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辺境伯令嬢ファウスティナと豪商の公爵  作者: 桜井正宗


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7/7

さようなら、妹と伯爵

 あれから数日後。

 わたしの住んでいた家に不幸があったらしく、一家離散したようだ。


 噂によれば、伯爵のエルズワースが家を乗っ取ったとか何とか。妹は……エレインは、伯爵と何か企んでいるようだけど。


 父も母もどこへ行ったか分からない。行方不明だ。



「エゼル様、わたし……」

「ご両親が心配だね」

「いえ、これはわたしが望んだこと。もう家に帰らないと誓ったあの日から、こんなことも覚悟しておりました」


「しかし……」


「良いんです。今のわたしはエゼル様と一緒に過ごせるだけで幸せなのですから」


「そう言ってくれると嬉しいが。……本当に良いんだな?」

「……はい。わたしは過去は振り返らない。未来だけを見ています」



 エゼル様の瞳を見つめる。

 その瞳の中には、わたしの姿が映し出されているようだった。


「なら、一緒にこのエル・ドラードを経営していこう」

「本当ですか。とても嬉しいです」

「もちろんさ。これからも同じ時間を過ごし、君を幸せにするよファウスティナ」


 なんて嬉しいお言葉。

 この上ない幸せ。


 けれど、邪魔者はこんな時にやってくる。



「いるんでしょ、ファウスティナお姉様!」

「まだこんなお店にいたのかい、ファウスティナ」



 エレインと伯爵だ。

 外からわたしを睨む。


 近づけないのは、エゼル様の張り巡らせた“罠”のおかげだ。彼等が一歩でもお店に近づけば電撃が走る。そして、彼等は深刻なダメージを負う。


 それはもうエレインで実証済み。


 わたしが追い返そうとすると、エゼル様が宝石を弾き飛ばした。あれは、貴重で価値の高いルビーね。


 赤い軌道を描くルビーは、二人の目の前で爆発。死なない程度に丸焦げにした。



「「…………」」



 エレインも伯爵もその場に倒れて、煙を上げていた。

 周囲の人たちは何事かと集まってきて、二人を見下ろす。……これで終わりね。



「おい、この二人!」「エレインと伯爵じゃねえか」「コイツ等、最近俺たちから巻き上げてよォ!」「いい加減に食べ物や金品を奪うのは止めろ」「貴族ばかり得しやがって!」「この二人をボコボコにしちまおうぜ」「弱っている今がチャンスだ」



 十、二十と集まってきた市民がエレインと伯爵へにじり寄り、ついに足を伸ばした。


 ひとりが伯爵を踏むと、別の誰かがエレインを踏んだ。ボコボコにされていく二人。



「きゃ、きゃあああああああ……やめてええええええ!!」

「うあ、うあ、うあああああああああ……わ、私は伯爵だぞ!! お前達を食わせてやっているんだぞ!!」



「ふざけるなあ!!」「この悪徳貴族!!」「死ね、死んでしまえ!!」「この二人を追い出せば、このエリアは平和になる!!」「そうだ、少なくともここは平和になるんだ」「みんな、やっちまえ!!!」「ぶっ殺せ!!」



 ついに民の怒りは爆発。

 エレインも伯爵も完膚なきまでに殴り蹴り飛ばされていた。


 その状況を見て、エゼル様も一安心していた。


「二人が連れ去られていく。きっとあのまま運ばれて、どこかに捨てられるのだろう」

「もう二度とここへ来ることはないのですね」

「ああ。我々の勝利だ」

「……良かった。これで安心してお店を経営できますね」


「そうだね。そうしよう、愛しの人ファウスティナ」

「まあ、嬉しいです! わたしもエゼル様をお慕いしております」



 手を取ってくれるエゼル様は、わたしだけを見つめてくれる。宝石のような瞳で。



 これからも、わたしはエゼル様とお店を支えていく――。



挿絵(By みてみん)

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