第217話:決着近し
鼻歌を歌いながら山から4牌を取っていく麗美。
(一番乗せてはいけない人なのは、竜ヶ崎くんも分かっているはず…)
ドラは北。勝負は麗美と恵の親だ。
9巡目。
「リーチ」
悪い予感はこうも当たるものか。麗美から満を持したリーチがかかる。
「すいません、手を見ても構いませんか」
「どうぞ。見られるのは慣れているし」
小百合が覗いた麗美の手は
(大きな手ね…。七筒でも2,600オール。一・四筒だと6,000オールだわ…)
まず一発目の和弥だが───平然と六索を通してきた。
「相変わらず強いねぇ〜」
「そうか? これでも安全牌切ってるつもりなんだがな」
未だに小百合は和弥のこういう理論が分からない。
牌の出どころから読んだのか、それで挙動や視線から読んだのか、あるいは両方か……。
(これは後で聞いてみないと…)
また和弥を質問攻めにする気満々の小百合である。
続く由香、恵は現物合わせ。
12巡目───
ツモ牌に手を伸ばす麗美。チラリと確認した牌の絵柄は、一筒であった。
「ツモ……!」
暗い雰囲気が充満していた直後のツモ和了り。一瞬にして緊張の糸が解れたような、そんな空気だ
現状、親ッパネ。裏が乗れば倍満が期待できる。
(お願い、乗らないで…)
当然和弥側の小百合は祈るように裏ドラ確認をする麗美を見つめる。
裏表示牌は八萬。
幸いにも不発だったが計7翻。強烈な6,000オールだ。またも大きすぎるアドバンテージ。
「あとは大きな放銃さえ避けていれば───と言いたいけど。このメンバーではそういう訳にはいかないだろうね」
点棒をしまい、牌を収納口に落とす麗美。
「当たり前じゃん。こっちはサシウマ握ってるんだから」
一見笑顔だが、目は笑っていない由香が口を尖らす。
南2局・一本場。ドラは一筒。
「ロン。一本場で1,300」
「熱いこと言う割にはダマテンじゃん」
放銃した麗美が、由香に1,300点を渡す。
「リーチして出る四・七筒じゃないですから」
平然と点棒を受け取る由香。いよいよ南3局(ラス前)。和弥の親である。
(ここまで静かすぎるわ竜ヶ崎くん…。なす術がない訳じゃないわよね…?)
小百合の心配を他所に、和弥はゆっくりと牌を取っていく。
(100万…秀夫さんのとこいけば一日で稼げる額だ…。とはいえ麻雀で負けるのだけは我慢ならねぇ…)
理牌を終えた和弥は、第一打の一索を切った。
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