第223話:宮城へ
「……」
仙台行きの新幹線の中。
和弥と小百合は何とも言えない空気のままだった。
「お母さん、言ってたわ」
「なんて」
「親子二代に助けられることになった、って」
「……だろうな」
(多分オヤジもこんな感じで代打ち受けたのかな……)
そんな空気のまま新幹線が仙台駅に到着する。
「ついたぜ委員長」
「う、うん……ゴメンね和弥くん」
2人きりの時はすっかり和弥くん呼びになった小百合と和弥の前で、新幹線の扉が開く。降りるとすぐ階段で2階へ上がる。
改札口をくぐり、そのまま本家に行くのに一番近い駅まで乗り換えた。
「分かってたけど田舎にあるんだな、西浦の本家って」
「うん。だから私、お爺様以外の本家の人とはほぼ面識ないの。ずっと東京だったから」
「……なるほどな」
そして電車が目的の駅に着く。
そこから歩いて20分程で、西浦本家に到着した。
(デケェ……)
和弥は思わずそう呟いた。
インターホンを鳴らす小百合。
門についている監視カメラが小百合を確認したのか、ゆっくりと門の引き戸が開く。
門から玄関までは石畳になっていて、その左右には日本庭園がある。
「いらっしゃい」
門から現れた双葉と同い年くらいの美女。彼女が双葉の姉、清美だった。
「お久しぶりです叔母様。……代打ちも連れてきました、と叔父様達にお伝え出来ますか」
小百合が申し訳なさそうに謝る。
「分かっているわ。さ、上がってちょうだい」
そのまま3人揃って屋敷に入る。
「こんにちは~」
知らないおっさんがリビングの方から玄関にやって来た。
(多分、このおっさんは叔母さんの旦那さんか何かなんだろうな……)
そのまま小百合の先導で居間へと通される。
そこには───
「お久しぶりだな、小百合」
立派な白髭をたくわえた老紳士がいた。そしてその隣に立つ和服姿のイケメンも立っている。
勿論和弥には何の挨拶もない。
(最初から敵と認定してくれている訳か、上等)
「お久しぶりです。お爺様、叔父様」
小百合が2人に挨拶をする。
「そちらは?」
和弥の方を見て尋ねる清美の叔父に、小百合が答える。
「私の同級生です」
「そうか。まあ座りなさい」
促されて3人揃って座る。すると───
「ルールは完全順位制。トップは3,000万、2位は1,000万。3位はマイナ1,000万、最下位はマイナ3,000万だ」
(4位3回に3位1回で1億が溶けるのか…。恐ろしい麻雀だこと)
そう言いながらも、俄然ファイトが湧き上がってきた和弥である。
「何か特殊なローカルルールの採用は?」
席決めの風牌は引く和弥。
「特別なルールは何もない。普通の赤入りアリアリルールじゃ。ダブロンはアリ、トリプルロンは流れ一本場。強いて言えば大明槓責任払いがアリじゃ」
「30符4翻は切り上げ満貫?」
「ここでは切り上げを採用しておる」
(ほぼ紅帝楼と同じか……。ありがたいぜ)
了解、と席に座る和弥である。
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