表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/150

セキュリティクラッシュサーガ

登場人物

ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。

カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。

ミサキ:ハルナの先輩とも言える魔法少女。ハルナと同型の“マジカルチェンジャー”と魔法の杖“マジカルロッド”を駆使して戦う。

キャサリン:ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。

サクラ:政府の組織に所属する魔法少女。ハルナの使用する物よりも高い音声を発する“マジカルチェンジャー”で変身し、魔法の自立安定一輪車“マジカルユニサイクル”を乗りこなす。

プラトン:サクラのパートナーであるカモノハシの容姿を持った妖精。冷静沈着で口数は少ない。

アオイ:かつてミサキと共に闇の力と戦った魔法少女。ハルナの使用する物よりも低い音声を発する“マジカルチェンジャー”で変身し、魔法の杖“マジカルワンド”を使いこなす。

ハナコ:ハルナのクラスメート。極度のお人好しであり、元気の無い人を見ると放ってはおけない性格をしている。

ブラックナイト:漆黒の鎧を身に纏いし正体不明の剣士。時折姿を現しハルナのことをサポートするが……?

 時計塔でシオンとツバキが話をしていました。

「魔法局に乗り込んだものの大した成果は挙げられなかったようだね。」先日のシオンの戦いについてツバキが言いました。

「アレくらいで十分だろう。」シオンが言いました。

「どうかな?」ツバキが言いました。「アレくらいで懲りる連中でも無いと思うが……。」

「だが、力の差は見せつけた。この差を埋めるだけの気力は湧き上がらないハズだ。」シオンが言いました。

「力の差というのはつまり技術力の差だな。」ツバキが言いました。「まあ、その差は埋まらない。」

「ああ。」シオンが言いました。

「だが、予算は向こうの方が遥かに上だ。」ツバキが言いました。「ヤツらが少しでもこちらに対する優位性を認識している限り諦めることは無いぞ思うぞ。」

「そもそも魔法に関する問題を専門的に解決する為に我々の機関は設立された。なのに何故同じ政府機関に領分を侵されなければならない?」シオンが言いました。

「そりゃあ、私達の仕事を奪えば組織の規模を拡大出来るし、多少の手間を掛けてでも奪う価値があると判断されたからだろう。」ツバキが言いました。「でも実際のところこの仕事にそれだけの価値があるとは思えないが……?まあ、その点についてはあまり議論されなかったのだろうね。」

「私達もこんなところで潰されるワケにはいかない。」シオンが言いました。

「同感だね。」ツバキが言いました。「まあ、これからはヤツらのことをもっと警戒しないといけないね。」


 ハルナの元にツバキが現れました。

「やあ、度々悪いね。」ツバキが言いました。

「ツバキさん……。」ハルナが言いました。

「ちょっと話を聞いてくれるかい?」ツバキが言いました。

「はい……。」ハルナが言いました。


 ハルナはカーターも呼んでツバキと共にアジトへとやって来ました。

「ここが以前君達が計画に利用したアジトか……。」ツバキが言いました。「良い味出してるじゃないか。」

「まあ、人知れず計画を練るには悪くない場所だよ。」カーターが言いました。

「それで、話って何ですか?」ハルナが言いました。

「鎧武を知っているかい?」ツバキが言いました。「仮面ライダーの……。」

「名前くらいは……。ガッイッムーッ、ですよね?」ハルナが言いました。

「フルーツをモチーフにしたヒーローだね。」カーターが言いました。

「そう、それだよ!」ツバキが言いました。「戦国時代がテーマの作品なのに劇場版で唐突にサッカーを始めた名作だ。」

「ワールドカップイヤーだったからでしょ?」カーターが言いました。

「あの作品から得られる教訓は一つ、戦争をするならサッカーをすることも考えなければならないということだ。」ツバキが言いました。

「丁度ワールドカップイヤーですしね。」ハルナが言いました。「今日来たのは私をチームにスカウトする為ですか?」

「チームなんて即席でどうにでもなる。実際に鎧武でもそうだったしな。」ツバキが言いました。

「じゃあ何の話を……?」ハルナが言いました。

「サッカーをするには選手を送迎する為の車が必要だろう?」ツバキが言いました。

「車ね……。」カーターが言いました。

「SSSが選手の送迎にも使えそうな良い車を隠し持っている。」ツバキが言いました。

「この間の装甲車ですか?」ハルナが言いました。

「装甲王アーメット・アーマゲドンか……アレも欲しいな……。」ツバキが言いました。「アレなら車をボールにしてサッカーをすることだって出来るだろう。」

「一体どんな車なの……?」カーターが言いました。「まあ、何となく想像出来るけど……。」

「でも今回手に入れて欲しいのはそれとは別のものだ。」ツバキが言いました。

「別のもの……?」ハルナが言いました。

「もしホントにサッカーする気ならSUVとか……?」カーターが言いました。

「そんなところさ。」ツバキが言いました。「反薙王エッセダリウス、輸送用のピックアップトラックだ。」

「ピックアップトラック……。」ハルナが言いました。

「ピックアップトラックくらい盗まずに買えば良いじゃん。」カーターが言いました。

「まあ、SSSが警備の厳重な警備会社だったら私だって金策を考えたさ。」ツバキが言いました。「でも、実際はそうじゃない。タダで手に入るモノをわざわざ買うなんてバカげているだろう?税金の無駄遣いを避けた方が国民も喜ぶ。」

