表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜  作者: MIX
第五章:絶対に負けられない戦い
123/244

第120話:完封

 歩美の猛攻に防戦一方の小百合。

 南4局(オーラス)。ドラは六萬。またも歩美のリーチがかかる。


(これも乗りそうね…)


 小百合は溜め息混じりに思うが、こういう時の悪い予感は本当に良く当たるものだ。

 3巡後。


「ツモ。2,000・4,000」


 歩美の満貫で終了。実力で負けたとは全く思えない。しかし1回戦目は防戦一方の、悔しい2位となった。


「それでは、10分間の休憩です」


 軽く拳を握りしめる小百合。


(……何もさせてもらえなかったわ……)


 小百合はそのまま立ち上がったが、控室へ戻る気はなかった。会場の壁の近くで、深呼吸をする。


(まだよ…もう1回戦残っている)


「気にするな委員長」


 後ろから声をかけられ驚く小百合。声の主は和弥であった。


「……そんな張り詰めた顔すんなよ。一度2位になったんだ。次は最下位(ラス)じゃなきゃ十分だって」


「でも……」


 小百合は表情を強張らせる。


「少しは俺を頼れよ。それとも…俺はそんなに頼りねぇか?」


「そ、そんな事はないわ……!!」


 不思議なことに、小百合の緊張はどんどん解けていった。


「じゃあ、大丈夫だな?」


「───えぇ。ありがとう、竜ヶ崎くん」


 控室に去っていく和弥の後ろ姿を見つめながら、小百合は思った。


(格好つけすぎよ……)


 一度でいいから母・双葉に詳細を聞いてみたい。和弥の父・新一に対してずっとこういう想いを抱き続けていたのか、と。


「それでは副将戦・2回戦目を始めます。選手の方は集合して下さい」


 小百合が到着する前に、もう歩美が席に座っていた。


「彼が竜ヶ崎新一さんの息子さん? 格好いいね」


「えぇ、そうよ。私の自慢の彼氏なの」


 一瞬ギョッとする歩美。戦前に集めていたデータから、こんな事を言う性格ではないと思っていたからだ。

 1回戦目、手も足も出ず苦労していた西浦小百合の姿がない事に、困惑する歩美であった。


「それよりも貴女(あなた)……どうして彼のお父様の名前を?」


「ウチの理事長の事は聞いてないのかしら? もし知っているなら“裏プロ界の猛禽類(ラプター)”の事も知ってて当然でしょ。理事長が『俺が唯一負け越した奴』って苦笑いしてたわ」


「そう……。でもね」


 些か真面目な表情になった歩美に、小百合はキッパリ言い放った。


「私達には新しいラプターがいるわ」


「でしょうね。だから私、今回個人戦は完全競技ルールにしたんだし」


 やはりだ───小百合は思った。恐らく丸子高校も、団体戦にはそこまでウェイトを置いていないのだろう。そして真のエースは目の前の少女、五条歩美である、と。

 だが、それで腹を立てるなどバカげている。手を抜いてくれているというのなら、猶更そのご厚意に甘えるのみ。

 団体戦の優勝は“マスト”だ。


「それでは、2回戦目を始めます!」


 係員の声と共に、副将戦2回戦目が始まった。

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