四章
四章
開放的な空間設計の舟のブリッジは、ひとときの休戦状態にあった。敵を殲滅できたわけではないが、一旦は退けたといえた。
各員のモニターにも、ブリッジの上方に備え付けの大型ディスプレイにも、危険な情報の表示はない。
「艦長」とオペレーターは言った。
ブリッジで一番豪奢な椅子に座る艦長は、頤に手をあてて、唸った。
ぞんざいに投げたした他方の手は、オットマン(肘掛)にだらしなく下がっている。その手は結構な数の皺があり潤いはほとんどなくしており、上唇まで伸びた白い髭と相まって、六十代前後と思われる年恰好。
「なんだ?」と横柄に彼は答えた。
「ラベルA、活動低下」
「破壊したのか?」
「いえ、解りません」
神妙な顔に、苦悶の色を混じらせ、オペレーターは答える。
「使えんヤツだ……」艦長は吐き捨てた。
そして、首を一度回すと、「やつは、何処から侵入したのだ?」と訊ねた。
「不明です」苦々しくオペレーターは言う。
「兆候もなかったのか?」
「ログを見る限りは……」
オペレーターはキーを叩いて、艦長のデスクにまとめ報告を送った。
しかし、艦長は転送されてきたそれをすぐに削除した。最初から、閲覧する気はなかった。
彼は、事態の異常性と緊急性をきちんと把握はしていたが、真面目に対処する気はなかった。面倒ごとは、全て部下がやればいいのだ。自分は、ただ「やれ」と命令すればいい立場なのである。
「どうして、今まで気付かなかった?」
「ですから、兆候がなかったのです」
苦しい面持ちでオペレーターは首を横に振る。
彼としても侵入者を自分の能力の限りを尽くして、捜査したのだ。今でも、自作のソフトウェアを艦内システムに走らせている最中だ。
「役立たずめが……」
艦長は蔑むように彼を見やってから、咽を鳴らし、ブリッジの床にためらうことなく、唾を吐いた。
その行為に対して一様にクルーが顔をしかめるが、当の本人は気付かない。
「……そのようなことはやめてください」一人、勇気あるクルーが苦言を呈す。が、当の艦長は「何がだ?」と言って、終いだった。
「で、正体も解らんのか?」
「全く……」
「仕事をしろ」
「と、言われましても……最善は尽くしているのですよ」
「どうだか!」艦長は鼻で哂った。
「こんなことになるくらいなら、生体脳にさっさと切り替えておけばよかったのだ」
「しかし……研究機関の方からは、不完全と……」
「現状のシステムの何処が完璧なんだ? 言ってみろ」
オペレーターは口をつぐんだ。完璧ではないから、敵の侵入を許してしまったのだ。反駁しようがなかった。
「ほれ、見ろ。だから、俺はさっさとしろと催促してたんだ。感情性プロテクトの複雑性はとっくに証明されていたではないか? 何の為に、第四ラボなんぞに資金を与えたやったと思ってる?」勝ち誇ったように艦長は朗々と長口上を告げる。
彼の言葉に、気圧されて、沈黙がブリッジを支配した。
沈黙を破ったのは、一人のオペレーター。
「艦長」と呼びかける。
「何だ?」
「第二波きます」
別のオペレーターが叫んだ。語尾はかなり裏返って、半ば悲鳴ととれなくもないほどである。
「もうかっ! プロテクトはどうしたっ!」
「間に合うものですか!」
絶叫に近いクルーの声がブリッジ中を反響する。
「間に合わせろっ!」
「だめです。侵入者は二つ!」
艦長は身を乗り出す。「新手か?」
「ラベルAは前回と同じ、アクセスポイント及び、所属共に不明のままです。新規、ラベルB。ミリティアと思われます」
「うぐ……」呻いた。
「どうしますか?」
「どうするもこうするも、ないっ! アンチボディを撒け」
「前回、通用していませんが?」
