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The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜  作者: MIX
第五章:絶対に負けられない戦い
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第122話:諦めない少女

 小百合にしてみたら、初めて和了(アガ)った役、二盃口(リャンペーコー)

 確率的にはツモり四暗刻(スーアンコ)より難しいと言われるこの役を、この大舞台で和了れるとは。

 小百合自身が一番驚いていた。


「二盃口、ねぇ……。やられたわ」


 12,000点を渡す歩美。これで小百合がトップに浮上。


(これで五条さんは三倍満ツモか、私にハネ満直撃以外トップ目は無くなったわ…)


 二本場は下家が600・1,100をツモって、いよいよ南4局(オーラス)。ドラは七索。

 6巡目。

 バラバラの捨て牌の歩美が切ったのは、その七索だった。


(タンピン・イーペーコー・ドラ3・赤…。鳴くと清一色(チンイツ)・タンヤオ・ドラ4・赤で三倍満の手作り…三倍満なら2位には届く…)

挿絵(By みてみん)

 上家(カミチャ)の太った少年は一瞬迷う。

 今までのテンポからして、これは明らかに『長考』だった。


「何してるの? 鳴くんでしょ?」


 挑発的な歩美だったが、上家はパタリと牌を倒した。


「そ、そうだな。チー」


 7巡目。歩美の手から出てきたのは、今度は二索だった。


「チ、チーッ!」


 あからさまな清一色狙いに、小百合も下家も表情が曇る。

 一方の歩美は牌を引き込んでは鳴かせている。手がどんどん整っているのは明らかだ。

 8巡目。

 歩美の捨て牌は、またも二索。


(い…一体何を狙ってるの五条さんは? 捨て牌だけなら全帯公(チャンタ)七対子(チートイツ)…。いえ、一応国士もケアしないと…)


「チーッ!」


 3副露(フーロ)。明らかに上家は聴牌(テンパイ)したはず。


(余計な事を………。でも只の嫌がらせで、こんな妨害してきたとは思えないわ……)

挿絵(By みてみん)

 事実少年は聴牌していたが、小百合の悪い予感はズバリ的中した。

 9巡目。


「リーチ!」


 歩美がリーチをかけてきたのだ。

『リーチです』という女性の電子ボイスが鳴り響き、緊張感がA卓を覆う。


(ウソでしょう…? 逆転の一手なので清一色狙いにも突っ張ったの?)


 10巡目。


 パタリと牌を置く歩美。牌は(ハツ)であった。

挿絵(By みてみん)

 リーチ・一発・ツモ・チャンタ・三色・發。

 裏ドラは二筒だったが、どっちにしろ倍満である。


「4,000・8,000」


 逆転はならず。

 しかしトップを取って清々しいという気持ちは、小百合にはない。


(彼女も絶対諦めないタイプなのね…)


 小百合がトップだった事で、和弥が2戦で最下位さえ回避出来れば、立川南高校の決勝進出は決まる。

 席を立った小百合に、歩美が握手を求めて来た。


「去年の個人U-16の優勝者っていうのは、伊達じゃないわね」


 何か緊張感が解け、小百合も自然に握手を返していた。


「ありがとう。決勝でも戦えるのを、楽しみにしてるわ」


「そうね。でも次は、こんな窮屈な場所じゃなく、もっとフリーな場所で打ちたいかな」


 笑顔を見せた歩美は、静かに去っていった。

月・水・金曜日に更新していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 強く打ちきった…これがは次につながるやつですね
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