表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/244

第24話:反撃

(確かに親も無くなっちまったし、対面のハダカデバネズミには大差を付けられている………。

でもまだ勝負は終わっちゃいないのに、(あきら)める必要なんかどこにも()ぇ。そう。例えこんなクソ配牌だろうがな………)


 第一ツモで二筒を引いた和弥は、まずは場に2枚出た西(シャ)を捨てる。続いてツモったのは七萬。今度は迷わず四索を落とした。


(へぇ~………。凄いねこの子。まだ諦めてないんだ。怖いくらいの勝負根性だね)


 麗美の牌勢もかなり落ちているが、下家の今日子は和弥とは対照的に、筒子(ピンズ)一通(イッツー)が見えている。普段は筒井に合わせて建前上は『麻雀に運や流れなどない』と言っている麗美だが、幼少の頃から麻雀を打っている以上、この局で自分にアガリ目がないのは十分に理解出来ていた。


(ま、でも流石にもうこの半荘(ハンチャン)で私がやる事はないかな。頑張って筒井くん。あなたが余程のポカしない限りは、逃げ切れるハズだよ)


 8巡目。

挿絵(By みてみん)

(よし………。残り(ラスト)一枚の九索を引けた。もうイーペーコーの可能性を追う必要はない。789の三色(サンショク)だ)


 迷わず七筒を一枚落とす和弥。しかし………。


「ポンッ!」


 筒井が七筒をポンしてくる。


「!?」

挿絵(By みてみん)

(奴は今この形から九筒を切った………八筒は暗刻(アンコ)で持たれている!)


 これで三色完成の可能性は、限りなく低くなった。


(どうする? ラスト一枚の八筒に賭けるか?

いや………この調子で八筒をツモれるとは、とても思えねぇ………。和了(アガ)れないハネ満より和了れる満貫だ)


 (チュン)をツモった和弥は、最後の一枚の七筒を迷わず落とす。

 しかし筒井の七筒ポンと和弥の最後の七筒落としに、今日子も平静さを装うのに懸命だった。


(余計なことしてくれちゃったわねグリかりさん………もう一通は諦めるしかないかな)


 今日子は仕方なく、筒子のペンチャンを落としていく。


(4枚目の八筒……!?

三色を諦めて正解だった………!!

しかも北条のヤツ、八筒を端の2番目から出した……間違いない、ペンチャン落としだ。九筒も抱えてる!!)


 10巡目。和弥は高目であるドラの九萬を引き、ついに聴牌(テンパイ)

挿絵(By みてみん)

「リーチ」


『リーチデス!』という卓からの女性の電子音声が鳴り、一瞬だが部室内に緊張が走った。久我崎の部員達も、誰も一言も発さず固唾を飲んで見守っていた。

 思わず瞬間的に、牌の端を見てしまう筒井。


「鳴かないのか? 天上位さんとやら。(チュン)はあンたが対子(トイツ)で持ってんだろ」


「ふざけんな、今ダントツトップなのに。鳴いて手を短くするような事するかよ」


(クソガキが………。一発は避けておくか)


 中の対子を持っているのを見透かされた事にギクッとしながら、その中を切りつつ筒井はチラリと麗美を見る。


(何でも人任せにしないでよね………ここは現物(ゲンブツ)


 ウンザリとして同様に一発を避けた麗美だが、今日子の方は逆に11巡目に赤五索をツモる。危険牌を掴んだら四索を切ろうと思っていたが、今度は456の三色で聴牌し直しである。

挿絵(By みてみん)

(ラッキーだわ。安目三索でもよし………六索なら一気に勝負をつけられる。

全帯公(チャンタ)七対子(チートイ)だろうけど、七筒は4枚見えてるしノーチャンスな筈。チートイなら九筒単騎も有り得ない)


「追っかけリーチ!」


 残りの九筒を横に曲げ、(ホー)に捨てたその時だった。


「ロン」


「え?」


 驚く今日子を後目に、和弥はパタリと手牌を倒す。

挿絵(By みてみん)

「リーチ・純チャン・ドラ1」


 裏ドラをめくると、表示牌は二筒だった。


「裏も一丁。12,000」

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