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大罪の眼

登場人物

ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。

カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。

ミサキ:ハルナの先輩とも言える魔法少女。今は戦うことが出来ない。

キャサリン:ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。

ブラックナイト:漆黒の鎧を身に纏いし正体不明の剣士。時折姿を現しハルナのことをサポートするが……?

クローディオ:闇の皇子。時期尚早として世界の破壊に否定的な態度を示している。

クローディア:闇の皇女。

ソリーサ:闇の幹部。闇の魔法で世界を脅かす。

シン:闇の幹部。闇の機械で世界を脅かす。

ケミル:闇の幹部。闇の薬で世界を脅かす。

ゼノ:闇の幹部。宇宙より邪悪な意思を持つ者を呼び寄せて世界を脅かす。

イオ:闇の幹部。闇の生物兵器で世界を脅かす。

 闇の神殿で闇の幹部達が話していました。

「シンはどこだ?」ソリーサが言いました。

「奥でまた何かを作っているようだが……。」ケミルが言いました。

「ほう……。せわしねえヤツだな。巨大ロボットを作り出すだけの力が今のヤツに残っているとも思えねえし、またどうしようもねえアンドロイドでも作ってんのか?」ソリーサが言いました。

「……とも限らんぞ。」ゼノが言いました。

「ん……?」ソリーサが怪訝そうに言いました。

「我々の力にも限りがある。ついこの間アンドロイドを作り出したばかりのシンに新たな機械を作り出すだけの力は無いハズだが……?」ケミルも同様に言いました。

「ヤツには俺が材料を提供しておいた。」ゼノが言いました。

「材料……?」ケミルが訊ねました。

「先日のエイリアンと取引をしてな、こちらの戦力をヤツに提供する代わり、ヤツがくたばった場合にヤツの所有物を俺が譲り受ける契約を結んだのだ。」ゼノが言いました。

「ほう……。」ソリーサが納得した様子で言いました。

「ヤツが倒されたことにより俺はヤツがこちらへ来る際に使用していた宇宙船を手に入れ、そしてその宇宙船をシンに提供してやった。」ゼノが言いました。

「なるほど。無から物を作り出すのにはそれ相応の力を消費することになるが、予め存在している物を利用すればその消費を抑えることが出来るな。」ケミルが言いました。

「それにしてもどうやってあのひねくれ者のシンに力を貸してやれたんだ?」ソリーサがゼノに訊ねました。

「フッ、俺の交渉術を甘く見て貰っては困るな。」ゼノが誇らしげに言いました。

「フン……。」イオが口を開きました。「シンが新たな脅威を作り上げる前に私は次の実験を済ませておくことにしよう。」

「次の実験だと……?」ゼノが言いました。

「新たなアンデッドを完成させてある。ソイツの実戦データを収集する。」イオが言いました。


 その頃ハルナはカーターと会って話をしていました。

「ねえカーター。」ハルナが言いました。

「何?」カーターが言いました。

「カーターと会って私は魔法が使えるようになったワケだけど、使える魔法の種類はそんなに多くないよね。」ハルナが言いました。「変身したり武器を召喚したりとか以外にも使える魔法って無いの?例えばほら、空を飛んでみたりとか……。」

「えっと……。」カーターが言いました。「結論から言ってしまうと、そういうのはムリかな。」

「え~!?」驚いた風にハルナが言いました。

「マジカルチェンジャーは専ら戦闘を補助する為のアイテムだし、装着者の魔力を戦闘以外の用途に用いる技術をボクは知らない。魔力の運用能力に長けた僕ら妖精でさえ使用出来る魔法の種類には限りがあるワケだから、人間に今以上の魔力運用を行わせることは不可能だとボクは思うよ。」カーターが言いました。