「屁理屈だね。」カーターが言いました。

「分かったような口を利かないで欲しいな。」ツバキが言いました。「それで、やってくれるかい?」

「はい……。」ハルナが言いました。

「ハルナ……!?」カーターが言いました。「どういうつもり、こんな仕事を引き受けるなんて……!?」

「うん……。」ハルナが言いました。

「よし、それじゃあ日を改めて計画を説明しよう。それじゃあね。」そう言ってツバキがその場を去っていきました。

「ハルナ……?」カーターが言いました。

「いや……ちょっとね……。この間ツバキさんからの仕事の途中でSSSに襲われて、魔法庁の物資を盗まれちゃったんだよね……。」ハルナが言いました。

「なるほど……。」カーターが言いました。「装甲車の話はその時の話か……。」

「うん……。」ハルナが言いました。「私がしくじったせいで車を買えなくなったんじゃないかと思うと、なんか申し訳無くて……。」

「そんな風に考える必要な無いと思うよ。」カーターが言いました。「アイツはハルナのそんな気持ちを利用しようと考えているだけさ。端からその車にお金を出すつもりは無かったハズだよ。」

「でも、私がミスしたのは事実だし、埋め合わせをしないと……。」ハルナが言いました。

「その件だってハルナは体よく利用されてただけじゃないか。」カーターが言いました。「そんなに義理を感じる相手じゃない。」

「でも……。」ハルナが言いました。

「まあ、その件でハルナのプライドが傷ついたって言うなら悪くないかも知れないね。」カーターが言いました。

「えっ……?」ハルナが言いました。

「理由はどうあれ、SSSは政府に敵対してハルナを攻撃したんだろう?」カーターが言いました。「こりゃあ穏やかじゃないよ。」

「うん。」ハルナが言いました。

「個人的にはあまりオススメはしないけど、仕事ついでにリベンジしても罰は当たらないんじゃないかな?」カーターが言いました。

「そうだね。」ハルナが言いました。

「あのツバキって子も、ハルナの為に今回の仕事を考えたのだとしたら、そこまで悪いヤツじゃ無いのかも知れない……。」カーターが言いました。「少なくとも、単刀直入に盗みを働いてくれと言える程の子じゃ無さそうだよ。」

「確かに……。」ハルナが言いました。

「まあ、分からないけどね。」カーターが言いました。「とりあえずやるつもりなら頑張りなよ。応援する。」

「うん。」ハルナが言いました。「ありがとう、カーター。」


 後日、アジトにハルナとカスミとカエデが集まっていました。そこへツバキがやって来ました。

「やあ皆さん、お揃いだね。」ツバキが言いました。

 三人は黙ってツバキの方を見ました。

「最高のガンマンに最高のドライバー、そして最高のハッカー、まさにベストチームだ。」ツバキが言いました。

「本当にそう思っているのかしら?」カスミが言いました。

「どうだろうね?」カエデが言いました。

「さて、それじゃあ今回の計画を説明しよう。」ツバキが言いました。

「三人でSSSの倉庫に乗り込んで警備員達を倒し、目的の車を手に入れる。」カエデが言いました。「そういう計画で良いんだよね?」

「その通り!」ツバキが言いました。「簡単な計画だろう?ちょっとしたお使いみたいなものさ!」

「本当に簡単と言えるの?」カスミが言いました。「SSSの武力は私達の力と同等か、それ以上よ。」

「連中の力が君達以上なんてことはまず無いだろう。」ツバキが言いました。「SSSの実力なんてたかが知れている。そうだろう、ハルナ?」

「はい。」ハルナが言いました。

「ハルナ……?」カエデが言いました。

「SSSの警備員達は私が何とかします!」ハルナが言いました。

「出来るの、そんなこと?」カスミが言いました。

「ひとまず計画は以上だな。」ツバキが言いました。「後は君達の健闘を祈ろう。」

「ちょっと待ってよ!」カスミが言いました。「私達じゃ無理よ!ハルナがどんなに頑張ったところでSSSには勝てないわ!」

「私も同感だな……。」カエデが言いました。「相手が悪いよ。」

「フッフッフッ……。」ツバキがハルナを見て言いました。

「相手が悪い、本当にそうかしら?」そこへアオイが姿を現しました。

「ん……?」ツバキが言いました。「君は……。」

「アオイ……!」カスミが言いました。

「どうしてここに……?」カエデが言いました。

「計画に参加させて貰う為よ。」アオイが言いました。「この計画のことを嗅ぎつけさせて貰ったわ。」

「ほう、やるじゃないか。」ツバキが言いました。

「私も協力するわ。」アオイが言いました。「これで勝てる可能性が上がったでしょう?」

「確かにそれなら……。」カエデが言いました。

「どうしてこの計画に参加しようと思ったんだい?」ツバキが言いました。「君にとって魅力的な仕事とも思えないが……。」

「私の実力をもっと組織内に知らしめる為よ。」アオイが言いました。「新入りだからと甘く見られたく無いもの。」

「なるほど。」ツバキが言いました。「理由としては上出来だ。」

「ええ。」アオイが言いました。

「本当はSSSの相手はハルナ一人で十分なんだが、アオイの活躍にも期待してみたくなった。アオイも計画に加えることにしよう。」ツバキが言いました。「悪いね、ハルナ。」

