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第0話 プロローグ

始めましての方は初めまして。知ってる方はお久しぶりです。ラン丸です<m(__)m>

今回やっと書けるようになったので、これからまた、のんびりではありますが頑張っていこうと思ってます。どうぞ気楽に読んでいってください。

ブクマ、感想してくれたら嬉しいです、Twitterもやってますのでよろしくお願いします!

「これより、地下格闘技を執り行う。挑戦者を迎え撃つは、現地下格闘技チャンピオン。対する挑戦者は……」


 拍手が鳴り始め、一歩一歩踏みしめるように男はリングへと向かう。

 観客は男を見つめると、その動き一つ一つがスローモーションに見えた。男から目が離せない、声が出ない、観客は違和感を覚えた。だがその違和感の正体は分からない、ただ一つ言えるとすればこの男が今までの挑戦者とは明らかに違うという事だけだ。

 拍手の中男はチャンピオンの前に立つと、少し顔を上げて、自分よりも背の高いチャンピオンを見つめる。


「では、構え」


 チャンピオンは左手を男に突き出し、右手を腰の位置に置く。一方男は構えた様子はなく見つめ続ける。チャンピオンは男に恐怖している様だ。手が小刻みに震えているのが分かる。チャンピオンは恐怖を振り払うように首を横に振り、突き出した手を握りしめる。


「始め!」


 審判の声が響く。先手必勝の戦いをするチャンピオンだが、始まっても一歩も動かない。チャンピオンは男を見つめ「あぁ……何だ、それは……」と消え入るような声で呟く。チャンピオンは恐怖で顔が真っ青になっている――そして男の拳がチャンピオンの顔面に直撃するのであった。



        ***



 会場は静寂に包まれる。立っている男、横たわったチャンピオン。勝敗は明らかだ。試合は、男が勝利を収めた。だが勝敗が決まってもなお誰も立ち上がる者は居らず、ミシミシと椅子が揺れるような音がするだけだった。普段ならすでに歓声と拍手がこの会場を包み込むが、今回はそうはならなかったようだ。

 審判はチャンピオンの傍に行き、彼の喉仏に手を軽く触れ脈を確認する。口から血を流すチャンピオンを観客は息を呑み様子を伺う「頼むから生きていてくれ」そんな願いにも似た言葉も聞こえてくる。だがその願いは簡単に打ち砕かれる。


「みゃ、脈がない……死んでいる」


 そんな言葉が響く。その声は酷く小さく観客が聞こえるはずもない声だった。しかし観客はハッキリと聞こえてしまった“死んでいる”という言葉を。

 男は試合前と同じようにチャンピオンを見つめているだけだった。そんな様子を見た観客席からはカタカタと歯が当たる音が聞こえてくる。そして「ひ、人殺し」そんな言葉も小さいが聞こえ始める。それは次第に数が増えついには爆発した。


「この人殺し! こいつは人を殺した! 犯罪者だ!」


 誰かが声を大にしてそう言うと、周りの観客もそいつに続いて叫びだす。


「人殺し! 人殺し! 人殺し!」


 合唱のようにそう繰り返す。何度も。何度も。何度も。次第に観客はゴミをリングへと投げ込み始める。空き缶やゴミ袋、ペットボトルと様々物がリングに散らばった。


「…………」


 それでもなお男は立ち続け、倒れているチャンピオンを見つめている。

 会場は試合が終わった直後の静寂が嘘のように、罵声で包まれた。

 そして観客の一人が床に転がった瓶を拾い「死ね! 犯罪者!」と叫び、男めがけて投げる。瓶は綺麗な放物線を描きながら男の頭部に向かって飛んでいく。動かなければ確実に当たる軌道を描く瓶であったが男の頭部に当たらなかった。観客は目を見開いた。当たると確信した観客及び周りの人は目を疑う光景を見てしまう。


「ば、化物」


 投げられた瓶が男の頭部に触れそうな程近くなった時、二つに割れた。瓶の切り口は綺麗な一直線で、まるで鋭利な刃物で切られたかのようだった。

 男は瓶を投げた観客を睨みつける。


「ひ、ひぃ! 殺さないでくれぇ!」


 そう言った観客はすぐさま男に背を向け逃げ出していった。唖然としていた他の観客も次々に逃げ出していく。会場はごった返し押し合いになっていった。

 騒ぎは数分もした後静まった。先程までごった返していた会場は男一人になった。チャンピオンの亡骸は誰かが持っていった様だ。


「…………」


 男は天井を見つめる。そこには照明が5つあり、チカチカと会場と男を照らす。男は視線を自分の手に移す。拳には血が付き、所々血が付着し服にしみ込んでいた。


「……退屈だ」


 静まり返った会場にその言葉は響き渡る。男は会場の端を見つめた後リングから降り、出口へと向かって歩き出す。やがて足音は小さくなり会場から姿を消した。

 男が会場を去った後、男が視線を向けた場所から人の形をした白い靄が現れた。


「……気づかれましたか、やはりあの男はただ者ではありませんね――必ずや連れて参ります、陛下」



 白い靄はリングを見つめ、先ほどの試合を思い出す。

 試合が始まった直後、男から流れ出す殺気の嵐、チャンピオンと私に向けられたであろうその殺気は顔の形となっていった。


(あぁ……何だ、それはッ……まるで、鬼の顔じゃないか)


 チャンピオンの消え入るような声が聞こえた気がした――あれは、人のなせる事じゃない――と。白い靄は殺気を放つ男を見つめる。もはやこの勝負チャンピオンに勝機はない。あれほどの殺気の塊を付きつけられたら動くことは出来ないであろう。実際に勝負の結果は白い靄の予想通り、男の勝利で終わった。



「フフ……何としても、連れていきますよ。鬼貫神伝流――鬼貫蒼馬殿」


 白い靄は自らの目的を達成すべく消えた。そして照明がチカチカ照らす会場は遂に誰も居なくなり静寂が訪れたのであった。


さて、来週までに時間を作りながら第1話書いていこうっと。

文字数は大体2000~3000くらいで書いていくと思うので気楽に読めるはずです!

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