これがかの有名な断罪イベントですか？
「スペア」が完結しましたので、新しい小説の執筆を始めます。
やってみたかった悪役令嬢婚約破棄ストーリーです。
ゆっくり更新予定ですが、是非お付き合いくださいませ。
よろしくお願いします！
今日はウルティナ学園卒業パーティーの日。
私、ジェリーナ＝ユーヴィスはこの国の第一王位継承者であり、私の婚約者でもあるアルノート＝ウルティナに呼び出され、指定された談話室に向かっていた。
何の話か、実はだいたい見当がついている。
談話室に到着した私は、ドアをノックした。
ドアを開けてくれたのは、アルの側近ブライ＝ヴァッセ。
すらっとした長身で、赤い短髪と黒い瞳の持ち主だ。
ブライの顔色は優れない。
予想通り、良い話ではないみたいね…。
私が談話室に入ると、アルはソファから優雅に立ち上がった。
その横には、リリア＝レイアナが控えている。
やっぱり…噂は本当だったのね…。
１カ月くらいまえから、ここにいるリリアがアルと急接近しているという噂が流れていた。
２人一緒に仲睦まじく過ごしているという目撃談続出で、「もしかしたら、アルノート王子はリリア＝レイアナに乗り換えたのでは？」と、ご丁寧に私に報告してくれる人までいたほどだ。
リリアはウルティナ国の中でも僻地と言われる村を統治している、言葉は悪いけどド田舎領主の娘で、貴族としては最下層の身分。
一国の王子と身分の低い女性の恋愛物語は王道だけど、私のように実際に王族と関わっている立場から見たら、あんなものは国を揺るがす大問題で、あくまでもフィクションだからこそ楽しめるお話よ。
だから、噂を知ったときも「アルの戯れ」と思っていたんだけど…。
改まって呼ばれた部屋に２人揃っていて、さすがに動揺と落胆が押し寄せた。
まさか私…これから断罪されるの…。
これまた恋愛小説の王道、意地悪な悪役令嬢が王子から婚約破棄を言い渡され、今までの悪行を全部暴露されたりして…？
いえ、まさか…。
だって、私には暴露される悪行なんてないんですから。