「文句を言うなっ! ミリティアなんぞに、この舟のシステムが破れるものか。いいから、撒けっ!」
艦長も、最初の侵入者ラベルAにアンチボディが通じないことは解っていた。さきほども殲滅されたばかりで、たまたま、何が敵にあったのか知らないが、ラベルAの活動が低下した為に難を逃れただけだ。
故にアンチボディを撒く意図は、ラベルBに通じればいいというものだ。ラベルBがミリティアならば、尚のこと。ミリティアは司令部の確固たる敵であるのだから。
「散布」と主任オペレーターが声を出す。
続いて、彼の部下が「「散布」」と唱和。
各システムを担当するオペレーターそれぞれが、自分の担当領域にアンチボディを撒き始める。
ブリッジ中央にホログラフィックで情報を描き出すモニターに、ことの経過が表示され始めた。視覚的に艦内システムを表示した図に、白い点が無数に表れる。
赤い二つの点に対し、幾つもの白い点が攻勢をかけた。白い点はアンリボディで、赤い点はそれぞれ、ラベルAとBだ。
クルー全員がモニターを息を呑みつつ、注視する。
モニターは十六分割されて、各セクションに於いてのアンチボディと侵入者の、領域制圧率が示されている。
アンチボディは次々に侵入者に問答無用で襲い掛かったが、次から次へと撃退されて行き。数を減らす。アンチボディの残存数を示すカウンターの数値が激しい速さで減って行く。劣勢は明白だ。
アンチボディの散布から五分、『消滅』の文字がセクションの一つに発生。次々に、他のセクションにも『消滅』のサインが現れ始め、十分も経たぬ間にカウンターの数値はゼロとなった。
「ラベルA、アンチボディを殲滅」主任オペレーターが報告。半ば、諦めてしまったのか彼の口調は淡々としている。
「ラベルB、セントラルに取り付きました」
「くそが、ミリティアめ、便乗しおって……」
艦長は歯軋りをした。
全てのアンチボディは、ラベルBに接触する前に、ラベルAによって狩られ尽くしたのだ。
鎮痛な空気がブリッジを満たした。
赤い点で表示されるラベルAは、舟のシステム中枢に既に入り込んでいる。システム中枢の制圧は時間の問題と思われた。
艦長はオットマンを思いっきり叩く。強く力を入れすぎ、自分の手が痛いくらいだ。手の脇をさすろうと、目を落とそうとした瞬間――。
モニターに無数の横ラインが走った。続いて、画面は壊れてしまったかのように、砂嵐が生まれた。
「何だ……?」
映像が、刹那に切り替わる。
いかつい顔の男が画面上に、現れた。緑の軍服を折り目正しく着ており、一見でミリティアの関係者であることが解る。
「こんにちは、艦長。お久しぶりで」
男は不敵な笑みを浮かべながら、自信たっぷりに小さく一礼する。
「きさま!」
大口をあけて、艦長は怒鳴った。ブリッジ一帯に彼の声がエコーを刻んだ。
「きさま、などと呼びたいのはこっちですよ。裏切りもの」
侮蔑のこもった眼差しが、艦長を威圧する。
「ふん。おまえらが不甲斐ないからだ」負けじと艦長も受け答える。
「不甲斐ないのはどっちでしょうね。今、苦労しておられるようですが?」
「黙れ……」
苦虫を噛み潰した顔で、艦長は吠えた。
一方、男は何処吹く風で艦長から発する激情を受け流して、さもバカにした様子で笑った。
「自業自得ですね。もっとも、我々としても今回のは想定外でしたがね。しかし、機はとっくに、熟していましたからねぇ。ようは、きっかけがなかっただけですよ。それぶ、そろそろ、物理的な部分でも、負けますかね?」
「……」艦長は押し黙る。
すでに、電子戦に破れてしまった司令部陣営。物理的な敗北とは、憲兵隊が負ける、もしくは、とうに負けているということだ。
「長かったですね。十余年」
