桃太郎。~裁判編~
多分、まぁまぁのブラック加減です。
前回は赤ずきんで今回は桃太郎です。
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました・・・
そして桃太郎は、犬、猿、雉をお供にして鬼退治を終え、宝物をどっさりと持ち帰りましたとさ。めでたしめでたし。
―――――からときは流れ・・・
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「被告人。桃太郎」
どうしてこうなったっ!?
「罪状、私有地、及び住居不法侵入、器物損壊、恐喝、暴行、傷害、強盗、横領。そして、強盗致死、殺人、殺人未遂。動物愛護法違反。他・・・・・・」
裁判長が罪状を読み上げる。
そして、桃太郎を裁く裁判が始まった。
「被告人。桃太郎は、鬼退治の英雄だと周囲に祭り上げられ、散財。一度目の鬼退治で得た財産をすぐに使い果たすと、第二第三の鬼退治をして鬼達から金銀財宝を巻き上げては、遊び暮らしていました」
検察官が言う。
「しかし、そう都合よく悪いことをして財宝を溜め込む鬼の集落が幾つも存在しているでしょうか?確かに、最初の鬼の集落は人間を襲って財宝を溜め込んでいました。二番目、三番目に襲われた集落も、程度に差はあれ、悪いことをしていた模様。しかし、いつしか被告人桃太郎は、悪行を行ってはいない鬼の集落を襲うようになって行ったのです。お供の犬、猿、雉の三匹を従えて。農業や牧畜、林業、漁業に従事する鬼達を、鬼だからという偏見だけで、その生命や財産を奪い、脅かしても良いのでしょうか?いえ、そのようなことは許されざる所業です」
「弁護人、異論はありますか?」
「いえ、ありません。桃太郎は、無抵抗な鬼や逃げる鬼達へ非道な振る舞いをしたのです。その罪は償わなければいけません」
弁護人も、有罪を推している。
何故ならここは・・・
「裁判長。原告団代表、桃太郎に滅ぼされた村の集落村長が発言を求めています」
「原告代表。発言を許可します」
「はい。我々は、桃太郎に普通に生きるという権利さえ奪われました。平和に生きていた我々の村へいきなり押し入り、財産を奪うだけならまだしも、鬼だからという理由で、その命さえも不当に奪われました」
涙ながらに訴える原告団代表。
「遊ぶ金欲しさの、なんとも身勝手極まりない犯行。そして、罪も無い鬼達を鬼だからという偏見に満ちた理由にもならない理由で襲い、命や財産を脅かしたこと。情状酌量の余地は無く、地獄逝きが妥当とされる。判決。被告人、桃太郎を地獄逝きとする」
裁判長の、判決が下った。
ここは、生前の行いを裁く場所。
裁判長は閻魔大王。
原告どころか、裁判官、検察官、弁護士、聴衆に至るまで全てが鬼達だ。
無論、地上で暮らしていた鬼達と地獄にいる鬼達は違う。だが、俺の殺した鬼達は・・・
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こうして、桃太郎は地獄に堕ちた。
生前に行った非道を、死後に鬼達に晴らされることとなるのだった。
読んでくださり、ありがとうございました。
裁判シーンや罪状は、完全に雰囲気です。
法律とか詳しくないんで、大体適当です。
色々間違ってたらすみません。
裁判編とか書いといてなんですけど、多分このあとの桃太郎の話はないと思います。