表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜  作者: MIX
第五章:絶対に負けられない戦い
110/244

第107話:消耗戦

(チ………俺が親満和了(アガ)ったのに、全然動じてねぇな。何とかこの女にトドメを刺さないと。ラッシュをかけられるのは目に見えている)


 和弥も流石に、雰囲気的に微妙なモノを感じていた。こちらが親満をツモったのにも関わらず、恵がサーフィンでいう“波に乗った”状態なのが周囲にも分かったようだ。


(いや、始まってからウダウダ考えてもしょうがない)


 しかし後悔先に立たず、とはまさにこのような状態なのだろう。全員が配牌を取り終え、(ナン)1局が開始された。ドラは九索。

挿絵(By みてみん)

(手は悪くはない………)


 実際和弥の手はドラもあるし、(ハツ)の対子もある。上手くいけば索子(ソーズ)混一色(ホンイツ)まで持っていけそうだ。五筒はあるが周辺の牌がくっつかないなら、序盤で切ってもいいだろう。ダブ南も重なればハネ満まで育ってくれる。

 第一ツモは八索。一番欲しかったカンチャンが、ズバリ入ってくれた。

 ここは打九萬でスタート。他家(タチャ)───と言っても真に警戒すべきは恵のみだが。鼻歌を歌いながら牌山に手を伸ばす彼女が、どうにも怪しく思えて仕方がない。

 そんな小百合の心配を他所に、なにかが起こることもなく8巡が経過した。

挿絵(By みてみん)

 肝心の發だけが一向に出てこないまま、メンホンの一向聴(イーシャンテン)である。ダブ南はすでに2枚切れだが、安全牌(アンパイ)として持っている状態だ。


(ニ・五・八索が入ったら迷わずリーチに行くぜ)


 和弥が4巡目に切った五筒だが、それは下家(シモチャ)が四・六のカンチャンでチーをし、続けて恵が切ったニ筒をポンした。筒子(ピンズ)の連続仕掛けだが、捨て牌を見るに染めてはいなさそうだ。おそらくはタンヤオ・三色といったところだろう。

 6巡目には、和弥が切った(チュン)を恵がポンした。恵の捨て牌には萬子(マンズ)が一枚も見えていない。おそらく恵も、まっすぐ染め手に向かっているようだ。

 そして今度は、下家が捨てた八筒を井上がポンし、打・四索。上家(カミチャ)も初心者ではない。和弥が索子で染めている状況での四索切りが危険ということは分かっているはず。聴牌(テンパイ)と見るのが妥当であろう。


(困ったな………)


 和弥の手も高い打点が望める一向聴ではあるが、対局者達も既に聴牌しているなら、不利と認めざるをえない。さらにこの中では和弥と拮抗した実力の恵なら。萬子でなくても和弥の手の中から必然的に切り出される、索子以外の色で受けているハズだ。

 和弥は湧き上がってくる嫌な予感を必死に振り払いながら、牌山に手を伸ばした。ツモは二索。引いた瞬間、じっとりと指にくっついてきた。


「リーチ」


 恵にトドメを刺すべく、リーチにいった和弥。普段はダマだが、押し通すならダマテンの意味はない。

 しかし次にツモったのは、四萬だった。


「ロン」


 恵が手牌を倒す。

挿絵(By みてみん)

 やはり打点は安かった。チャンス手を潰されてしまったのは痛いが、大きな失点にならなかっただけよかったと言えるか。


「一本場で1,300」


「ほれ」


 1,300点とリーチ棒を回収すると、恵は牌を中央の収納口に流し入れる。


(やはり敵はこの女一人)


 上家と下家には失礼だが、そう思わざるを得ない。和弥は改めて気合を入れ直した。

月・水・金曜日に更新していきます。

「面白い」「続きを読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。

していただいたら作者のモチベーションも上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