第235話:決着のチャンタ三色
3回戦目は和弥と治の和了り合戦となった。
「ロン。12,000」
治のハネ満直撃で、下家は残り3,300点しかない。
「流石にこの半荘は俺がもらったかな」
「まだ俺の親が残ってるだろ」
南3局。ドラは四索。この局は決着が早かった。親の和弥は5巡目にしてこんな手をツモ和了った。
「ピンツモドラ。1,300オール」
「おいおい。その三面張でリーチもかけずアタリ牌も見逃してツモ和了りかい」
「当然だろ。原田さんは3,300しかないんだ。うっかり飛ばして終了になったらどうするんだ」
「……ケッ。考えてないようで考えてやがるな」
吐き捨てる治。
南3局・一本場。ドラは四萬。
(…全帯公三色やって下さいと言わんばかりの配牌だな)
ただ、今までの悪手に比べれば悪くはない。理想は早めに雀頭がほしいところだ。そして二萬か二索のどちからを引き入れたい。
チャンタ特有の「123と789以外のツモを選べない」状態だが、早くも東が重なってくれた。
ここで和弥は五萬の決め打ち。
(……この手はチャンタ三色で行くと決めたんだ。ドラが来たらごめんなさいだ)
そして次巡、二索を引っ張ってきた。捨て牌からチャンタなのはバレていることだろう。和弥はツモ和了り狙いのリーチをかけた。
「リーチ」
和弥が1,000点棒を置くと『リーチデス』という女性の電子音が鳴り響く。
「怖いリーチだねぇ。でもオリる訳にはいかねぇんだよな」
治に守る様子はなかった。彼は和弥の入り目の二索を平然と切り、かなりキツい三萬まで切り飛ばしてきた。和弥のリーチに真正面から殴り合うつもりだろう。
そして10巡目、治に追いつかれた。彼は七萬を切ってリーチをかけてきた。
(ここで俺が振り込むようなことがあれば、もう完全にこいつの勝利は確定となってしまうだろう…)
和弥は祈る気持ちでツモ山に手を伸ばした。引いてきたのは───八筒。
「───ッ!」
とはいえリーチをかけた以上和了り牌以外は切るしかないとわかっていても、思わず手が止まりそうになった。───嫌な予感しかしない。和弥には珍しく打牌に力が入ってしまい、強打気味に八筒を置いた。
通ったらしい。治は和弥が切った八筒を見遣ったあと、ツモ山に手を伸ばした。
治のツモ牌は四索。和了りではなく、河に打ち出される。
上家と下家がそれぞれ安全牌を並べ、再び命運を握る和弥のツモ番が回ってきた。
ぐっと力を込めて盲牌をする。萬子──二萬である。
静かに牌を置く和弥。
「リーチ・ツモ・チャンタ・三色。6,100オール」
文字通り会心の親ッパネだ。裏ドラが八索だったので、出和了りでも18,000に変わりはなかったが。
下家が飛んだので、結局3回戦目は和弥の勝利に終わった。
不定期更新ですが、ブクマや☆5をいただくと更新が早くなるかも知れません。