表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

第4話 冒険への誘い

帰る方法がわからず雨のなか途方に暮れた

 ……首が痛い。ずっとうずくまったまま眠ってしまったんだ。そっと目を開けると昨日と同じ風景が広がっていた。私にとって絶望的な景色。いく当てもなくどうしたらよいのかわからない。仕事して稼ぐ?どうやって?こんな身よりもない、正体不明の人を雇ってくれるところなんてあるのだろうか。


 動く気力がない。もうこのまま野たれ死んでもいいかも。スマホは相変わらず圏外だ。電源を切ってかばんにしまう。


 するとふと下げた視線の先に人の靴が現れた。見上げると男の人が私を見下ろしている。


「こんにちは、お嬢さんこんなところでなにしているのかな?」

「……いやべつに、なにも」


 私は答える気力がなくて、ただ面倒ごとに巻き込まれたくなくてそう返事した。


「こんなところに一人で危ないよ。なにかわけがありそうだね」

「私、別の世界から来たんです。信じてもらえないかもしれないけど。お金もなくてどうしていいかわからなくて」


 すると男の人はしゃがんでにっこり笑った。


「そうかなるほど君にもいろいろ事情がありそうだね。でも仕事なら紹介できるよ」

「えっ本当ですか?!」


 だがすぐに嫌な予感が頭をよぎる。大体こういうのは水商売なのだ。私はそんなことはしたくないし向いていない。


「いえ、結構です。風俗では働けませんので」

「いやいや違うよ。風俗じゃない、もっとちゃんとした仕事さ。さあ立ってついてきて」


 これ以上ここにいるわけにはいかない。仕方が無いので男の人の後に一緒について行くことにした。歩きつかれて足がパンパンだ。髪もぐしゃぐしゃだし。水溜りに映った自分の顔を見ないように歩いた。


「それで、えっとなんの仕事ですか?」

「君、冒険者って聞いたことある?依頼を受けて仕事をする便利屋みたいなものさ」


 冒険者?探検家みたいなもの?でも依頼って言ってどういうものだろう。洞窟探検とか?


「それ私にもできるんですか?」

「大丈夫、冒険者っていうのはランクがあってそれに見合った仕事をうけられるんだ。薬草つみからモンスター討伐までいろいろあるよ。猫探しなんてのもあるしね。小遣い稼ぎにやってる人も大勢いるんだ」


 へえーなんだか私にもできそうだな。要するに簡単な依頼をこなしていけばいいんでしょ。それで宿代ぐらいは稼げないかな。でもこの人、まだ信用できないな。


「あの、あなたはどうして私なんかを?」

「あーそれはたまたまさ。俺はその冒険者ギルドに人を紹介する仕事をしているんだ。こういう感じで誘うこともあるわけ。名前はキルフェル、君は?」

「えっと夢見沢(ゆめみざわ) 朋恵(ともえ)です」


 すると彼は不思議な名前だねと明るく笑った。それにつられてなんだか私も笑ってしまった。冒険者か、今までやったことない仕事だけどなんだか楽しそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