「どういう意味だ?」
「別に?」嘲るように男は笑んだ。
「きさまらこそ、不甲斐ないんじゃないか?」艦長もまけじと鼻を鳴らす。
「それはしょうがないものですよ。あなたは結局、全権を手放さなかったんですからねぇ。それでも、我らを潰さなかったのは、良心ですかね?」
「遊び心かもしれんな。カスが」
「その高飛車な態度が今回身を滅ぼしたわけですねぇ」男はほくそ笑む。実に楽しそうに映る。
「ふん」
「でもいいんですかねぇ? システム、ハックされますよ?」
「きさまらだけでも始末してやる。アンチボディ、撒け」
「しかし……」
主任オペレーターは口ごもる。
「今なら、こいつらだけはやれるだろう?」
ラベルAは中枢への進入に躍起だ。チャンスは今しかなかった。
「は……はい」
「手遅れだと思いますがねぇ? 先行の侵入者を排除できないんじゃねぇ」
「黙れ」
「それにですね。既にセキュリティは突破したあとなんですよ?」
艦長の顔が驚愕に染まった。
「……きているのか?」
「当然じゃないですか。前艦長を放逐したあなたが、まさか、こうなることも予測できなかったはずはないでしょう?」
「むぅ……」
「まぁ、前艦長がその度量ゆえに我らに負けたのなら、あなたは――そうさしずめ、バカさ加減によって負けたといいましょか?」
男の顔は勝ち誇っている。
「黙れ……黙れ」
「あぐらを掻くとロクなことがないってことですよ。せいぜい、あの世で悔恨して、告解してください」
「……」
「お、着いたかな」
男の発話とほぼ同時に、ブリッジの後方の密閉扉ががんがん鳴らされた。続いて、ミリティア兵と思われるものの、「開けろ」の声。
「艦長っ!」
女性のオペレーターが、不安に駆られ、叫ぶ。
彼女は指示をあおいだつもりだった。けれど、艦長はそんな言葉に耳を傾けてはいなかった。
彼は自分のことだけを考えていたのだ。
「甘いぞ……俺はそう簡単に死なん」
言うと艦長はオットマンの端を叩いた。すると、その表面が爆ぜて、中からスイッチが現れた。スイッチを手早く、押す。
すると、艦長の座る辺りの床がぱっくり開き戸のように裂け、彼は座席ごと下方へ滑り始めた。エレベーターのような器具に椅子は運ばれて、下へさがって行く。
「なっ」ミリティアの男は驚きに声をあげた。
艦長座席の下には、緊急脱出用の仕掛けがったのだ。
あっという間に艦長は椅子ごと、床の中へ消えてしまった。そして、亀裂は何ごともなかったかのように閉まる。
クルー一堂は、自分たちのリーダーのまさかの独り逃げに、目を白黒させた。
艦長の逃亡と、ほぼ同時に、ブリッジの後方の扉が破壊された。無理やり火薬で破壊され、扉を構成していた金属片がブリッジ内部へ飛散した。
壊れた扉を蹴りぬいて、緑の軍服が押し合いへし合い、数名なだれ込む。
扉の壊れる音に、軍靴のしかつめらしい足音が混じる。
なだれ込んだミリティア兵たちは、散開し、扇形状に拡がる。
そして、機関銃を構え、一斉掃射した。
弾丸が銃口から次々と溢れ出る。その弾丸に貫かれて、クルーたちが蜂の巣になって行った。
弾丸に踊らされ、血の雨を降らせるクルーたち。ブリッジに怒号と悲鳴が立ち込め始める。
逃げようとするクルーも片っ端から排除された。
引き金に手を当てる兵士たちには、ためらいの感情も罪悪感も、全く見受けられなかった。
数十名のクルーを死体に変えてしまってから、ミリティア兵はブリッジの大型モニターへ目をやった。
「諸君。失敗だ。あの外道は逃げた」
ホログラムの画面越しに、彼らのトップ、ミリティアの総統である彼は、渋い面持ちで言った。
「……了解です。総統」
リーダー格らしい男が、敬礼をした。
