第113話:不純異性交遊・後編
『いや……キミが今何をしているか、気になってね』
「……これから寝るところです」
『そうか……まぁ、ならいいんだ』
「はぁ?すいません先生。この電話の意味が分かりません?」
『……今日はゆっくり休め。明日からはハードな日々が続くぞ』
「……先生に言われなくても分かってますよ」
(そうよ!和弥にそんな事言わないで!!)
そんな小百合の思いも空しく。
『では、また会場で会おう』
通話が切れた。
「ひょっとして、東城先生?」
「ああ……」
(気のせいかも知れないが……俺と委員長が一緒にいるのを分かっているかのようなタイミングできたな)
心の中で毒づく和弥であった。
一瞬白けムードが充満するが、強い想いがが小百合の足を止めた。そして───
「……てよ」
「え?」
「泊まっていってもいいでしょ!?」
小百合の想いが爆発した。
「いや、ちょっと待てよ委員長………」
「私……竜ヶ崎くんと離れたくない!離れるなんて嫌なの!!」
一瞬和弥は考えてから───
「……分かった」
溜め息交じりにそう答えたのだった。
(俺は委員長の事を大切に思っている。その気持ちは今も変わらない)
逆にホッとした表情を浮かべる小百合。
「……ありがとう」
「ただし、親御さんには連絡しとけよ?」
「勿論よ」
実は小百合は和弥のマンションに来る前に、すでに自宅に電話をかけていたのだ。
「じゃあ、先にシャワー浴びて来いよ」
(委員長が風呂入ってる間に、布団敷いておかねぇとな)
小百合は脱衣場に消えて行った。
裸になり、シャワーのノズルをひねる小百合。
(さすがにこれだけのマンションだけあって、浴室も結構大きいのね)
和弥が布団を敷き終えた頃、小百合が風呂から上がって来た。そして───
「貴方もシャワー浴びて来なさいよ」
「え?お、おう……」
何か有無を言わさない小百合の行動に戸惑いながらも、和弥はシャワーを浴びに行く。
(私ったら……何て大胆な事したのかしら……)
リビングで一人になった小百合は、ここまでの自分の行動を思い出していた。
(でも、もう戻れない)
覚悟を決めた小百合は、自分のバッグから避妊具を取り出す。
「委員長ー。風呂サンキューな」
和弥がリビングに戻って来た時である。
髪をドライヤーで乾かす和弥は、リビングの電気が消えている事に気付いたのだ。
(ん?委員長はもう寝たのか?)
そんな事を思いながら寝室に入ったのだが───
(……え!?)
そこには一糸纏わぬ姿の小百合がいたのだ。
「委員長!?」
「竜ヶ崎くん……」
和弥は、小百合が何をしようとしているのかを一瞬で理解した。
(……俺は)
一瞬の沈黙の後、和弥は口を開く。
「……俺でいいのか?」
小百合が小さく頷く。そして
「私は………貴方の事が好き」
そう答えると小百合は、ゆっくりとベッドに腰掛ける和弥に近付き───その唇に自分の唇を重ねたのだった。
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