職業問題
この世界は広い。しかし、ここには殆ど何も無い。そんな世界を一人で開拓することになりました!
どうしたらいいものか。全て聞こえてしまった。内容としては薄々気づいて居た事だった。素直に申告すべきかな。
今後、何かの拍子に実は知っていた事を暴露してしまって、険悪な雰囲気になるのは御免だ。と言って、申告して仕舞えばこの世界にいらない気もする。
まだ、何もして居ないのに、終わりってのも御免だ。・・・・・・よし、決めた。ここは素直に言おう。もしこれで元の世界に転送されても、心残りなく生活できる気がする。
「あのー、すいません。ミュートにできていないと思います。はい」
「えっ・・・。えーと、ど、どうしましょう先輩。やばくないですか」
どうやら相当不味い事態らしい。矢張りこのまま終わってしまうのだろうか。傍また、この会社のことを知ってしまったから抹消される可能性もあり得る。
「私上司に当たるものですが。この度は、うちの新入りが申し訳有りませんでした。しばらくの間少々のご不便をお掛けするとは思いますが何れお詫び致しますので・・・。本当に申し訳ございません。ほらお前からも謝れ」
「あっ、あのー、今回担当させて頂いております佐々木です。この度ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。これからも何卒よろしくお願いします」
あれ?普通に声が聞こえる。ボイスチェンジが入っていない。そして、2人の謝罪の中でわかったことが二つある。担当者である佐々木さんは女性であること。聞こえてきた声が女性のものだった。
二つ目、どうやら俺は抹消はされずこの世界に留まることが出来そうだ。
「はー。まだ状況を詳しく把握できていない部分もありますが、俺はここで開拓出来るということですね。それと担当者の佐々木さんは変わってしまうのですか?出来れば担当者は彼女がいいのですが」
正直罪悪感は否めない。俺の所為で彼女が職を失う可能性もあるのだ。一度経験している者としてその辛さは分かる。
「此方としては、善処を尽くしこの問題を早急に解決するつもりでは有りますが・・・。開拓者様がそう仰るなら従う依存では御座います。但し、彼女には何れ何らかの処罰が下されるのは免れないとは思いますが、それでもいいのであれば暫くは彼女に担当してもらいます」
「はい。佐々木さんでお願いします。こちらの我が儘を聞いていただき有り難う御座います」
「いえ、此方こそ感謝しております。良かったな。開拓者様に感謝するんだな。俺はこれで失礼する」
「はい!開拓者様有難うございます。短い期間ではあると思いますが、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「では、早速登録の方をします。氏名となりたい職業を私にお教え頂けませんか。職業に関しては特に制限はありません」
職業、だと。まともに仕事をしてこなかった身からするときつい質問だ。ゲーマーは仕事に入るだろうか。最近は、eスポーツがオリンピック種目になるとか難たら聞いたことがある。おそらく行けるだろう。
「名前は宮坂 小路。職業は・・・げ、ゲーマーで」
いざ言おうとすると何処か恥ずかしい。悪事を働いているような感覚に陥る。
「すみませんもう一度職業の方を伺っても宜しいですか?」
うげ、もう一度言わないといけないのか。辛い。矢張り変えるべきか?でも他に思いつくものがない。もう一度言うか。
「ゲーマーでお願いします!!」
「・・・。了解しました。氏名・宮坂 小路、職業・ゲーマーで登録をします。・・・・・・。完了しました。最後に少し設定を行います」
最初の間は何なのだろうか。呆れられてしまったかもしれない。と言うかゲーマーで行けるんだ。なにが出来る職業なんだろう。
それから色々と設定をした。主に二つだが。
一つ目が流血表現の無効化。意味通りだが、動物等を殺傷したときに流血をしないようになるらしい。
もう一つが、動物亜種の発生有効化。これはこの世界にいる動物に擬態した魔物が現れるというもの。倒せばアイテムを落とすこともあるらしい。開拓しやすくするお助けアイテムらしい。
「そう言えば、不便って何がですか?」
何やかんやあって食べそびれていた林檎を齧りながら聞いた。林檎はとても甘く水分が多かった。近くに川も無い今、林檎からの水分は貴重だ。
ざっと数えたところ、30個はある。1日に6個食べたとして、5日間はこれだけでいけるだろう。
「それはですね、この世界はほかの開拓者さんが開拓している地と貿易をする事が出来るのです。しかし、私の所為で、これが制限されています。宮坂さんには申し訳ないのですが・・・。ただ、何れ解除されるのでご安心ください。本当に申し訳ないです。では、これから開拓を始めましょう!」
第2部を読んでいただき有難うございます!
お楽しみ頂けましたか?
実際e-スポーツが、オリンピック種目になるらしい?ので、ゲーマーも職業になる可能性があるって事ですかね?
林檎って美味しいですよね。自分は最近林檎を毎日のように食べてます。昔聞いた話なんですが、蜜の部分は実は甘くないらしいのです。本当なんですかね?
次話からは、開拓をしていきます!
もう暫くお持ちください!来週には投稿する予定です。