ep カマキリ
第二話 流行り物
「それで、依頼と言うのは? といってもワタシはここの家主ではありませんけど。でも、一応それ関係のことはなんとなく分かるので、話してくれませんかね?」
ワタシは先程来た依頼人に向かって言う。ソファに座って対になる。少し、緊張する。ちなみに黒笑は帰っていった。ここに居ても邪魔になるだけだし家に帰って宿題の続きをするとのことだ。
「あのぉ? いいでしょうか? 話しても?」
「あっすいません。いいですよ。」
笑顔で返した。
「私今年で中学生なんですけど、三年なんですけど、今中学校で流行り物がありまして。それについてなんですけど。」
中学三年生だった。それにしても、受験生がこんなところに来てもいいのかな? 勉強とかで忙しそうなのに。違う。そうだからかな? 忙しいからこそ、ピリピリしてるからこそ、≪怪≫ が近付きやすかったり? けれど、それは、恐らく違う気がした。なぜなら、彼女は確かに、正確に言ったのだ。 ―流行り物― と。
「それで、その ―流行り物― ってなんですか?」
「それはですね。呪いの類いなんですよ。最初は噂で、冗談半分で、誰かが笑い話にと言ったことなんですけどね。それが次第に膨らんでいって、最終的には実際にやっちゃう子も居て。それでいて、最近 ≪呪い家≫ と言われた者が表れ呪いの道具を高値で売り付けてるんです。それが ―流行り物― になっちゃてそれで私の友達が呪われちゃたんです。」
情報が多すぎる。それでも、簡単に砕いていく。結論、結果論としては、助けてほしいと。友達を。そう聞くと彼女は。
「はい。それもあるのですけれど、その ≪呪い家≫ の方も追い払ってほしいのです。御願いします。」
そう言って頭を下げる。深々と。けれど、言わなければいけないことがある。
「ワタシは協力します。けれど、最後に決めるのは今は居ませんが、」
そう言いかけた時、彼女はワタシより先に答えた。
「吸血鬼ですよね?」
確かに、あっているのではあるのだけれども、 ≪吸血鬼≫ は自分で名乗っているのだろうか? 先日は黒笑に攻撃体勢をとっていたのだけれど。黒笑の件から、恐らくあるであろう、ホームページか何かに付け加えたのだろうか? まぁ今は知るよしもないのだけれども。
「あの、では、また来ますね? もう遅いですし。今日はありがとうございました。」
そう言ってソファから立ち、玄関に向かう。
「では、また来ますね? いいですか?」
「ええ。ワタシはいいですよ。」
そう言いうとドアノブに触れ扉を開け、帰って行く。
「帰ってきたときにでも、言っておこうかな。それにしても、どこに行ったのかなぁ。それで、、、あれ? 次いつ来るか聞いてなかったな。」
ワタシはそう言ってドアノブに触れる。やけに冷たかった。まぁ今はそんなことどうでもいいのだが、取り合えず外に出る。
「居ない。走って帰ったのかな?」
そう自分になっとくさせ戻ろうとすると。
「あれ? 外でなにやってんスか?」
振り向くと、自転車にまたがった黒笑がいた。
「こんなところでなにやってんの?」
「ちょっとしたサイクリングッス」
おい。あんたは宿題をしなくてはいけないでしょうが。何がサイクリングだよ。でも、いいところに来た。
「あのさ、今中学生の子が通らなかった?」
「中学生? 見ませんでしたけど? なにかあったんスか?」
「いや、まぁならいいんだけど。それより、サイクリングするぐらい暇ってことは、もちろん宿題はできたんだよね?」
「あっ用事思い出したんで帰ります。さよならッス」
「いや、逃げれないでしょ。」
取り合えず上がらせた。宿題も持っていたので続きをすることにした。持っていたということはしに来たのだろう。
「家ではしないの?」
「まぁ家には誰も居ないんッスけどでね、でも、一人でやるより、誰かと一緒にやってた方が楽なんスよ、気持ち的に」
そっかとだけ言っておいた。
「あっそうそう。さっきのアレ、なんスか?」
アレ? アレってなに?
「ん? ああ、そう言うとことッスか。いや、うん。気にしないでくださいッス。勘違いだったので。」
すごく気になる勘違い。
「ああ、いや、本当、なんでもないッスよ。気のせいッス」
さっきと言ってることが違うのはどうしてだろうか?
「あっここどうやって解くんスか? 教えてください、先生」
明らかはぐらかされた。見え見えのやり方だった。でも、教えてと言われたら、教えるのがワタシだからね。素直に教えた。そうやって夕日が出たころ、黒笑は帰っていった。その一時間後 ≪吸血鬼≫ が帰ってきた。今日あったことを全て話すと。
「はぁまったく。遅かったか。不味いな。さて、どう出るか。」
「どうしたの?」
「最悪の状況とだけ言っておこう。」
その日はやけに寒かった。
次回で ep カマキリ も終わりかな?