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難病認定の受給者証は一昔前のアナログだった

三月末にようやく難病認定の特定医療費受給者証が届いた蔵前です。

この認定は三月に認定されようと、申請した日にさかのぼって助成されるというもので、私が申請したのは一月六日ですので一月六日以降から助成が受けられるという事になります。


どういう事かは、本来受けられる助成金を私が払ってしまっている状況となるのでその分をあとで返金して貰える、ということです。


一月五日に担当医から、今日中に申請してね、と言われた訳がわかりましたよ。

助成を受けられるのが一月六日以降の医療費ということで、一月五日は助成が受けられないんですね。一月五日も医療費高かったのに、勿体無い。


さて、今回のお話は、難病認定の受給者証の使い方、です。

難病認定されて、それも指定難病だった場合、オレンジ色の特定医療費受給者証という無駄に大きな(A5)保険証みたいなものと、やっぱりオレンジ色で同じサイズの自己負担限度額管理票という小冊子状のものが手元に届きます。

この二つはセットであり、助成を受けるためには医療機関に受診した際には必ず提示しなければいけないものだそうです。


なぜかというと、自己負担限度額管理票に限度額に達するまで私が支払った金額等を、医療機関にて記入してもらわなければいけないからです。一か月の限度額に達した時点で記入はありませんが、限度額に達している記入済みの管理表を確認してもらう事で、医療機関からの私への請求が無くなります。


マイナ健康保険証さえあれば、という現在の流れですが、マイナ健康保険証は特定医療費受給者証と自己負担限度額管理票をカバーしていません。

マイナ健康保険証を持っている人も、特定医療費受給者証と自己負担限度額管理票という無駄に大きなものを持ち歩き、受診した医療機関の人にちまちま書いてもらわねばいけないのです。


本日令和五年4月4日。

受診日であった蔵前は、病院の受付にまずそのセットを出しました。

色々とコピーなど取られたのでこれで充分かと思いましたが、会計時、総合病院の総合窓口の会計ですが、その会計担当の事務の人から、計算用のカルテを突っ返されてしまいました。


「今回の診察が特定医療費の適用になるのか担当医師か内科の窓口にて確認して貰って下さい」

「受給者証に多発性筋炎って記載がありますよね。本日の内科の膠原病科の受診はそれでなんですが、確認しないといけないんですか?」

「申し訳ありませんが、こちらで確認できませんので」


私は、面倒だな、そればっかりだった。

大病院だ。それも総合病院。

私は会計用のカルテを受け取ると、とぼとぼと内科の窓口に戻った。

ただでさえ忙しい窓口の人に申し訳ないなあ、なんて思いながら。


私が内科の窓口に舞い戻ることに二の足を踏んだのには訳がある。

この病院では、三月末まで患者呼び出し機なるものを使用していた。呼び出し機は自分の番近くになると鳴ってお知らせしてくれるという、名前通りの物だ。

呼び出し機を全廃したのは、呼び出し機の消毒や管理保守という猥雑な業務が消えて病院は楽になると思ったからだろう。


だが親切な病院は呼び出し機の撤廃でお終いにはしていない。

呼び出し機の使用をやめた代わりに、病院はお知らせアプリを始めたのである。


スマートフォンにアプリをご登録ください!


