)まない和弥に、恵には自然と笑みが浮かぶ。

 挿絵(By みてみん)

(一筒までは全部手出し………。白河さんからこの子が牌効率重視で、捨て牌に細工するタイプじゃないのは聞いている。ようするに萬子(マンズ)は大通りだね)


 迷わず八萬を強打する恵。

 彼女は根拠なく格好をつけたわけじゃない。和弥の心を折りにきたのだ。

 だが───


「ロン」


「えっ!?」


 和弥はパタリと手牌を倒す。

挿絵(By みてみん)

「メンタンピン・一発・ドラ・赤。裏はないがきっちりハネ満だ」


 始めて恵から、余裕の笑みが消えた瞬間だった。


(やられたなぁ。そんなに早く七萬切って、両面決め打ちとは恐れ入ったよ………)


 4回戦目。恵は初めて最下位(ラス)に沈んだ。

月・水・金曜日に更新していきます。

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