表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/243

第179話:ライン破壊

 襟のボタンを一つ外す。


「あくまで私は麻雀のルールに則っているだけ。麻雀は1対1の勝負じゃない。自分以外の3人は敵よ?確実に勝ちを拾いにいけばいいだけじゃない。そうでしょ?」


「この前の決勝とはまるで別人だな。でもまあ正直……」


 サイコロボックスのスイッチを押して遊ぶ和弥。


「……そういう態度を取ってくれた方がありがたいんだよ。遠慮なく潰せるからな」


 最後のセリフは、自分に言い聞かせるつもりで口にした。

 そうなのだ。ボランティア感覚で始めた麻雀部だが、やっぱり“強い奴と戦いたい”という本音があるのは間違いない事実だ。相手にガミガミいうなど和弥のプライドが許さなかった。


「やる気になってくれたようで安心したよ」


 そこに恵や先ほど飛ばされた下家シモチャも戻って来た。


『それでは個人戦・完全競技ルール2回戦目を始めます』


 場内アナウンスが鳴り響く。


「席替えはどうすんだ下家さん? このままでいいのか?」


 和弥が尋ねると、下家はおもむろに手を伸ばしてサイコロを振った。どうやら席はこのままでいいらしい。

 サイコロボックスの中で出た出た目は2と4。


「恵が起家チーチャよ」


「言われなくても分かってるってば」


(…こいつらは通しとか使わなくても、実質組んでるのと一緒だ。このルールじゃデカい手を和了アガったらまず逆転出来ない。だったら2位を狙えばいい)


 和弥は理牌リーハイをしながら、この麻雀の決勝の勝利条件についてを改めて考えた。

 麗美か恵のどちらがデカい手を和了ったらどちらかが2位狙い。実に単純だが効果的な作戦だ。しかもコンビ打ちではないので、余計に始末が悪い。

 しかし、ならば取るべき打ち方は───と少々頭を悩ませることになるが、和弥はそうではない。


(だったら“トップを取らせない打ち方”をすればいい)


 (トン)1局。ドラは發。

挿絵(By みてみん)

 悲観すべきものでもないが、789の三色と全帯公チャンタか、七対子チートイか、の配牌だ。一枚だけでは重荷であるドラの存在が厄介である。重なってくれれば問題はないのだが。

 恵が第一打から随分特徴的な切り出し。何と打・六索から始めである。

 和弥の第一ツモとなったのは七筒。


(ひとまずは余計なことは考えず、手なりで打てばいいか…)


 途中で麗美・恵・下家に動きがあれば、随時対応していけばよい。和弥は一索から切りにかかった。

 一旦下家が一索を確認した。一索を鳴く手順など123の両面順子(シュンツ)かポンしかない。こうなると。こうなるとチャンタ、混一色ホンイツ、対々トイトイのどれかしかない。


(……)


 次のツモは七萬。ここで和弥は打・(ハツ)


「ポ、ポンッ!!」


 これで下家は満貫確定である。


(どうせホンイツにしかならない手だ。鳴いてハネ満ならポンだ)


 手の先に力が入る下家である。

 先ほどの一索を見ているのに平然とドラの役牌切り───勝負所ではまっすぐに打ち続ける和弥とはいえ、これには立川南の控室も騒然となった。


「竜ヶ崎先輩ってもっと理詰めで打つ印象ありましたけど…」


「そうよね。竜ヶ崎のヤツ、見かけはイケイケだけどなんかマシーンと打ってるような感じだったのに…」


 紗枝と今日子も、信じられないと言った表情である。

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