第7話 新しい仲間
宿に泊まり、冒険者になるための装備を整えた
とりあえず買ってくれた装備を着てみる。サイズは合っているみたいだ。うーんどうかな、ちょっと冒険者っぽいかな。かばんを背負ってかっこつけてみたりして。不本意だけどまあこういうのも悪くないかも?自然の中でハイキングしたり草をとったり魚釣りしたり。なんだかゲームみたい。少しわくわくしてきた。
着替えを終えて酒場へと向かう。相変わらず雑然としているがこの格好のおかげでなじめているみたい。テーブルに座っているキルフェルがこちらに手を振っている。
「お待たせしました、サイズぴったりです。ありがとうございます」
「はは、それはよかった。それで紹介料とかもろもろの代金なんだけどここに書類があるから後で目をとおしておいて欲しいんだ」
そう言って彼は紙の束を取り出した。うわ、こういうの面倒だな。
「具体的にどれぐらいの支払いがあるんですか?もし稼げなかったら」
「いや大丈夫、その月の君の稼ぎから引かせてもらうから。その月の稼ぎの三割、次の月に支払ってもらう。たとえば大金三枚稼いだら小金九枚って感じ。残りは好きに使っていいよ」
えーとどういうことだ。とりあえず三割か、結構大きいな。
「もし間違えて使ってしまったらどうするんですか?」
「それはその分またツケが増えるかな。それか直接稼ぎから引かせてもらうよ。とりあえずクリア表は取っといて後で計算できるように、あっ計算できる?」
クリア表?成功したら領収書みたいなのがもらえるのかな。それならわかりやすい。それとここには読み書きできない人がいるのかな。まあ私は一応大学まで出ているから心配ない。
「はい大丈夫です。読み書きできますよ」
「それはよかった。冒険者はできない人少なくないから。それじゃあ君のパーティメンバーを紹介するよ」
パーティ?私一人で行くんじゃないの?まあ初心者一人で行かせるなんてそんなひどいことしないか。先輩と一緒なんて安心だ。すると彼はギルドの従業員に話しかけ始めた。
「あの三人いる?」
「え、本当にあいつらと組ませるのか?まあいいか、お前もよくやるよなぁ。あっちにいるぞ」
なんだか嫌な感じだ。もしかして厳しい人たちなのだろうか。黙ってキルフェルの後に続くとそこには三人の男の人が座っていた。おじさんと若そうな人二人。食事をしている。
「やあ、食事中申し訳ないんだけど新しく入れて欲しい子がいてさ。紹介するよトモエちゃんだ」
「あの始めまして夢見沢 朋恵です。よろしくお願いします」
私が頭を下げても三人は無反応だ。しょっぱなから無視なんて、少し期待しただけ馬鹿だったのかも。もうこの際、別に一人でもいいか。
「じゃあトモエちゃん困ったことがあったらいつでも来てね。それじゃ」
そう言って彼はどこかへ行ってしまった。困ったときって今なんだけど。