「そうなんだ……。」ハルナがガッカリした様子で言いました。

「でも……。」ハルナの様子を見たカーターが取り繕うように言いました。「間接的になら空を飛ぶことだって出来るかも……。」

「えっ……?」ハルナが言いました。

「アレだよ。魔力で操縦する飛行メカがあれば、それを使って空を飛ぶことだって出来るんじゃないかな?」カーターが言いました。

「う~ん……。」ハルナが言いました。「飛行メカかあ……。」

「うん。」カーターが言いました。「でもまあ、もしそんなメカがあったとしても、魔力消費の観点からすると現実的とは言えないかな……。」

「召喚に必要な魔力ってヤツ……?」ハルナが言いました。

「うん。」カーターが言いました。

「マジカンダーは条件を満たせば魔力消費無しで召喚出来るよね?」ハルナが言いました。

「アレは特別なんだよ。本来ならばメカの召喚には膨大な魔力消費が避けられないんだ。専門的な説明は省くけど、マジカンダーが特定条件下において魔力消費無しで召喚出来るのは物凄い画期的な技術によるものなんだ。地上メカよりも複雑な機構を備える飛行メカでそんなことを行うのは不可能だよ。」カーターが言いました。

「うん……。」ハルナがゲンナリした様子で言いました。

「それに、召喚時の魔力消費だけじゃない、運用時の魔力消費だってバカにならないよ、空を飛んでいるワケなんだから。」カーター言いました。

「もう良いよぉ……。」ハルナが言いました。

「ゴメン……。」カーターが申し訳なさそうに言いました。「でもまあ、理論上は可能という風に結論付けておくよ。」

「うん分かった。」ハルナが言いました。「ところでさ、さっき妖精の魔法についてどうのとか言ってたけどさ……。」

「ああ、ボク達の使える魔法の種類が限られてるっていう話?」カーターが言いました。

「そうそれ。」ハルナが言いました。「ふと気になったんだけど、カーターってどんな魔法が使えるの?この間はワープとかやってのけたけど……。」

「そうだね……。」カーターが言いました。「ワープとかマインドコントロールとか、挙げていくとキリが無いかな……。」

「色々出来るんだ。」ハルナが言いました。

「まあ、限りがあると言ってもそれなりの種類はあるよ。でも、出来ることと出来ないことの数を比べるとやっぱり出来ないことの数の方が多いかな……。それにボク達の場合でもやっぱり魔力消費の問題が出てくるし……。一度にそんなにたくさんの魔法は使えないから、そう言った点でも出来ないことが多いかな。」カーターが言いました。

「ふ~ん……。」最早知りたかったことを知ることは不可能だと感じたハルナはどうでも良さそうにそう言いました。

「ハルナ……!」唐突にカーターが叫びました。

「な、なに……!?」動揺してハルナが訊ねました。ハルナは自分の態度にカーターが気を悪くしたように思われていました。

「闇の力の気配を感じる……!」カーターが言いました。

「闇の力の気配を……?」ハルナが言いました。

「うん!」カーターが言いました。

「そう言えばカーターは闇の力の気配を感じ取る魔法も使えるみたいだけどさ……。」ハルナが意地悪な態度で言いました。「その力も随分と気まぐれだよね。むしろ気づける時の方が少なかったり……?」

