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生活問題

遂に念願の川を見つけた。これで飲料には困らないだろう。

毎日水が飲める事って幸せなことなんだと初めて実感した。この川の水が安全かどうかは知る由もないが。ただ言えることはこの川の水は透き通っていて川底まではっきりと見える。そしてなんと有難いことに魚が泳いでいるではないか!これで食料はなんとかなりそうだ。いや、まだか。ビタミンが足りない。栄養バランス的にはあまりにも偏り過ぎてしまう。りんごももういくつかしか無い。当面食糧問題は解決しなさそうだ。さて、此方の世界に季節という概念が存在するのだろうか。ともあれ寒い。先に降った雨のせいで体温が奪われている。今更だが魚って生で食べても大丈夫なものなのだろうか。アニサキスで、食中毒など起こしたら医師のいない、薬のない世界では致命傷になり兼ねない。つまり焼く又は、冷凍する事が魚を食べるための絶対条件。ここに来てからというものまともに火を拝んだことがない。あの洞穴以来だ。しかもあの時は疲れのあまりすぐに寝てしまったので見ていないに等しい。そもそも本来の世界ではボタン一押しで火が、温風が出る。この世界では違う。ガスコンロもなければ、ヒーターもない。あるのは川と石と草と・・・。うん?待てよ。石と草があるということは・・・、石と石を擦り摩擦熱で火花を散らす。そこに草を着火剤とすれば。あっ、無理だ。先ずは草を乾かさなければ中に含まれた水分で火が消えてしまう。今すぐには無理でも今後のことを考えて周辺に生えている草を(むし)っておくことにした。それと、いつの日かに亜種が落とした苗を植えておく。さて、火が使えないことが発覚し、予定が狂ってしまった訳だがどうしよう。この世界には亜種と呼ばれる驚異的なものが存在する。経験上昼間にはあまり出現せず主に夜に湧く。1度しか相手したことがないがその時は互角であった。しかし、先の決闘により唯一の武器であるナイフが刃こぼれしてしまった。その為、致命傷を与えることすら困難を極め、恐らく使えない代物になってしまっただろう。要するに亜種と対峙した場合素手で戦うほかならず、つまりは死を意味する。まぁ、今夜は周囲を注視し警戒を怠らずに徹夜するしかないな。


夜空が綺麗だ。思った以上に亜種が自分に近寄ってこない。幾度かうたた寝しかけたが未だに生きている。この世界で光るものは星と月のみ。周囲を陰影が包み込んでいる。亜種の目は月光を反射し仄かに揺らめいて見える。だから、亜種の位置を凡そ把握出来る。よくよくこの間のことを思い出してみると不可解な部分が思い当たる。俺の入った洞穴には火がついていた。そしてそこを住処としていたのは牛亜種だ。以上のことから鑑みるに牛亜種は火を操れることになる。となると厄介だ。火を噴く龍ならぬ火を噴く牛だ。こう解釈しても納得いかない部分がある。あの時の牛亜種は火を噴かなかった。何か条件があるのだろうか?


退屈な時間を無意味な妄想に費やし、気がつけば夜が明けていた。昨日植えた、苗木に変化はなしと。それはさておき、今日は少しこの世界を探検してみようと思う。今俺がいる川は流速や石のサイズなどから、中流若しくは中流よりの下流だ。何がしたいかと言うと、川ってのは何れは海に辿り着くってのを常識として知っているのでそれを活用し、海に出ようと思う。海水は多くの塩を含んでいる。海水を天日干しし、天日塩っていう方式で塩を採取しようと考えている。ただ、問題がひとつありこれは日本の気候では少し厳しい。日本は温暖湿潤気候に属し、降水量が多い。天日干ししたいのに曇っていたり或いは雨に降られては本末転倒だ。物は試しってことで今回は暇つぶし程度に実行する。


川沿いにそって歩くこと約20000万歩。成人男性の歩幅を1メートルとすると20キロ歩いた計算になる。そこでようやく進展があった。なんと、林があったのだ!この世界では珍しく木が生えている。早速、初日に佐々木さんから頂いた斧で伐採をする。と、同時に斧が真っ二つに割れてしまった。木を一本倒せたのはかなりでかいのだが、それでも代償のほうがでかかった。この木々がなんの種類なのかは全くわからないが、取り敢えず佐々木さんから言われていたように干しておくことにした。未だに海らしきものは見えていないのでまだまだ先が長そうだ。食糧であるリンゴも残りが1個となってしまった。そろそろ限界だ。もしこの1個が無くなった場合、俺の食料は藻類となる。これで哺乳類から魚類への進化を遂げることが出来るぞ。まぁ、哺乳類の名残として肺呼吸なんですけど。・・・・・・。あまりの疲労に頭が狂ってしまったようだ。高々20キロ歩いただけでと思われるかもしれないが、どうやらこの世界は元々の世界の運動能力等々を引き継いでいるようで、運動不足な自分にとってこれは重労働極まりない。一先ずここで小休憩を挟むことにした。

最後までお読み頂き有難うございます!


長い間投稿せずに申し訳ないです。


気が付けば1ヶ月ほど投稿をしていませんでした。色々と描きたいことはあるのですが纏まらない。(いつも通り)


次回はなるべく早く投稿できるようにしますのでお待ち頂ければと思います。

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