第181話:ノンストップ
東3局。和弥の親。ドラは一索。
「リーチ」
4巡目、和弥はすかさずリーチ。
何となくだが───彼に早い聴牌が入ることは想定していたが、4巡目だとは思いもしなかった。
(点数は?)
(待ちは?)
いや、分かるワケがない。改めて河を見るが、4打目までは普通にメンツ系の捨て牌だ。
麗美の脳裏には久我崎と立川南のトレマで、和弥が2巡でリーチをかけメンタンピン・ツモ・三色・ドラ・赤の倍満をツモったシーンがフラッシュバックした。
「これぐらいは通してよね……」
恵がそう呟きながら、おそるおそる北を切った。和弥はピクリとも動かず。
ふうっ、息を吐く恵。次は麗美がツモ山に手を伸ばした。
ツモは五萬。
(タンヤオ・三暗刻かな…いや、いざとなったら四暗刻まで……)
この状況なら値段は関係ない、麗美はドラを選択する。
(いける。副露も利くタンヤオの十分形の二向聴。もう三暗刻とか諦めた。彼の親を流すのが第一だし、いざとなったらもうどっからでも仕掛ける!!)
麗美と同じ立場である恵も、和弥のリーチに恐れることなくバシバシと真ん中を通していく。
上手く噛み合えば、彼女の打牌を利用して早和了リができるかもしれない。
(この坊やのリーチは無視でいい。いらない牌を切り、真っすぐ手を進めればいい)
麗美は次で迷わず中切りを選択する。そしてやはり、恵も麗美と同じ結論に至ったらしい。恵もまた和弥の捨て牌は一切見ずに、打牌を選択していた。
一発がないとはいえ、基本和弥がリーチをかけるのは自信があるから。和弥は淡々と牌を確認し、ツモ切りする。その牌は八筒。
(と思ったら来たっ!!)
麗美のツモは五萬であった。すかさず打・三萬。
(勝てる。まだまだ勝負は終わらない)
しかし麗美の予想も空しく。
「ツモ。1,000オール」
三面張だが役無しリーチである。
(役がないからこその好形即リー、ね…。それにしてもその薄いのツモっちゃうかー)
立川南控室でも、和弥のこの和了りにはやんやの大歓声である。
「これイケるんじゃないっ!?」
「役無しでも好形、これは神様が勝てって言ってますよっ!!」
モニターの前でのそんな今日子と紗枝のはしゃぎっぷりなど、当然知る由もない和弥。
「さて、1本場だな」
不敵な笑みを浮かべ、ボソリと呟き黒棒を置いた。
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