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人形

投稿後たくさん、誤字報告頂くので投稿すると発動する機能なのかと気になりはじめました。なろうのシステムなのでしょうか?この量の誤字脱字の修正を人がやってるとは信じられなくて「なろう 誤字脱字 AI」とか色々打ち込んで検索していますがバカ過ぎて分かりません。人がやってるとしたら天才かよって思います。

コーヒーの芳醇な香りと焼き立てのパンの香り、今朝は珍しく洋食でベーコンにオムレツとサラダとフルーツが彩鮮やかに食卓を飾っている。洋食嫌いの当主が昨日から出掛けているためこのメニューが出てきたのだろう。

食後にコーヒーを飲んでいると綾姫の父に近々出席予定の招宴で着用するドレスを綾姫と一緒に見てきてはどうかと提案される。綾姫を見ると、複雑そうな表情で了承している。今までの綾姫の経験を思うとこの表情が理解できる。


店に着くと店先では数人の従業員が姿勢よく会釈をしている。

「お久しぶりです。杜若かきつばた様、えんじゅ様。」落ち着いた大人の女性という印象だが、高坂瑞樹こうさかみずきは少し変わった女だった。綾姫や俺とは10年来の付き合いがあり、元々は先々代から続く取引先のご令嬢だった。それが綾姫を着せ替え人形の如く可愛がり、コネと趣味と実益と本人曰く実力で杜若の会社に入り込み若くして部長の座まで上り詰め今では綾姫絡みの業務はほとんど任される程に信頼も持たれている。

「お久しぶりです高坂さん。お会いできて嬉しいです。」

「相変わらず可愛すぎます。こちらこそお嬢様にお会いできるのを楽しみにしておりました。できれば昔みたいに瑞樹ちゃんって呼ばれたいです。」始めこそ礼儀正しさと適切な距離感をもって接していたが、綾姫が話し始めると表情に加え口調まで変わり手を握りしめている。瑞樹の迫力に負け綾姫が一歩後ろに下がる。

瑞樹と綾姫は決して仲が悪いわけではないのだが、瑞樹の綾姫を着飾ることへの執念は傍目から見ても恐怖心を感じる。

「今日はよろしくお願いします。・・・瑞樹ちゃん。」綾姫からしたら瑞樹の雰囲気や齢差を考えるとちゃん付けで呼びにくいのだろう。笑顔で乗り切ろうとしたようだが無言の圧力に耐えかねたようで、要望通り名前を呼び掛けている。

「お任せください。社長と共に吟味し選び抜いた物のみをご用意いたしました。」社長と言うのは綾姫の父だが、この二人は綾姫を着飾り愛でることを趣味としている。趣味と簡単には済ませられない程の狂気じみたこだわりを持っている。

「・・・そうですか。それは・・・怖いですね。」綾姫も経験から何かを察しているようだ。本音が出てしまっている。

「安心してください。写真を撮らせていただいて、私が厳選した服を着てもらう程度です。お嬢様の可愛さを最大限に引き立たせるアクセサリーや小物もたくさん用意しました。」瑞樹も綾姫が引いていることには気付きながら、綾姫を着飾ることに一切妥協しない。

「今回も写真を撮るんですね。」毎年、写真集を作っていて市場には出回っていないが最近では知る人ぞ知る一品らしい。年々こだわりが強くなり凝った服とシチュエーションが用意されている。

「恒例行事ですからね。1年間待ちに待ったかいがあります。社長も楽しみにしておりました。」

「・・・楽しそうですね。」

「それだけじゃなく業務にも活用しております。お嬢様のお陰で取引先にも好評ですよ。」多少申し訳ないという気持ちはあったようで、自分たちだけの為ではないと伝えたいようだ。

「そうですか。」

「それから千花晴君の服も用意してありますよ。」毎年この撮影会に付き合っているだけに心配になる。

「お兄様とですか?!お兄様と写真ですか・・・。」綾姫は道連れができて安心感が増したのか、笑顔が戻ってきている。

「はい。よろしければお嬢様にも写真お送りしましょうか?」

「ぜひください!」

「俺も着るのか?」

「来週の招宴にお嬢様と千花晴君も出席されると伺いましたのでご用意いたしました。」

雑談をしながら案内された部屋に入ると、ソファーやテーブルセットがいくつかあり別の部屋へと続くドアが数か所設けられている。着替えや撮影をする部屋がいくつかあり撮影用の部屋はインテリアのテイストがそれぞれ違う。

「こちらの者がお嬢様のお召替えをお手伝します。早速お着替えお願いします。」瑞樹が指示を出しあっという間にヘアセットまで終えた状態で出てくる。大きな水色リボンにフリルがたくさんついた水色のワンピース、白のタイツに黒の靴、テディーベアまで持たされている。

「私の好みとは少々違いますが・・・」着せ替えられたものの言いにくそうに呟いている。

「ご安心ください!完璧です。それでは、そちらの椅子に腰掛けてゴキブリを見る目で目線をこちらに」

ちなみに幼児物らしい。綾姫が聞いたら今すぐ笑顔で服を脱ぎ棄ててしまいそうだ。瑞樹によるとひらひらして可愛いこの服を見た時、綾姫に着せたらと妄想が膨らんだそうで綾姫用に作ったらしい。

