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そうだ、ヘルプマークを貰いに行こう

 今週は私の社会復帰週間でした。

 久しぶりの職場は優しく温かく私を出迎えてくれて、感謝感激です。

 もう本気で、一番忙しい時期にお休みを頂いた事を本気で申し訳ありませんでした、と、自分の胸が痛むほどでした。


 だってさ、同僚上司みんな優しい笑顔だけど、誰もが何か体を壊している感じなんですよ。よれよれって。空っぽの席もたくさんあるし。


 正月明けても疲れが残ってるんですね、だからお休みの方も多いんですね!

 過重労働すいませんでした!


 そんな感じです。


 今後は自分が出社できるかぎり自分の受けた仕事は残さないようにしないとな、そういう思いを自分が新たにしました。やはり人間を変えるのは北風ではなく太陽なんだな、と思った次第です。


 さて、出社出来る限りなんて書きましたが、実際に久しぶりの通勤は以前と違って危険がいっぱいなんだと再認識したのは、通勤と言う以前の当たり前の行為を当たり前にこなすには注意が必要となったという、自分が傷病者だと思い知った出来事があったからでもあります。


 それは、職場までの通勤に歩く速度が遅くなって歩いて五分が十分かかる、ではありません。それは入院前からだから覚悟済み。


 また、渋谷の山手線ホームが外も内も同じホームになったことでもありません。


 今どき人力でレール動かすなんてパねえな、とニュースを散々に見て知っていたので、こちらも対策済みなので混雑考えて早出したので大丈夫。


 ただし、ホーム改造には個人的には文句ばかりだ。

 以前は内と外でホームが違ったのに同じホームになったせいで、同じ階段を外と内の乗客が昇って行かねばならないという混雑が以前よりも多く、ホームあがった後の無駄な移動も増えた、という以前の方が良かったという文句だ。


 そう、以前の方が!!


 私自身の本音は、もう渋谷の改造止めてくれよ、そればかりである。


 東急東横店は高級デパートの敷居が高い田舎者の私には入り易かった場所なのに、そこが無くなり、今度は美味しい饅頭屋のたねやが入っている東急本店までも消えてしまうとは!

 期間限定で朝のうちに買わねば手に入らなかったたねやのみそ饅頭、今後また販売される時には一体どこに買いに行けばいいというのか。

 ステロイドで糖尿病になりやすい私に甘いものを控えろと言う、神様からのご意思なのか!


 だが、たねやの為に銀座三越を目指した場合、銀座にある松屋にてバクラヴァ専門店が十一月にオープンしたとの情報も得たので、私が銀座に向かった場合、糖尿病リスクいらっしゃい状態であろう。


 そう、世界は傷病者を更なる危険に落とす落とし穴ばかりなのである。

 しかしながら、落とし穴がなくても勝手に転ぶのが傷病者。


 そうなのだ。

 私が自分が傷病者になったのだと思い知ったのは、通勤途中の、それも職場のすぐ手前の公道にて大コケしたからである。


 バランスを崩した程度で転ぶ。

 以前だったら転ぶことなく踏ん張りがきいたはずが、全く踏ん張りがきかずに大コケしてしまう、これは情けなく悲しいものだった。


 自分の状態が信じられないと、道路で情けなく転がる私。

 もうこのまま転がって、通勤途中という事で労災病院に運んでもらおうかな、そしてそこからもう自分は出勤できません言おうかな、そう考えた。


 思い直したのは、左手が同僚宛のお菓子が入っている紙袋の取っ手を転びながらも手放していなかった事と、転がる自分に声もかけずに通り過ぎる自分と同年代でも働く必要もなくテニスクラブに向かう有閑マダム達の冷たい視線である。


 同僚には一番忙しい時に入院させて貰ったお礼は言いたい。

 せっかく買ったお菓子を皆に配らねば、でしょ?

 有閑マダム達に、地球が大好きすぎて地面にダイブしたがる人間と思われないアイテムを手に入れねば、でしょ?


