第203話:恋人
「ねえ竜ヶ崎くん。私、どうしたらいいと思う?」
「……いや、俺にも分からん。とりあえず、電話の相手は誰なんだ?」
「分からない…」
その後はお互い2人して沈黙していまう。しかし───
「と、とりあえず今日は泊まっていけよ」
和弥はそう提案した。
「あ……うん」
小百合もそれに従い、2人はドリンクを飲み終えると店を出てマンションへ向かう事にした。
(まいったな)
さも当たり前のようにバイクの後ろに乗る小百合。
「しっかり掴まってろよ?」
和弥は小百合にそう告げると、Ninja400のアクセルを吹かす。
「ねえ竜ヶ崎くん」
「……ん?」
「私ね、紅帝楼で麻雀がしたいな」
「おいおい……勘弁してくれよ……」
(またかよ)
あれだけ賭け麻雀を嫌ってた小百合からは、信じられない言葉であった。
「明日、私はオフなの」
和弥はバイクを運転しながら小百合の言葉を聞き流す。
「だからね、竜ヶ崎くんに紅帝楼に連れて行って、麻雀が打ちたくて……」
(……)
「ダメかな……?」
「……分かったよ」
和弥は折れた。小百合にここまで頼まれれば断れない。
それに───
(俺も紅帝楼でまた麻雀を打ちたいしな)
そんな気持ちもあったのだ。
そして2人はマンションに到着した。
「ただいま~」
和弥のマンションに入る2人。
「ただいま~」
「お邪魔します」
和弥の後ろから小百合も入る。
2人はリビングへ入り、ソファに腰掛ける。
「さ、メシにするか?」
冷蔵庫を開けた和弥が言う。
「……あ、俺料理できない」
小百合が苦笑いする。
「じゃあ私が作るわ。何が食べたい?」
「ま、材料的にカレーか肉じゃがだな」
和弥はそう考えた。しかし───
「竜ヶ崎くん、料理できないの?」
「ああ」
こんな事ならファミレスで済ませるんだった、と後悔する。
「そう。なら私が作るから待っててね」
そう言うと小百合はキッチンへ向かう。
(何なんだ?)
和弥は不思議でならなかった。麻雀に興味があると言い出したり、料理を作ろうと言い出したり……
しかし───
(ま、いいか)
今はそんな細かい事を考えるより、小百合がどんなカレーを作ってくれるのか楽しみだった。
「お待たせ~」
小百合が作ったのは、単なる普通のカレーライスだったが、これがまた美味い。
「美味いな」
和弥はそう呟いた。小百合の料理スキルに、内心驚いていたのだ。
「良かったわ。竜ヶ崎くんの口に合って」
小百合も心から嬉しそうである。
「ごちそうさまでした」
食事を終え、2人はリビングでくつろぐ。
「ねえ竜ヶ崎くん、シャワー借りていい?」
「ああ…」
───その夜は、結局ベッドで一晩を過ごすことになった。
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