総統と呼ばれた男も、敬礼を返す。
「指示を」野太い声。
「やつは恐らく、未提出の新造区画にいるだろう。調査は済んでいるな?」
「はい」
「他の部隊にも通達。最優先は、やつの探索。工兵たちには、模造能の奪取を支持しておけ」
「はい」
彼は即座に踵を返すと、数名の部下を残しブリッジから去った。ミリティアの次の作戦は、艦長の捜索となった。
一応、騒乱とは関係なく第四ラボは安穏とした空気で充ちていた。理由は簡単だ。ミリティアの庇護の下にあるのだ。
「最初からの実験室には、何の映像もなかったよ」白衣の男が言った。
彼の部下は、眉をよせながら、駁す。
「沙漠が、あったじゃないですか……」
「そんなものはなかったよ。砂漠とは比喩に過ぎなかったんだけど」
「しかしですね、報告書が……」
尚も部下は言いつのった。
彼は沙漠を見たことはなかったが、模造能を調べている研究者の報告を読めば、そう書いてある。
「あの報告書は、誰に向かって書かれたか? 解るかい?」
「え?」
部下は面食って、すっとんきょうな声をあげた。
彼は報告書は司令部に対して、書かれたものだと思っていた。
「きみは勘違いしているんだよ。あの実験は、誰が対象で、誰が摂手だったのかをね」
薄い唇を攣って、白衣の男は言った。
「はぁ?」
「見ておくといい。これからが面白いんだからなぁ」
これからを楽しみにするように白衣の男は言った。
「これから、ですか?」
「そう。これから。正解を言おう。これはミリティアに向かってかかれたものなんだよ」
そう言うと、白衣の男は紙の束を出した。
「ミリティア、ですか? しかし、新しいシステムを欲していたのは司令部なのではないですか?」
「だから、おまえは青いのだよ」
「はぁ……」
「彼女が書いた報告書は我らが預かっている、意味解るか?」
「つまり?」
「彼女の報告書は、報告書ではない、ということ」
「ますます、意味が解らないですが?」
「まあ、これを読め」
部下にさきほどの紙束を渡す。
彼は紙束に目を落とした。
「著者チャールズ=バベッジ……?」
「続き、読め」
「実験補助、模造能KRIT―OBTRINX……。博士、これはどういうことでしょうか?」
「そのままの意味だよ」
「……」部下は押し黙った。
しばらく彼は紙面を凝視していた。
そして、ふと顔を上げる。
「は――博士ぃ?」
「ん? どうした?」
部下が怯えた顔をしているのを見て、博士は後ろを振り返り。彼の視線を追った。
豹がいた。黒い毛に、しなやかな背筋、細くたくましい四肢のジャガー。
ジャガーは、口をあけ、牙をむいた。そして、吠えた。
二人とも硬直した。
あうあうと、口と唇と舌を震わせることしかできなかった。
ジャガーが飛んだ。百メートル以上離れた距離を一気につめた。
ジャガーは問答無用で、彼らに食らいつき、その四肢を裁断し、その骨を刃にような歯で粉砕し、勝鬨をあげた。
ばらばらになった肉片が飛んだ。
ジャガーの咆哮は続いた。
艦長は、勝手に設えた避難場所で一息ついた。
椅子にかけたまま、伸びを一つ。
さきほどは居丈高に振舞っていたものの、実際はかなりの緊張状態にあったので、胸を押さえて、動悸を鎮めんとする。
「全くどうしたものか……」
ブリッジは、ミリティア兵によって、占拠されたと見て間違いはないだろう。
ラベルBは果たして、アンチボディに倒されたろうか?
彼らの口振りから察するに、ラベルAの正体を彼らも知らないようだ。だから、ラベルBさえ駆逐されれば、この場所がバレる心配はない。
十余年前はミリティアを出し抜いた彼だったが、今回は彼らの勢いを殺せそうもない。
「むぅ……」
どうしたものだろうか?