 実を言えば、私はテニスクラブのご婦人方に期待はしていない。

 職場の近くにあるそのテニスクラブの会員様は大雨や槍が降らない限りテニスしている方々ばかりであり、私達とは違う感覚で違う人種だとよくわかっているのである。逆に大丈夫ですかの声掛けとか助け起こされたりしたら、テニス以外のものが見えていたんですね、とこちらが驚くぐらいなのだ。

 そんな彼女達からやばい人がいるという視線を浴びてしまったというならば、彼女達には自分が路傍の石となるべくアイテムが必要なのではないか?

 そう考えた次第である。


 私は地球が大好きで地面に抱きついてはいないのよ。

 見て、ヘルプマークを持っている傷病者なの!

 だから、こっち見ないでさっさとテニス行け。

 そんな感じだ。


 目的が定まったならば行動に移さねばならない。

 私はちゃんと出勤するのだ。

 職場には難病友の会で先輩のハンナがいる。

 彼女に聞くのだ。

 ヘルプマークはどこで手に入れるんですか?って。

 そこで私はのそのそ立ち上がった。

 起き上がるのも一苦労とは、ハハハだ。


 でも頑張って会社に行けて良かった。

 私はハンナに再会し、私の知らなかったステロイド治療についての今後についてのさらに詳しいお話を教えてもらい、元気づけてもらい、ヘルプマークを貰う場所も教えて貰えたのである。


「都営バスの営業所や地下鉄、それから、役場で配っているよ。」


 どうして難病申請した日に貰って来なかったんだろう。

 しくったわ。

 ついでに、病気や障害を証明しなくても貰えるらしいので、元気な人もヘルプマークを付けて電車の座席奪いをしているらしいという話も聞いた。


 そうか、ヘルプマークは席を譲れというマークにもなるのか。

 ヘルプマーク付けたら優先座席付近にしか立てないなあ、困った。

 世の中は親切な人間が沢山いるからなあ。


 昨日は若い女性二人が優先座席の前に立っていたのだが、彼女達は優先席だからと座らない良い人達であった。だけど、私にはとっても迷惑だった。なぜならば、彼女達が持っている荷物は押しのけるには大き過ぎのものだったからである。


 掴む場所無く電車の揺れに立っているだけで精いっぱいの人間には、彼女達の持つ荷物を押しのけて空いている椅子に辿り着くことは無理だったのだ。


 私はぐらぐらと覚束ない状態で立ちながら、彼女達が優先座席に座れる人種であった方が良かった、なんて考えた。

 彼女達のどちらかが座ってくれれば、私は彼女達が使うつり革かバーを掴むことができるのだ。頼むから座ってくれ、なんて願った次第なのである。


 ハンナも言っていたが、ヘルプマークを付ける理由は、自分が動けなくなった時に助けが必要な人間だって知って欲しいだけなのだ。電車の席を譲って欲しいからつけているわけではない。


 だから、座席は替わんなくていいよ。

 元気な人だって辛い時は辛いんだから座ってていい。


 だけどお願い、なんか掴む場所だけちょうだい。


 そんな感じだ。



お読みいただきありがとうございます。

優先席に座ると視線が痛い、転んだりしたときやなんかゆっくり歩いている時の邪魔だなって視線が痛いってことでヘルプマークを貰う事にしました。が、上に書いてある通り、優先座席じゃない場所だったら席を替わらなくていいのでは、なんて自分は思います。


ハンナもそうだけど、辛いんだったら辛いなりに対策して動くモノじゃない?普通は、社会人だったら。だから、助けてと声が上がるまでは私達は大丈夫なんだよ。


優しい人で世間は溢れていると思います、ので、優しい人こそ無理をせずご自愛なさってください、そう思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 渋谷、健康体でも迷子の果てに異常な上下移動を強いられてへとへとになるので改装はやめてほしいですね(´・ω・`) 個人的には新宿よりも厄介。
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