第190話:繰り返されるパターン
一本場・ドラは東。
(よりによって、ダブ東がドラか…)
牌を取りながら和弥は嫌な予感を感じる。しかしも14牌を取り終えた恵が、ほんの一瞬だけ───笑ったからだ。
「ポン!」
和弥は間髪入れず、安目ではあるが白を鳴き、役牌で一翻確定させた。
(どっしり受けてる場合じゃない。この女……この女、間違いなくダブ東を対子か暗刻で持っているな)
先ほどといい、恵の狙いは和弥がいつも行っている「リーチ攻めによる対戦相手の心折り」だった。当然和弥もそれは分かっている。しかし───
ここまで恵は全てて手出し。
一方。9巡目、恵は対子の東にもう1枚、東を重ねる。ダブ東の暗刻完成である。
(おいおい……。手がバラバラだったんで、ツモる牌は全部有効牌状態なことを祈るしかないな…)
そんな和弥の願いも空しく、10巡目。
「リーチ」
恵からリーチがかかる。
「チー!」
和弥は仕方無く両面メンツも仕掛け。
ダブ東・ドラ2・リーチ。これだけでも親ッパネなのだ。一発・裏ドラ・赤ドラのない完全競技ルールでは、18,000点は巨大なアドバンテージである。
(筒子の下は捨てられないなあの捨て牌…)
さすがに下家も察したようで、現物を合わせていく。
だが13巡目。
「ツモ。8,100オール」
リーチ・ツモ・ダブ東・中・ドラ3。全員から満貫を毟ったようなものだ。
(なん……だと……!)
親ッパネでも強烈なのに、なんと親倍である。流石に和弥も、恵の手牌を見て思わず絶句する。
そして───
「二本場ね」
恵はそう宣言し、卓の中央のサイコロスイッチを押し出すのだった。
二本場・ドラは9ピン。
親番の恵が配牌を取り始めるが、その表情からは余裕の色が係員からも見て取れる。
「竜ヶ崎くん……」
控室のモニターで、そんな様子を不安げに見る小百合だった。
(捨て牌は……今度はどうだ?)
ダブ東を捨てるも、反応はない恵だ。一方ここまで要警戒だった麗美は、淡々不要牌を切っている。
そして12巡目。
「ロン。平和・ドラドラ。3,900の二本付けで4,500」
下家の放銃。今度は麗美が2位狙いである。
(こいつ…負けが込み過ぎて他家のチェックとかがまるで出来てない。状況が悪すぎる…)
和弥は心の中で舌打ちをする。
(どうする……?)
次局以降、相当苦しい戦いになる事は間違いないと確信する和弥だ。
三本場・ドラは8ピン。
再び親番となった恵だったが───
「ポン!」
下家の放銃。今度は麗美が2位狙いである。
(こいつ…負けが込み過ぎて他家のチェックとかがまるで出来てない。状況が悪すぎる…)
和弥は心の中で舌打ちをする。
(何とかしないとな……)
次局以降、相当苦しい戦いになる事は間違いないと確信する和弥だ。
東3局・ドラは8ピン。
ようやく和弥の親番である。
「ポン!」
15巡目、和弥が中を鳴いたことで、またもや必要牌がずれてしまった恵である。一方和弥は慌てて現物を切り、やっとの事で聴牌したその巡目だった。
「ツモ! 面前混一色・三暗刻!! 3,000・6,000」
麗美らしい和了りである。その後も放銃の止まらない下家が飛び、4回戦目は15分ほどで終了した。
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