異世界に来た。
暖かな日を浴び、うとうとしていた。あたり一面に自分の邪魔をする者はいない。今俺はこの世界で一人なのだ。
時は遡り、1時間前。家の中でゲームをしていたら何の前触れもなく世界が歪んだように思えた。それと同時にあたりが淡く光りだした。それからの記憶はなく。気が付いたら知らない土地に来ていた。
見渡す限り人はいない。それどころか建物の一つも見当たらない。
あるのは、少し背の高い木が10本ほど。ここはいったい何処なのだろうか。
なんやかんや思っていたらつい、うとうとしていたらしい。
そして今に至る。せめてここが何処なのか誰か教えてくれ。取り敢えず暇だし眠いし寝るかと思ったその時、声が聞こえた。
「この世界に派遣されし者よ目覚めたまえ。今こそお主に秘められし力を開放せよ」
誰だか知れないが、この世界に人がいることを確認できた。だが、この人は何を言っているのかだろうか。声的におっさんだ。少しアレなんだろう。まぁ気にせずに寝よう。
「おい。お主、私の声が聞こえてないのか?それともシカトしているのか?」
「おい、おっさんよ俺に話かけてんのか?しかし何処にいるんだ?俺には見えないんだが」
「あぁそうだ。お主じゃ。儂はお主の見えないところにおる。それよりこの世界を見てどう思うかね?」
「いやー、なんもないっすね。とても暇です」
「そうじゃろ。儂も飽き飽きしていた頃だ」
はて、このおっさんは一体なんなのだろうか。俺の中では一人で話を展開しているやばいやつ認識なんだが。
「ところでお主この世界を開拓したいとは思わんかね?この閑散とした世界をお主な手で染め上げたくはないかね?それにお主はどうせ向こうの世界にいても暇を持て余しているだけだろう」
いきなり何を言い出すんだ?開拓したいかって?おいおいこのゲーマーの俺がしたくないわけないだろう。
「おいおい!最後の言葉は、聞き捨てならないな。確かに向こうの世界では、仕事をしていないけどよ。ただ、その話乗った。俺がこの世界を一からいや零から作り上げていいんだろ?これ以上に心の高鳴る話があるかっての。それよりおっさん誰なんだ?」
「この世界に冀望あるものを召喚する者。言わば神といったところか」
なんか設定雑な気がするのは気の所為だろうか。それに加え言い方が何処かたどたどしかった。自らの言葉でない感がする。
「なあおっさん。こんなこと言うのは気が引けるが、若しかして誰かに言わされているのか?いや俺の勘違いならいいのだが」
もしこれで、おっさんが誰かに言わされているのなら俺が何らかの目的をもってここに送られたことになる。
「そ、そんなことはないですよ。こ、この言葉はわ、私が考えたのじゃ」
うん、完璧に言わされているね。しかし何故だろうか。そういや、おっさん”向こうの世界”と言っていたな。となると、此処は異世界となるのか?尚更分からない俺が異世界に来たこと、そして何もない世界を零から開拓すること。
「ぐぅ~~~~~」
突然空腹感に襲われた。
「おっさん、どうやら俺腹が減ったみたいなんだが如何すればいい?」
「え、えーと。そうじゃなお主。あそこに木が見えるじゃろ。あの木は、リンゴの木じゃ。これで暫くの食糧問題は解決じゃ。あっ、それと儂のことをおっさんというのをやめていただきたい。これでも中身は、レディーなのだからな」
この人完全にやってしまったな。自分の正体をバラしてしまったよ。おまけに"中身”と言ってしまった。
「あっ、先輩おはようございます。・・・えっ、ミュートにしろって?あっはい」
自称神(中身女性、声おっさん)が急に話し始めた。なんか・・・怖い。
「君さぁ、最近入ったのは分かるけど、設定は守って頂かないと困りますよー。この会社の事がバレたら責任取ってくれますかー?」
「あっ、すみません。以後気をつけます」
全部聞こえてしまった。
「零世界開拓記」はお楽しみいただけましか?
1度書いてみたかったのです!開拓記的なのを。
まだまだ至らない点も多々あると思いますが、何卒よろしくお願いします。
成る可く早く次話を投稿するつもりです。お楽しみに!
この度読んでいただき有難うございます!