「調子が良い時と悪い時があるんだよ!」カーターが言いました。「そんなことより早く行こうよ!場所はこの近くの下水道だ!」

「下水道……?」ハルナが嫌そうに言いました。「しょうがないな……。それじゃあワープをお願い。」

「その魔法は今は調子が悪いな。」カーターが言いました。

「え~!?」ハルナが信じられないといった様子で叫びました。


 ハルナは下水道へと降りました。

「マンホールのフタを外すのは犯罪だって古いアニメで見た気がするな……。」ハルナが言いました。

「大丈夫、妖精には人間の法律は適用されないから。」カーターが言いました。

「まあ、何でもいいケド……。」ハルナはそう言って下水道の中を歩き始めました。


「……!」ハルナ達は下水道内で怪人を見つけました。

「フン……。」その怪人は体に大きな眼を持つ特徴的な容姿のアンデッドでした。

「アイツは……!?」ハルナが言いました。

「フン……!」その怪人が身構えました。

「ハルナ、変身だ!」カーターが叫びました。

「うん!」ハルナが身構えました。「変身!」

「ウアアアアアアアッ!」その怪人が体内より無数の怪人を召喚しました。それらの怪人もまた体に大きな眼を持つ特徴がありました。

 ハルナは次々と向かってくるそれらの怪人にパンチやキックを浴びせて怯ませました。

「マジカルブラスター!」ハルナはマジカルブラスターを召喚して一箇所に集まった怪人達に向けてそれを発砲しました。

「マジカルブラスト!」ハルナは怯んだ怪人達に向けて大きな魔法弾を発射しました。

 召喚された怪人達はマジカルブラストを受けて一斉に爆発しました。

「アイツは……!?」ハルナは最初に見た怪人が姿を消していることに気づきました。

「さあ……?」カーターもその怪人の行方が分からない様子でした。

「一体アイツは何者だったんだろう……?」ハルナが言いました。

「ヤツは我が生物兵器第二号“グランス”だ。」いつの間にかハルナ達の背後に立っていたイオがそう言いました。

「……!」ハルナ達が驚いてイオの方へと振り返りました。

「お前は……!」カーターが言いました。

「イオ……!」ハルナが言いました。

「アイツはお前が作り出したアンデッドだったんだな……!」カーターが言いました。

「そうだ。」イオが言いました。「グランスは私がD-ウイルスの可能性を模索する為に作り出したアンデッドだ。」

「ウイルスの可能性……?」ハルナが言いました。

「そうだ。」イオが言いました。「ヤツは時間経過と共に変異を起こし、無限に攻撃力を増していく能力を備えている。」

「何だって……!?」カーターが言いました。

「このまま時間が経過していけばこの世界はヤツによって滅ぼされるだろう。」イオが言いました。

「そんな……!」ハルナが言いました。

「果たしてお前にヤツを止めることが出来るかな?」イオが言いました。

「止めてみせる……この世界の平和の為に……!」ハルナが言いました。

「フン……。まあせいぜい頑張るが良い。」そう言ってイオは姿を消しました。

「カーター、ヤツの気配を感じ取れないの?」ハルナがカーターに訊ねました。

「どうやら調子が悪いみたいだ。」カーターが言いました。「でもヤツはそう遠くへは行っていないハズ……!何としても見つけだそう!」

「うん!」ハルナが言いました。


 グランスを探しているハルナとカーターはとある廃工場へと迷い込みました。

「アイツは一体どこに……!?」ハルナが焦った様子で言いました。

「大丈夫……!ヤツはまだ世界を滅ぼす程の大規模な破壊活動は行っていない……!」カーターが言いました。

「でも、早くアイツを見つけ出さないと……!」ハルナが言いました。

「ウアアアアアアアッ!」工場内にグランスの雄叫びが響き渡りました。

「……!」グランスの雄叫びを聞いてハルナ達が戦慄しました。

「勝てるのかな、私……?」ハルナが弱腰になって呟きました。

「頑張れば、きっと……。」カーターが言いました。

「フン!」突如として姿を現したグランスがハルナを殴り飛ばしました。

「うわああっ……!」ふっ飛ばされたハルナが積んであったドラム缶を倒しながら地面に倒れ込みました。

「ハルナ……!」カーターが叫びました。

「ハアッ!」グランスがカーターを蹴り飛ばしました。

「うわあっ……!」カーターがハルナの傍に転がりました。

「カーター……!」ハルナがよろめきながら立ち上がろうとしました。

「フン……。」グランスが近くの手すりを引きちぎって構えました。

「ウアアアアアアアッ!」グランスが雄叫びを上げた後、立ち上がったハルナに向かっていきました。

 ハルナはグランスが連続で振り回す壊れた手すりをかわし続けました。