その後も着物や洋服を着せられ、写真を撮られぐったりしている綾姫と引き換えに瑞樹がどんどん盛り上がっていく。

「少し休憩しましょうか?」

「はい。」待っていたとばかりに力強い返事を返している。

「お疲れ様。」ソファーに座り込んで息をつく綾姫に声をかける。

「疲れました。」

「お菓子とお茶も用意してありますよ。コーヒーと紅茶どちらにいたしますか?」

「それじゃあ、コーヒーで。綾姫は紅茶がいいかな?」

「いいえ!私もコーヒーで!」

「千花晴君もお嬢様もコーヒーですね。コーヒー3つお願いします。」瑞樹が指示を出すとすぐにコーヒーと菓子が運ばれてきた。

「今回も沢山試着してくださってありがとうございます。」

瑞樹が砂糖とミルクをすすめてくれる。

「あと何着ありますか?」

綾姫に目を向けるとコーヒーに角砂糖を3つにミルクもしっかり注いでいる。

「あと15着程お願いします。」

「そうですか。」思ったより多かったようで綾姫の顔が目に見えて落胆している。

「気に入ったものはございましたか?」

「3着目のワンピースは気に入りました。他は少し子供っぽい気がして…」ほとんどが可愛さを重視した子供用の衣服を綾姫用にアレンジしたものらしくリボンやフリルをこれでもかというほど使用したものが多かった。

「大人っぽい服がお好みなのですね。後半は大人っぽい服も数点用意してあります。」

「楽しみです。」

「ところでお嬢様、学校はいかがですか?」

「中等部とほとんど変わりませんね。」

「そうですか?お嬢様くらいお綺麗でしたら異性から告白を沢山受けるのでは?」

「いいえ、全く。中等部同様、女子校ですので異性との関わりはありません。」

「千花晴君は?」

「俺も全く出会いないけど。」

「そうですか。それは良かったです。」

「どこが。」

「そういえば千花晴君は、杜若家の会社に入るものだとばかり思っていたけれど違ったんですね。」

「瑞樹こそ高坂の会社を選ばなかっただろ。そもそも働く必要もなかった気もするけど。」

「家にいては縁談ばかり持ってこられ最終的に好きでもない方と結婚する羽目になりそうでしたので。それにこちらなら綾姫お嬢様や千花晴君に会う機会も増えるかと思いまして。」

「お兄様に?」

「千花晴君が入社したら先輩としてこき使ってやろうと思っていたのに残念です。」冗談めかして言うが、冗談か本音か分からない所が怖い。瑞樹には昔から散々からかわれてきた。最初こそ面倒な奴だと思ったが、今ではそういった所にも慣れている。

「入らなくてよかった。」

雑談し休憩時間を終えると試着が再開する。

「次は千花晴くんもお願いします。」

「本当にするんだ。」

「一緒に頑張りましょうね。」

「お嬢様もやる気満々ですね。」

渡された服に着替えると瑞樹が傍に寄ってくる。

「何?近いんだけど。」顔をまじまじ見つめられ気まずさに耐えきれず尋ねる。

「少し髪型を変えましょう。」細くひやりとした手が顔に触れドキッとし一歩後ろに下がってしまう。

「すみません。手冷たかったですよね。」

「いや。そういうことじゃないけど・・・」とっさに謝られ否定したものの言葉に詰まってしまう。

「ここに座って貰えますか?」

髪を整え終えた頃、綾姫も着替え終わったようで出てくる。黒のワンピースに白いエプロンをしている。頭にもひらひらとした飾りに黒いリボンが付いた独特のデザインの飾りを付けている。

「これは何のための服だ?」

「喫茶店の制服です。大事な取引先からの依頼らしくお受けすることになったようです。」

「いいですね。」

「お嬢様もお気に召しました?上品さを重視した物から、動きやすさを重視、可愛さを重視などいくつか用意してみました。千花晴君はお客役です。」

瑞樹の指示に従い撮影に入り、洗練された動きで優雅にお茶を注ぐ綾姫。思わず見とれてしまうくらい様になっている。

「お嬢様、お茶を入れるのもお上手なんですね。もう一度お願いします。」瑞樹も撮影を忘れてしまうほど見入ってしまったようだ。

「ありがとうございます。分かりました。」

その後も四季に合わせたドレスに合わせて小物やポーズや設定を変えて写真を撮り終えた。

「お疲れさまでした。」

「瑞樹ちゃんもお疲れさまです。楽しかったです。ありがとうございました。お花までいただいて。」綾姫が持っている花は、ドレスを着て撮影した際に使用した花で何故かとても気に入ったようだった。

「いえ。今からでも包みましょうか?」

「いいえ。このままがいいんです。」

「そうですか。」

「それでは後日洋服の方お送りいたしますね。」

迎えの車に乗って杜若邸まで向かう。

「お兄様って瑞樹ちゃんと仲良いですよね。」

「年も近いし話しやすいからな。」家格や血筋を重視する者からしたら、槐家の汚点扱いされる俺は何も持っていない混ざり物でしかない。家柄の良い瑞樹が俺の立場を知っても親しくしてくれたことに当時はとても驚いた。

「瑞樹ちゃんみたいな女性が好みですか?」

「そんな風に見たことないよ。」

自分の立場を理解しているから恋愛対象としてみたことはない。

「ではどんな方が好みですか?」

数日空きましたが誤字脱字の多さにやる気失ったとか、感想、ブクマ数が少なくて落ち込んだとかじゃありません。書き直したり色々忙しくて。自分の想像したものを文字にすると、よりリアルにより具体的に妄想できて楽しいです。感想いただいた所は直して初めて面倒になって雑に済ませた所だったのだと気が付きました。結果妄想が具体的になり楽しいです。どんな感想でも有り難いです。ぜひ感想よろしくお願いします。

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