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第148話:ついに団体戦決勝

 ついに団体戦決勝当日───


「メットは?」


 和弥は後部席の小百合に声をかける。


「ええ。大丈夫よ」


「んじゃ、行くか」


 Ninja400のスロットルを思いっきり吹かす和弥だった。


◇◇◇◇◇


 麻雀がマインドスポーツと認知されてから、一般雀荘や学生達の間でも大会なるものが開かれることがある。その通り、高校選手権は高校の麻雀の大会の最高峰だ。

 この大会のように合計ポイントの多さや、インターハイのように勝ち抜き戦だったりで大会によって異なるが、いずれにせよ、その場でもっとも強い人間を決める戦いであるということは間違いないと言えるだろう。

 流石に高校の身分で賞金や賞品とはいかないが、「一番強い打ち手」という名誉を手にすることができる。麻雀好きなら、やはり一度は憧れるものではないだろうか。

 だからこそ、和弥のような打ち手は小百合には意外だった。しかも大嫌いな賭け麻雀に興じているとなれば猶更だ。龍子から話を聞かされた時も『それは父親が強いだけじゃ…』と思ったうが、麻雀を中心に生きている割に自分の周りにはそういった話はあまり転がっていない。さらに龍子から『普段は紅帝楼こうていろうという雀荘で打っている』と聞かされ、自分で確認に行ったのである。


 最早衝撃に近かった打ち筋。紅帝楼で和弥に叩きのめされた経験は、今も忘れてない。

 自分だって物覚えが悪い訳ではない。しかし盲牌の時間や牌の切りどころまでチェックされていたのは、初めての経験だった。


(“高校生の一番を決める大会”で四苦八苦してるようでは、この人には追いつけない……)


 バイクに揺られてる内に、そんな偏見が湧いてくる。今日は大切な団体戦の決勝だというのに。


(いけないわ。まず今日に集中よ)


 今はまだ「裏で私が打つなんて有り得ない」とばかり思っていた。いや、今後もそういった高レートの卓に参加することはありえない。しかし彼がどう打つのかは見てみたい。

 そんな事を考えている間に、ついに会場の近くに来た。

 そのまま駐輪場に入る和弥。


「着いたぜ」


「……いつもと変わらないのね」


「決勝だろ。今更ウダウダ考えてどうする」


 そのまま会場に向かう2人である。


 ◇◇◇◇◇


「おはよう、竜ヶ崎、西浦。昨日は良く眠れたか?」


 控室に入った和弥と小百合を笑顔で見つめる龍子。


「別に? いつもと同じです」


「頼もしい限りだな」


「シャーレを掲げるのが先生の目標だったんでしょ。優勝のコメントでも考えておいてください」


 何事も無かったかのように椅子に座る和弥。

 龍子の当初の予定よりもずっと順調に、団体戦の決勝の場へ。緊張している他の面々と違い、和弥だけは相変わらずいつも通り。


「やっぱり。2位で陵南渕も上がって来たのか」


 これでマークすべきは久我崎だけではない。陵南渕もである。

 熱くなっているようには見えない。しかし白けてる様子もない。和弥の周りだけは、本当に淡々と時間が過ぎていくような錯覚さえあった。


「ここまできたら戦略も何もない。皆、力を出し切ってこいっ!!」


 龍子がパンパンと手を叩きながら一喝する。


『各校の先鋒の方、受付までお越しください』


 控室に、アナウンスが流れた。

月・水・金曜日に更新していきます。

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