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愛煙家。  作者: 園田碧
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第二話

こんにちは、園田碧です。第二話でございます!

読んでいいねしていただけると幸いです。

サキ  「ほら、ここ」

ナオヤ 「わ、すごい……」


 サキちゃんと付き合って二ヶ月が経った。告白してからはトントン拍子で進んでいった。最初の頃はドギマギして話すことすらままならなかった。それでも彼女は笑ってくれていた。そんななんでもない事が嬉しかった。


サキ  「どう?美味しいでしょ」

ナオヤ 「うん、美味しい!こんなとこに居酒屋あるなんて知らなかった」

サキ  「ここ、アタシの行きつけなんだよね。タバコ吸える居酒屋、最近減ってきたからさ」

 そう言いながら彼女は煙を吐き出す。彼女はタバコを常に持っている。無くなったと思ったらまた新しい箱を持っている。気になった僕は思い切って彼女に聞いてみた。


ナオヤ 「どうしてそんなにタバコを吸うの?」

サキ  「んー、なんだろ。アタシがアタシでいられるから」

ナオヤ 「へぇ……」

サキ  「こんなくだらない事も真面目に聞いてくれるんだね、ナオくんは」

ナオヤ 「そ、そりゃサキちゃんの事好きだもん。ちゃんと聞くよ」

サキ  「そう」


 そしてまたひとつ、煙を吐き出す。彼女はたまに不思議なことを言う。きっと彼女の世界があるのだろうから、僕は興味があった。僕みたいな平凡な人間には考えもつかないことを考えているんだ、きっと。


ナオヤ 「またね、サキちゃん。ありがとう」

サキ  「ナオくん」

ナオヤ 「な、なに?」

サキ  「今日、アタシの家来る?」

ナオヤ 「え?」


 サキちゃんの突然の誘いに変な声が出た。付き合ってお互いの家に言ったことはある。しかし、もう既に深夜に近い。そんな時間に誘われるということは、もう想像している通りだろうか。


サキ  「アタシ、一人だと寝付き悪くてさ。ナオくんがいてくれたら寝れるかも」

ナオヤ 「さ、サキちゃん!からかわないで……!」

サキ  「からかってないよ。ほんと」


 背中を向けてた彼女が振り返って、その顔にドキッとした。哀しいような、嬉しいような、綺麗。その一言で十分なくらいだった。


サキ  「来るの?来ないの?」

ナオヤ 「え、あっ……その……」

サキ  「いいよ、来なくても」

ナオヤ 「行くよ!」

サキ  「……だよね」


 鼻でふっと笑う彼女にまたひとつ、ドキッとした。結局僕は彼女に着いていき、彼女の家へたどり着いた。


サキ  「なんでそんなに固くなってんの」

ナオヤ 「い、いやっ、別に……」

サキ  「別にって言われても気になるよ」

ナオヤ 「だ、だってこんな時間に家に呼ばれるってさ、その、なんて言うか、えっと……」

サキ  「恋人なんだから、誘うのはおかしくないでしょ?」



 そう言いながら彼女は僕に近づく。もう、僕の顔が赤くなって心臓が口から飛び出そうになるくらいには近かった。彼女はいつもと変わらない表情で僕に甘い言葉を囁く。


サキ  「ナオくん、きて」

ナオヤ 「っ……」


 その人は、僕の心にそっと語りかけて時間をかけて犯す毒グモのよう。


ナオヤ 「……サキ、ちゃん……」

サキ  「ナオくん……すき……」

ナオヤ 「僕が一番……?」

サキ  「うん」



 サキちゃんは、僕が一番好きだ。

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