表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/243

第140話:ラッシュ

挿絵(By みてみん)

「はああああああああっ!?」


 流石に歩美はガタリと、椅子が鳴るのも意に介さず立ちあがる。その様子には流石に上家(カミチャ)下家(シモチャ)も驚いた。

 七筒単騎。

 今まで歩美が兄と集めた和弥の闘牌データでは、和弥が七対子(チートイツ)で七筒の単騎待ちなど、ありえなかったからだ。


「そんなに驚くなよ。俺だってこの捨て牌で、チートイだとバレてない可能性が0%なのは分かってる。だったらむしろ、字牌じゃない方がいいだろ」


 怒りでブルブルと震える歩美。


「か、買い被り過ぎてたわ…。笑えるくらい初心者(タコ)みたいな打ち方するのねあんた…。い、一度データをリセットした方がいいわね…」


「何言ってんだ。和了(アガ)りたいから七筒待ちにしたんだよ」


「はぁ?」


 余裕のあるフリをしてるが、歩美は笑顔が引きつっているのに気付いていない。


「お前、筒子(ピンズ)混一色(ホンイツ)だろ。俺がリーチかける前からすでに一向聴イーシャンテンだったろ。張ったら余った筒子を遠慮なく切ってくる可能性高いもんな」


「お、おめでたいわねあんた…。そんなたまたまで『裏をかいてやった』ってアピってるワケ…?」


 大会係員が、また激怒して歩美に駆け寄ってきた。


「君!! いい加減にしたまえ!! 2度目の警告だ!!」


 大会ではサッカーのような警告制度を採用しており、3度目で失格処分となる。

 ブルブルと怒りを堪えながら、歩美は静かに椅子に座り直す。

 一方、立川南の控室では───


「ちゅ…(チュン)の方をツモって聴牌(テンパイ)…」


「……あの竜ヶ崎先輩が…七筒で単騎…」


「いや、ちょっと待って。流石にあたしもなんて言っていいのか…」


 南4局(オーラス)・一本場が始まるが、全員驚きを隠そうともしない。いや。小百合も、そして龍子も微妙な表情をしている。


「まだ21,000点差…。しかしだ。ついに竜ヶ崎の一発が入ったな」


 龍子も内心、この単騎待ちには驚いていた。


(去年まで気にも留めなかった強い人が、どんどん出てくる…けど…)


 去年はボロボロのメンバーで挑んだため、小百合はほぼ個人戦一本だった。しかも赤有りルールである。


(私が完全競技ルールだったら、竜ヶ崎くんのようにすぐに順応出来るかしら…)


 本当は後ろで和弥を応援したい。そんな気持ちを必死に抑えながら、小百合も再びモニター越しに観戦する事にした。

 ドラは四筒。


「リーチ」

挿絵(By みてみん)

 6巡目で早くも和弥の親リーチである。


「リーチリーチって、しつこい男ね…」


 今までは心の中で思っていた事だったが、歩美はどんどん口に出してきた。


「あんまり思ってる事をクチにしねぇ方がいいぞ。あと一回で失格だろお前」


(ふざけんじゃないわよ…!!)


 歩美の苛立(いらだ)ちが頂点に達しているのは、上家と下家も分かるほどである。


(普通に面子系の捨て牌…全帯公(チャンタ)三色にいくつもりだったけど。ドラソバ含めた中張牌(チュンチョンパイ)は現物以外捨てられないわ…)

挿絵(By みてみん)

 歩美は対子だった西シャに指をかけた。


(どうせこの手じゃ戦えない。安手だろうし。ツモるならツモって)


「ロン」


「はぁっ!?」

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これ単騎待ちだったらキレるなきっとw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