第238話:歓迎会
「お? どこどこ?」
綾乃がニコニコして聞く。
すると紗枝は、少し得意げに答えるのだった。
「近くに『ミラノ』っていうピザ屋さんがあるんですけど。そこは学生証提示で全メニュー20%オフなんですよ」
「え!? ホント!? じゃあそこに決定っ!!」
あっという間に2人で話を進めてしまう、綾乃と紗枝である。
「あ、そういえばさ。新入部員さん、名前教えてもらえるかな?」
綾乃が少女にそう尋ねた。すると───
「私、“一ノ瀬莉子”って言います」
少女は笑顔でそう名乗ったのだった。
やがて由香と今日子も部室に到着したが、とりあえず下校時間までは莉子に麻雀の基礎を教えようということになった。
「あ、あの……」
綾乃が莉子に麻雀を教えるのを見て和弥が言う。
「先輩さ。あんまり初心者に厳しくし過ぎない方がいいぜ」
しかし───
「分かってるって! 私は『楽しく打つこと』を一番大切にしてるって知ってるでしょ?」
そんな答えが返ってきた。
「それに……この部に入った以上、この子には強くなってもらわなきゃね!」
(ああ、なるほどな)
そんな綾乃の言葉で、和弥は納得した。
「あと、由香ちゃんと今日子ちゃんも参加ね! キミ達も麻雀教える側だから!」
そう言って綾乃は由香と今日子の方を向いた。
「え……あたし達もいいんですか?」
由香が確認を取るように言う。
「もちのろーん! それじゃあ始めようか!」
そんな綾乃の声に合わせて、和弥も立ち上がった。
そして───
「これで一通りは教えられたかな? 麻雀で分からない事があったら何でも聞いてね」
最後にそんな一言を付け加えて、本日の部活動は解散となったのだった。
「あ、あの……」
2年生4人が帰り支度をしていると、莉子が恥ずかしそうに口を開いた。
「……どうしたの?」
「私…戦力になれるでしょうか?」
「うーん、今日麻雀牌に触れたばかりでしょ? 3ヶ月後を見ないとなんとも…」
今日子の返事はもっともである。
「でも私はこの麻雀部に入部したくて入部したんです。だから……役に立ちたいんです!」
そんな莉子の言葉を聞いて───
「ふふふ、熱意は伝わったわ。じゃあ私も手伝うから一緒に練習していきましょうね?」
小百合は笑顔でそう答えたのだった。そして───
「まあ、焦らず行こうよ。とりあえずピザ屋さんへ! みんな、お家に『夕飯はいらない』って連絡しといてね!!」
最後に綾乃がそんな事を口にすると、この日の部活動は終了したのだった。
不定期連載ですが、ブクマ、☆5をもらえると更新頻度が上がるかも知れません