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第211話:苦しい道のり

 結局4回戦目は由香がそのまま押し切った。これで2勝2敗。


「2人とも熱くなってるけどさ。私たちの存在も忘れないでよね」


「そういう事。私たちにサシウマは関係ないよ」


 トンを引いた恵が親決めのサイコロスイッチを押し、起家チーチャは由香に麻乃に決まった。

 いよいよ最後の5回戦目。

 小百合には和弥と、その下家シモチャの恵の配牌しか見えない。和弥の配牌はこのような形だった。

挿絵(By みてみん)

 ドラは四索。


(いけるわ。雀頭含みの順子シュンツが2組。これは竜ヶ崎くんの一番得意なパターンね。


 劇的なツモによる最速聴牌(テンパイ)───ということは起こらないが、和弥が聴牌したのは中盤に差し掛かった8巡目のことであった。

挿絵(By みてみん)

 四・七筒待ちで聴牌。一手変わりの567の三色狙いでダマテン選択───はやはり和弥はしなかった。


「リーチ」


(やっぱり、赤有り、裏有りだとメンタンピン・ドラ・赤の選択なのね…


『リーチデス』という無機質な女性の機械音が鳴り響く。

 とはいえこちらは紛う事なき両面での好形。しかも由香は親なので、ツモれば親っかぶりで一気にダメージを与えられる。


 無論、麻雀はそんなに簡単なものではない。“好形だからとツモれる”という保証はない。

 しかし和弥が以前部室で口にしていた言葉。


『俺の牌効率打法は聴牌スピードのためじゃない。和了アガる確率を高めるためなんだ』


 ならばこれもその内ツモ和了りするのでは?そう思える和弥のリーチである。

 全員和弥の現物を合わせてきた。当然であろう。

 和弥のツモ番───そのとき小百合は確信した。


(これはその内にツモるわ)


 オカルトの類は信じない小百合だが、何故か和弥が聴牌するとそう思えるのだ。

 和弥がツモるとき、まるで自分が打っているかのような気分になる小百合である。

 11巡目───


「ツモ。ここにいたな」


 ツモった牌を置き、パタリと手牌を倒す和弥。

挿絵(By みてみん)

「メンタンピン・ツモ・ドラ・赤。3,000・6,000」


 いきなりハネ満親っかぶりに成功。


「今イチデジタルかオカルトか分からない打ち方するよね、キミって」


 点棒を払いながら恵が挑発する。


「……麻雀なんて同じ4人で打ち続けても、一局一局が違うんだ。来た牌と感覚で打つ。それが俺の麻雀だ」


(まあ、嘘は言っていないわよね…)


 実際、以前も和弥が似たようなことを言っているのを憶えている小百合である。


「ふふ……ますますデジタルなのかオカルトなのか分からないじゃん」


 新たな牌山が上げられ、東2局が開始される。


 ───気のせいだろうか。小百合にはハネ満を和了った和弥は無表情なままで、その逆に親っかぶりを食らった由香の表情がイキイキしてるように見えた。


「さ、私の親だね」


 麗美がサイコロスイッチのボタンを押す。

月・水・金曜日に更新していきます。

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