第289話:光明
南2局二本場。ドラは五萬。
和弥のアガリはハネ満のみで、依然菱崎にトップを許している。
(チャンスは必ず来る…。それまでは失点を出来るだけ防ぐことだ)
そう思い直し、手牌を開けた。
第一印象は、中を鳴いての3,900のアガリ。欲を言えば満貫にしたいところだが、その場合は赤か本ドラの五をもう一枚引くか、白を重ねて使い切る必要がある。ヒキがよければ───という想像の域を出ない話なので、あくまでも理想という形に留めておくのが無難か。
第一ツモは不要な一筒だったのでそのままツモ切ったが、その後のツモがよかった。2巡目に三萬、3巡目に七索を引き、早くもイーシャンテンに。
中膨らみのニ索を残したのはイーペーコーを考慮しての選択。仮に一索引きのペン三索待ちとなっても、役アリダマで5,200なら悪くない。
そして次巡、本当に一索を持ってきた。白を切り、予定どおりダマテンに取る。
「ポン」
鳴いたのは上家のサラリーマンだった。捨て牌には特徴がないので、ペースを改めて握り直すための速攻仕掛けか。
白を鳴き、サラリーマンが切った牌を見て、和弥はツモりに行く手を思わず止めてしまった。中───
さて、どうする。鳴いて一・四索待ちにしたほうが幾分かはアガリ易くなるハズだ。しかしその場合、打点が下がる。出アガリ5,200、ツモれば満貫という現状から考えると、ツモっても1,000・2,000という値段はいささかもったいなさを感じてしまう。
しかし、止まってしまったということもあるので、和弥は中をポンした。二索を切り、一・四索の亜両面に取る。
鳴いてから、こっちの選択のほうがよかったに違いないと思えてきた。
(2位である今の俺の牌勢で、ペンチャンを引くのは難しいだろう)
一発逆転ではなく、まずはアガって局を進めるのは、牌勢があまりよくないときの自分の基本じゃないか、とも思う和弥である。
すると次巡、菱崎が小考を挟んだのちに一索をツモ切ったので、和弥の初アガリとなった。
「チ……」
渋い表情で4,000を渡す菱崎。和弥は100点をお釣りで払う。
あれだけ好調だった菱崎から当たり牌が出るとは、やはり前局の流局が響いているのかもしれない。
(チャンスは今この時───)
和弥はそう思いながら、収納口に牌を落とした。
南3局。ドラは四萬。
(いいぜ…! こんな好配牌、久しぶりに見た気がする。鳴いても満貫は確定しているし、面前で纏まればハネ満、倍満まで見える……!!)
さらに和弥の気持ちを後押ししてくれるかのように、第一ツモまでよかった。七索を引いたことで、唯一のネックに思えた索子のカンチャンが一発で埋まってくれたのだ。
もはや言うことなし。1巡目にして受け入れ6種の完全イーシャンテンとなった。迷うこと無く七筒を切り飛ばす。聴牌するのは時間の問題だ。
そしてこの手をアガれば和弥の逆転トップも見える。
一度無駄ヅモがあったが、そのあと六萬をツモって聴牌。
「リーチ」
三索を切ってリーチをかける。
6巡目。カタリと牌を置く和弥。
「メンタンピン・ツモ・イーペーコー・赤。3,000・6,000」
菱崎にグッと近づく和弥のアガリだった。




