第232話:再会
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「いや、そんなことはないですよ」
「そうかい?ならいいんだけど。……で、今日はどんな用件だい?」
「実は……」
秀夫に促された和弥は切り出した。
「…3年になったら。秀夫さんの会社にすぐに内定したことにしてくれません?」
「!?」
秀夫の目が大きく見開かれた。
「それはいいけど。やっぱり何か麻雀で悩んでいるみたいだね」
「流石に分かりますか。ちょっと今、悩んでる事があって……」
「何があったんだい?」
流石にここまで突っ込まれて「やっぱいいです」は失礼に値するものだ。和弥は秀夫に、正直に話すことにした。
「……なんか最近。高レートの賭け麻雀にワクワクしないっていうか……」
「和弥くん……」
西浦家の3,000万レートの麻雀も、花澤組の裏賭場も思っていたほどの満足感は得られなかった。
秀夫が何か言いたげな表情をした。しかし───
「すいません、秀夫さんにこんなこと言ってもしょうがないっすね」
和弥はそう言うと、カフェ・オレの残りを飲み干したのだった。
「今日は帰ります」
伝票を持って席を立つと、秀夫は言った。
「ちょっと待ちなさい。和弥くん、これから時間ある?」
「……一応空いてますけど」
「じゃあボクの店に来てくれないか?数日前から『キミと打ちたい』って男が来てるんだ」
「俺と打ちたい?」
「ああ。ちょっとクセの強い男だけどね」
和弥は少し考えたが、この秀夫の言う事なら本当だろうと思う。
そして店を出た後、秀夫に着いていったのだった。
途中秀夫がスマートフォンで連絡を入れる。
「例の彼は来てる?」
店員からの返事を聞いているようだ。
「じゃあ、伝えておいて。『今日は和弥くんが来る』って」
それを言って秀夫はスマホを懐にしまった。
「誰だか聞いてもいいですか?」
「僕も知らないよ。年は和弥くんより少し上くらい。全体的にごついイメージだな」
どうやらその男は、和弥との勝負のため紅帝楼に通い詰めてたらしい。
そしてついに秀夫の耳に入ったようだ。
「ま、もうすぐ会えるから」
そう言うと秀夫は店の扉を開けたのだった。
カランコロン───
扉を開けるとベルの音が響き、店の中にいた3人の客がこちらを見た。
3人は男性3人の組み合わせだった。2人はこの店の常連だが、もう一人は知らない男だ。
どうやら件の男性は彼らしい。
(誰だ?)
和弥が首を傾げると、男は手を振る。
「よお。久しぶりだな竜ヶ崎。お前に会いたくてここに通い詰めてたんだぜ?」
「………!!」
男は五条歩美の兄・五条治だった。