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青銅問題

家が崩落した。

家が崩壊して数日後、床なしの生活に嫌気がさしてきた頃農場とは到底思い難い場所からあの植物が発芽した。佐々木さんになんの植物か聞いたが、わからないとの事だった。それと天日干ししていた海水の水は全て蒸発し、塩が出来ていた。こんなに早く出来るものかと疑いつつも、有難く頂く。やはり塩は万能だ。毎食肉を食べていたので、最近飽き飽きしていたのだが、塩のお陰で幾分かましになった。欲を言えば胡椒も欲しいところだが、それはまた今度。


さて、床なしの生活を終えやっと安全な家が完成した。俺が寝ている間に佐々木さんが家を立て替えてくれた。材木不足から、2軒建てるよりは少し広めの2人でも過ごせる家を建てた方が良さそうとの事だったので、同居することになった。ただ、屋根を作れる程の材木がなく、所謂豆腐建築というやつになった。まぁ、技量のない俺がものを言える立場にあるはずもなく、これで納得している。何れはもう少しまともなものを作ろうと思う。


「佐々木さん、次は何をしましょう」


最近困っていることがあると直ぐに佐々木さんに意見を求めるようになってしまっていた。


「本当に能無しですか?まだまだやらないといけないことがありますよ。服は?野菜は食べたくないのですか?武器は?考えれば考える程やらないといけないことが湧き出てきますよね。それをやろうとは思わないんですか?」


能無しと言われてしまった。確かにそうではあるので認めるが。服もそろそろ変えたいとは思うのだが、如何せん革服の作り方を知らないので作れない。革に拘らずに麻などで作る手もありだが麻がどの植物か分からないのだ。


「あれ?今佐々木さん武器って言いました?」


「ええ、言いましたよ。それがどうかしました?」


「いや、武器なんて生活には必要ないかなと思いまして」


佐々木さんは大きくため息をついた後、


「もし亜種が私たちを襲ってきたらどうするのですか?武器がなければ素手で対抗しなければならない。しかし、我々人間が素手で戦って勝てる程生ぬるくはないですよ。それに他集落が攻めてくる可能性だってあるんですよ。その時為にも準備は必要です」


「他集落?この世界には俺しか・・・いや、今は俺と佐々木さんだけしか居ないんじゃ・・・。」


「確かにこの世界で知能的に動けるのは私たちだけです。しかし、プログラムされた範疇で動けるものがいます。その代表例が動物や亜種ですかね。そして集落に住む人々はNPCと呼ばれています。とは言え私たちと意思疎通を出来るほどの能力を持っています。殆どこちらでも制御していない、野放し状態が故、度々NPC同士でも戦争が起こります」


「えーと、NPCとはなんですか?」


「Non Player Characterの略で、簡単に言えばゲームなどでのモブキャラに当たります。彼らは各地に点在し各々の政治体制を取り生活を営んでいます。大方私たちと同じような生き方をしています。多くの場合領土拡大を目的とし、襲撃をすることがあります。上からの情報ですと、付近に10程の騎馬兵が接近しているとのことです。とは言え、今の私達には確立した領土がないので、無視される或いは取り込まれるかの2択だと思われます」


「だから、武器が必要なんですか。しかし、武器ってどうやって作るんですか。それにたとえ武器を作れても10対2、更に相手は騎馬兵、到底かなわないと思います」


「確かにこの状況では圧倒的に劣勢です。しかし、相手は騎馬兵と言えど、武器は石器或いは木製です。ここで私たちが青銅器を発明し、さらには罠を張り、奇襲をする。そうすれば勝つ見込みがありますよ。」


「青銅器って確か、銅と錫を混ぜて高熱で溶かすんでしたっけ?銅や錫って何処で取れるんですかね?」


「ここから北に数キロ歩いたとこにある山が確か鉱山でした。そこで取れるかと」


へー、銅とか錫とかって山から取れるんだ。これを高温で熱して鋳型に入れれば完成か。作るのにどれほどの時間を要することか。それまでに襲撃に合うのではないかと懸念される部分もあるが、何はともあれやってみるしかなさそうだ。明日、佐々木さんの言っていた山に行ってみるか。今日はもう夜が来るのでお家で寝よう。

投稿遅くなり申し訳ありません。


石器も使わないまま、いきなり青銅を使うことになりました。展開が早い気もしますがご愛嬌。


ただ、銅と錫を混ぜる容器を作っておかなくては。やることが色々とありますね。


ということで次回もお楽しみにしていてください。

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