部屋の小さなコンピュータを電源も点けずに小突く。
所在なげに、足を擦り合わせる。
彼は考えた。
「そうか……」
しばらく、思考をめぐらしていると。彼の頭に、妙案が浮かんだ。
助かろうとするからいけないのだ。
自分はもう年だ。七十年生きた。
未練がないといえば、嘘だが、やりたいことはやった。今更、死んでも構わない。
ようは、醜く死なねばよいだけの話。
まず、憎らしい相手は絶対に、殺す。そして、自分の命など気に留めず、道連れにしてしまえばいいのだ。簡単な話ではないか。
なにせ、自分は半世紀以上も生き、したようにして生きた。今更、未練はないし、あるのは、かつての部下への怨嗟だけだ。
この部屋には、本来ブリッジでしか操作できないシステムを自由にできる。
艦長の絶対権限は失われてはいない。少し、細工して市民を謀ったに過ぎない。ミリティアの連中すら、最近まで気付きはしなかった。
「ばかに謀れるとはな……」
彼は壁に備えたパネルを捜査した。権限を全て、この部屋に回す。
ちょっとそのリミッターを外せばいい。
「見てろよ……」
パネルを操作し終えてから、艦長はコンピュータをブートアップした。
たった一つのアイデアを行う為だけに――。
傲慢な男がいた。
「俺はこの山を覆す」と豪語していた男も、結局は滅ぼされた。
カクルハー=フラカン、チピ=カクルハー、ラハ=カクルハーは言った。
「――も滅ぼさなくてはいけない。これは我らの意思だ。彼がこの地でやっていることはよくないことである。栄光も偉大さも、更に言えば、自らの力を自慢していることも許されるべきではない。彼を騙せ、上手く謀り、太陽の出る彼方に彼をおびき出せ」
二人の若者が答えた。
「解りました。確かに、彼は正しくありません。天の心、平和の神のあたながいるというにも関わらず」
一方、彼の者カブラカンは、山を揺るがすのに懸命であった。
彼の一踏みで、小さな山は消えた。
そこへ、二人の若者が現れた。「若い人、何処へ行くのです?」
「何処へもいかん。俺は山を動かしている。天に太陽があり、光あるかぎり、いつまでも俺は山を動かす」
と答え、二人の若者、フンアフプーとイシュバランケーに更にたたみかけた。
「何しにきた? きさまらの顔なんぞ、見たこともない。名前は一体、何と言うのだ? 教えるがいい」
「私らには名はありません。ただ、山を歩き、猟をしている身の上です。自分のものすらない貧乏人であります。
小さな山を、大きな山を、歩き回っているに過ぎません。あの空が赤くなり、その彼方に大山を見ました。それはそれは、高い山でした。
しかしながら、鳥を獲ろうとしたところ、一二羽程度しか獲れず、それで、あなたが山を覆すことができると聞き、どうにかならぬものかと思ったのです。本当の話なのでしょうか?」
カブラカンに訊ねた。
「その山の話は本当か? 一体、何処にある。俺が潰して進ぜよう」
「あちらに。太陽の昇る、あちらに」
「道を教えろ」
「それはなりません。あなたを中央にして、私たちがあなたの左右を歩きます。といいますのは、私たちは吹き矢を持っていますので、鳥が出たならこれで仕留めるのです」
と答えた。
そして、三人は愉快に歩き出した。
二人は確かに、吹き矢を持っていたが、矢が装填されてはいなかった。
けれども、矢なしに彼らは鳥を撃ち落した。
道中、その仕留めた鳥を丸焼きにして、カブラカンに振舞った。ただし、鳥には焼く前に毒の土を塗りこめた。
「一切れ、くれ」
とカブラカンは言った。
鳥を食した後、再び歩き始めた。
山に至ったが、その頃には、カブラカンは土の所為で力を失くしてしまっていた。
山を覆すなど、できようもなく、それを見た二人は彼を縛り上げた。手と背中を結びつけて、土中に放り込んだ。
こうして、カブラカンは滅ぼされた。
二人の偉業はこれだけではないが、今回はこのことのみ記そう。
現在、未完です。今後の展開は一応構想はありますが、書き溜めておりません。
更新は未定です。
そもそも、この章が未完です。修正予定なし。