病院の職員達が、患者にアプリの登録をするように積極的に声をかけていた。

できなかったら私達がアプリを入れてあげる、と。


呼び出し機よりもサービス満点のアプリで患者も幸せ、余計な仕事が減って職員も幸せ、余計な出費が無くなって病院も幸せ、そんなアプリなはずだった。

だが、現在患者が大混乱中で医師は大困りの事態にしかならなかった。


「呼び出しても患者が診察室に来てくれないんです」


私の担当医も嘆いていた。

確かに、待合室やその他のフロアで私が目にしたのは、自分の順番になっても診察室にいかずに、自分の番はまだかと色々な所で尋ねまくる患者達の姿である。


「呼び出し機が無くなったけど、自分の番をどうやって知ればいいですか」

「スマートフォンでアプリの登録をされていますか」

「しています」

「でしたら呼び出し機と同じようにご案内があります。掲示板でも呼び出された番号を表示していますからそちらも確認してください」

「呼び出し機が無いんでわからないんですけど。自分の番はちゃんと教えてもらえるんですか」


混乱するのも同然よな。

だって、平日の昼間に病院に来れる患者さんは、高齢者が殆どでしょうよ。

自分で入れられないアプリを活用するなんて無理だって。


私は目にした今日の病院の混乱ぶりを思い出しながら内科の窓口に戻った。

順番カード機はなかなか順番が来そうもない人数を表示していた。

わあ、今日は空いていたはずなのに。

私はなかなか順番が来そうもない順番カードを引き、待合室のベンチに座った。私ももうそろそろスマートフォンを買わなきゃいけないのかな、そう思いながら。


長い待ち時間の後、私は呼ばれ、会計窓口でのことを内科窓口に伝えた。

窓口職員が言うには、会計用の書類と医師が出した処方箋に受給者証の番号を書く欄があり、そこを埋めておく必要があったとのことだ。

私は窓口の人に礼を言い、再び会計窓口に戻った。

七面倒くせえ、そんな風に考えながら。


そんな私だったからか、今日一日で限度額を達してしまった。

わーい、次の診察とお薬代はタダだね!

て、いうか、毎月二万はかかるぞ、は変えられないのね。


挿絵(By みてみん)


蔵前は限度額が一万円になると思い込んでいましたが、「高額かつ長期」の認定をしてもらえなかったのか、自己負担2割の限度額2万円というものでした。

仕方がないよね、薬大杉だもの。

朝のお薬 ステロイドが15ミリから14ミリに減量したよ

でも、3錠から6錠になったよ!

挿絵(By みてみん)

夜のお薬 免疫抑制剤プログラフカプセル 1錠1ミリ

「蔵前さんは小柄だから4ミリは無理ですよね」

「無理だと思います」

っていうか、3ミリが人に入れられる限度って先生は以前に言ってましたよね?

挿絵(By みてみん)


病院から帰ったらお薬セット。

死ぬまでこのたんぽぽを乗せるお仕事をしなきゃいけないのはむなしいなあ。

そう、膠原病は永遠に治らないのよ。

症状を抑えるだけでね。

ということで、死ぬことも無く、代り映えせずにダラダラ続くだけの病状に辛い怠いと呟いて心優しい方にご心配をかけてしまうのも心苦しいので、一先ずこチラは終わりにします。


ご心配頂きありがとうございます。

蔵前から一つ言えることは、検査と入院が絶対に必要なこんな病になった場合、健康保険限度額適用認定証だけは直ぐに手に入れて(申請で退院前に家族に届けてもらえばいい)、さっさと入院してしまうのが一番お金がかからないよ、という事です。

入院中の検査だったら全部入院費に入ってしまって、だけど請求が限度額ですよ。


お読みいただきありがとうございます。

多発性筋炎になったばかりの頃は、どんな病気かな、と興味で調べたりも楽しかったし、自分が検査されるその環境が面白かったこともあるのですが、今は血液検査とお薬を飲むだけ。

新発見無しなのに怠いばかり。

つまり、状況が詰まんなくなっちゃったんです。

鬱々としたものを書いて優しい人に心配かけるのも申し訳ないし、

そういう文ばかりしか自分が書けないのも面白くない。

ということで、終了です。

お読みいただき、また、ご心配していただき、本当にありがとうございました。

難病になろうが蔵前が気楽にフラフラできるのは、皆様のお陰です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 連載お疲れ様でした(^_^) そして認定、良かったですね。 金銭的な心配が少し減るだけで、気持ちも違いますから。 読ませていただき色々ためになりました。 ありがとうございました。 こ…
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