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The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜  作者: MIX
第五章:絶対に負けられない戦い
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第123話:受け継ぐバトン

「ただいま」


 小百合が控室に戻って来た。


「お帰りさゆりん!」


「凄いです西浦先輩!」


「あの三倍満はびっくりしたわっ!!」


 由香や紗枝は勿論、普段は小百合と何かとソリが合わない今日子まで、小百合を笑顔で迎え入れる。


「ありがとう。本当にあの三倍満は自分でもまだ信じられないわ」


 大将戦のために立ちあがった和弥を、チラチラと見る小百合。一番褒めてほしい人物は他ならぬ彼なのだ。


「………委員長」


「な、何!?」


 一瞬の緊張感───

 ひょっとして、和弥から見ればまだ小百合には足りない部分があるのだろうか?


「あとは任せろ」


 ゆっくりと、ドアに向かう和弥。


「え、ええ…頑張って竜ヶ崎くん」


 小百合の後に全員が立ちあがったが、和弥に何と言っていいのか分からない。

 全員の代わりに答えたのは龍子だった。


「私達の言いたい事は分かってるな。竜ヶ崎?」


「俺に負けはねぇよ」


「ふふ……ならいいんだ」


 敢えてプレッシャーをかけるような龍子の言い方にも、和弥は臆する事なく控室を出ていく。


◇◇◇◇◇


「よろしくお願いします」


 全員が卓に座り、いよいよ決勝を賭けた大将戦。

 立川南も丸子も、よほどのミスがない限り決勝進出であろう。しかし上家(カミチャ)下家(シモチャ)も、勝負を諦めた訳ではない。

 しかし対面に座った丸子高校の大将の男に、他家は圧倒された。

 ヘビー級と言っていいのか。凄まじい巨躯も去る事ながら、厳つい顔つきもだ。

 後ろの係員ですら、気圧されているのが分かる。


(ふん。見掛け倒しじゃなきゃいいけどな)


「オメー、あの竜ヶ崎新一の息子なんだってな?」


 和弥と視線が合うなり、男が話しかける。


「初めて会った人間に、そんな事をペラペラしゃべるつもりはねぇよ」


 (トン)1局。和弥は北家(ペーチャ)。ドラは東。親ならこれがダブ東が爆弾になるパターンもある。

 幸いにも和弥に東は来ていない。


(配牌には来ていない。まあ来ても関係ないが)

 

 8巡目。西家(シャチャ)が自風牌の西(シャ)を暗槓。新ドラは七萬になる。

 和弥のツモは六索。

挿絵(By みてみん)

(六索と七索がくっついたか…。ここは一通(イッツー)より三色だ)


 すかさず和弥は一筒を切る。それを見て微かに笑った男。


(野郎…俺の手牌の何を見て笑いやがった?)


 9巡目。三色への切り替えは正解だったようだ。六萬をツモって高目678の三色のチャンスである。


(よし…絶好の聴牌(テンパイ)だ。安目でも新ドラが乗る可能性は十分ある)

挿絵(By みてみん)

「張ったんだろ? リーチにはいかねえのか?」


「………」


 どうやら男には聴牌を見抜かれているようだ。


「顔に描いてるぜ?」


「……そんなやっすい煽りに乗りたくはねぇが。んじゃ、リクエスト通りにしてやる」


 カタリ、と点棒入れを開ける和弥。


「リーチ」


『リーチデス』という女性の信号音が鳴り響き、卓には緊張が走る。

 しかし、一人だけニヤけてる男がいた。対面の丸子高校大将・五条治(ごじょうおさむ)である。


「……どうぞ」


 明らかに出来面子から抜いたと思われる打牌。それは和弥のアタリ牌の八索だった。

月・水・金曜日に更新していきます。

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[一言] 裏ついたら倍満以上あるのにやるかこいつ……
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