マッチ売りの少女~こうして、伝説が幕を開けたのです~
色々とヒドい話なのでR15です。
昔々、あるところにとても貧しい家族が街で暮らしていました。
母親がおらず、女の子と父親の二人暮らしです。
ある冬の日。お父さんが女の子に言いました。
「このマッチを売って来い。全部売れるまで、絶対に家に戻って来ることは許さないぞ」
と、マッチを十箱程女の子へ持たせて、家から追い出してしまったのです。
女の子は途方に暮れました。
外は凍えるような寒さで、貧乏な女の子にはそんな寒さに耐えられるような防寒具はありません。
マッチを売って来いという口実の、口減らしなのだと、女の子は気付いていたのです。
分厚い灰色の雲が太陽を覆い隠し、今にも雪が降って来そうな空模様。
冷たい風が吹きすさびます。
そして、女の子の他にも、そんな途方に暮れたような子供がちらほらと路地に突っ立っています。
「ああ・・・どうしよう…」
どうしようもないとは思いますが、女の子は兎に角マッチを売ることに決めました。
全部売れれば、父親が家へ入れてくれる筈…と。
しかし、現実は無情です。
そもそも、こんな吹雪になりそうな荒れ模様な天気の日に外出する人はいないのでした。
厚い雲の隙間から差していた日も段々と暮れて行き、気温はどんどん下がって行きます。
風も強く吹き、とうとう雪が降り出しました。
女の子はガタガタと寒さに震えます。
目の前の家の中では、幸せそうな家族が温かそうなご馳走を食べようとしています。
「ああ・・・寒い…」
女の子は寒さに耐え兼ね、売り物のマッチを燃やして暖を取ることにしました。
けれど、寒さと強い風ですぐに吹き消されます。
ガタガタと震えて、とうとう女の子は冷たい雪の中へと倒れてしまいました。
目を瞑ると、亡くなったお祖母さんが女の子へ微笑み掛け、おいでと腕を広げるのです。
女の子は、溜息を溢し・・・
「死んで堪るかっ!?」
と、立ち上がりました。そして、
「死にたくなけりゃ、手を貸しなっ!?」
吹雪の中で途方に暮れている子供達を集め、雪を固めてかまくらを作ることにしました。
女の子の据わった目に恐れをなした子供達が集まり、雪を積んで行きます。
「おら、凍死体を持って来て積めっ!?土台にしろっ!?死体を拾って来いっ!?」
なんと、凍死した人達を土台にして、かまくらを作り上げたのです。
「親も誰も守ってくれねぇんだから、手前ぇで手前ぇを守るぞっ!?」
女の子は鬼気迫る顔で子供達を指揮します。
そして、凍死体を土台にしたかまくらの中で身を寄せ合って子供達は吹雪をやり過ごしたのです。
こうして、伝説が幕を開けたのです。
貧しいマッチ売りの少女が、死体を家にしたクレイジーなギャングスター、アイスクイーンへとなった瞬間。そして、アイスクイーン擁するマフィア、バーニングブリザード結成の物語。
読んでくださり、ありがとうございました。
一応、悲劇は悲劇だと思います。