 グランスは回し蹴りを絡めながらハルナに攻撃を加え続けました。

「フッ!」ハルナがグランスの攻撃の合間を突いてマジカルブラスターを構えました。

「ハアッ!」ハルナがグランスを撃ちました。

「ウアッ……!」グランスが怯みながら後退しました。

「フンッ!」すぐさま体勢を立て直したグランスが持っていた手すりをハルナに投げつけました。

「うわっ……!」飛んできた手すりを受けてハルナがマジカルブラスターを落としました。

「ウアアアアアアアッ!」次の瞬間、グランスの肉体が変異し、グランスの肩に翼のような器官が形成されました。

「コレは……!」カーターが言いました。

「フン!」グランスが肩の器官から暗黒弾を放ってハルナを攻撃しました。

「うわああああああっ……!」ハルナが爆発と共にふっ飛ばされました。

「フン。」グランスがハルナににじり寄りました。

「これがヤツの力……!時と共にどんどん攻撃力が増していく……!」カーターが言いました。

「うう……。」ハルナがよろめきながら立ち上がりました。

「ウアアアアアアアッ!」グランスが雄叫びを上げた後、ハルナにパンチを繰り出しました。

「フッ!」ハルナが左手でグランスのパンチを受け止めました。

「ハアッ!」ハルナが右手でグランスを殴り飛ばしました。

「ハルナ……!」カーターが叫びました。

「ヤツがどれだけ攻撃力をアップしようとも、私は負けない!」ハルナが言いました。

「ウウ……!」グランスがよろめきながら立ち上がろうとしました。

 ハルナがすかさずフェイタル・アーツを発動させました。

「マジカルキック!」ハルナが飛び蹴りを繰り出しました。

「ウアアアアアアアッ……!」マジカルキックを受けたグランスがふっ飛ばされ、爆発と共に倒れました。

「スゴい……!」カーターが言いました。

「ヤツは……死んだんだよね……?」ハルナがカーターに訊ねました。

「ああ、死んでる。」カーターが倒れたグランスを見ながら言いました。

 しかし次の瞬間、倒れていたグランスが復活し、さらなる変異を始めました。

「そんな……!倒したのに……!」ハルナが言いました。

「これだからアンデッドは……。」カーターが言いました。

 グランスが建物を破壊しながら変異して巨大な怪獣になりました。

 建物の外へと逃げたハルナ達が怪獣と化したグランスを見上げました。

「ハルナ……!」カーターが叫びました。

「分かってる!」ハルナが言いました。「マジカンダー召喚!」


 ハルナの操縦するマジカンダーと怪獣と化したグランスが対峙しました。

「今度こそ決着をつけるんだ、ハルナ!」マジカンダーのコックピット内にカーターの声が響きました。

「うん!」そう言ってハルナがマジカンダーの操縦桿を動かしました。

 グランスが新たに形成された触手を使ってマジカンダーを叩きました。

「リストバルカン!」マジカンダーが右腕の機関砲でグランスに反撃しました。

 グランスはマジカンダーの放つ魔法弾にビクともせずに触手を振り回しました。

「つ……強い……!」ハルナが叫びました。

「怯んじゃダメだよ!とにかく攻撃を続けるんだ!」カーターが言いました。

「うん……!」マジカンダーの左腕の機関砲でグランスを攻撃しました。

 さらにマジカンダーがグランスに近づいて連続でパンチを浴びせました。

 マジカンダーの攻撃に怯んだグランスが後退しました。

「これで決める!」そう言ってハルナがマジカンダーの操縦桿を動かしました。「ラスティング・バースト!」

 マジカンダーの両腕から魔法弾が放たれました。凄まじい耐久力を誇るグランスも、絶え間なく放たれるマジカンダーの魔法弾を受け続け、遂に爆発しました。


 ハルナとカーターが例によって近くの建物の屋上で落ち合いました。

「お疲れ様、ハルナ。」カーターがハルナを労いました。

「やれやれだよ。」ハルナが言いました。

「ひとまずこれでまた世界の平和が守られたよ。」カーターが言いました。

「でもイオはウイルスの可能性を模索する為にアイツを作ったって言ってたよね。と言うことは……。」ハルナが言いました。

「うん。」カーターが言いました。「きっと今回の戦いのデータを用いてさらなるアンデッドが生み出されるとだろうね。」

「だよね。」ハルナが言いました。「でも、たとえイオがどんなに凄いバケモノを作り出そうとも、世界の平和は私が守ってみせるよ!」

 こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。

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