「いえ……。」ハルナが言いました。「万が一の備えもあった方が良いと思いますし……。」

「ベテランみたいな物言いね。」アオイが言いました。「実際のところベテランなのかしら?」

「とにかく、計画実行だ。」ツバキが言いました。「早く始めて早く終わらせようじゃないか。」

「変身!」ハルナ達四人が変身しました。

 そんな中、謎の人物が陰から片目を覗かせながらアジトの様子を見ていました。


 ハルナ達はその車両倉庫へとやって来ました。

 そこにいた警備員達がハルナ達に気付きました。そして警報が鳴り響き、警備員達がハルナ達に襲い掛かって来ました。

「始めるわよ!」アオイが言いました。

 カスミとカエデが物陰に隠れて移動し始めました。

 稲妻を纏った警棒を持った警備員達がハルナとアオイに襲い掛かりました。

「マジカルブラスター!」ハルナがマジカルブラスターを構えました。「ハアッ!」

 ハルナの放った魔法弾を受けて警備員の一人がふっ飛ばされて倒れました。

「マジカルワンド!」アオイがマジカルワンドを構えると同時にマジカルワンドの先端に魔法の刃が生成されました。

「ハアッ!ハアッ!」アオイは向かって来た警備員の持つ警棒を魔法の刃で弾き飛ばし、さらにその警備員を切りつけました。その警備員はそのまま倒れました。

「マジカルショット!」ハルナが魔法散弾で警備員達をふっ飛ばしました。

 さらに現れた警備員達が車の陰に隠れながら拳銃を撃ち始めました。

「フッ!ハアッ!」アオイが魔法の刃で銃弾を弾きました。

 ハルナは柱の陰に隠れながらマジカルブラスターを撃ちました。

 アオイがハルナの死角から飛んでくる銃弾を防ぎ、ハルナが正面の警備員達を一人ずつ倒していきました。

 ハルナの正面にいる警備員が全滅したところでハルナ達はその方向の車の陰に隠れて残りの警備員達の様子を窺いました。

「二人はまだかしら?」アオイが言いました。

「ひょっとしたら敵に見つかって戦ってるかも……。」ハルナが言いました。

「あの二人の攻撃力じゃマズいわね。」アオイが言いました。「今のところ敵は私達に集中しているようにも思えるけど……。」

「とりあえず目の前の敵を片付けましょう。」そう言ってハルナが物陰に隠れながらマジカルブラスターに魔力をチャージし始めました。

「行くわよ!」そう言うと当時にアオイが車の陰から出ました。

 警備員達がアオイに向けて発砲しました。アオイは魔法の刃で銃弾を弾いていきました。

「マジカルブラスト!」車の陰から姿を現したハルナが大きな魔法弾を放ちました。

 ハルナの放った大きな魔法弾が警備員達の隠れている車に直撃し、数台の車が爆発炎上しました。そしてその付近にいた警備員達は倒れました。

 残った警備員達が稲妻を纏った警棒を構えてハルナ達に向かってきました。

「往生際が悪いわね!」そう言ってアオイがマジカルワンドを構え直しました。

 次の瞬間、多数のヴァーミナス兵達がその車両倉庫に侵入しました。警備員達はヴァーミナス兵達に殴り倒され、ハルナ達もヴァーミナス兵達に殴りかかられました。

「何なのコイツら……!?」アオイが言いました。

「ヴァーミナス兵……!」アオイが言いました。「どうしてこんなところに……!?」

 ハルナ達はヴァーミナス兵達を倒していきました。しかしヴァーミナス兵は次から次に姿を現しました。

「これじゃあキリが無い!」ハルナが言いました。

 そこへSSSの応援車両が到着し、中から小銃を持った警備員達が姿を現しました。

「何だこの状況は……!?」警備員の一人がヴァーミナス兵と戦うハルナ達を見て言いました。

 そしてさらなるヴァーミナス兵達がその警備員達の背後から姿を現し、その警備員達を襲いました。

「一体どこから……!?」アオイが言いました。

 奥からカスミとカエデの乗った車が走ってきました。

「二人共……!」アオイが言いました。

 ハルナとアオイはその車の荷台に飛び乗りました。そしてカスミがアクセルを踏み込みました。

 その車が応援に来た警備員達の乗っていた車両を突き飛ばし、その車両倉庫の出口へと走っていきました。


 その車両倉庫の前では、様々な方向から姿を現したヴァーミナス兵達がその車両倉庫に向かって走っていました。

 ハルナ達の乗ったその車が車両倉庫から出てきました。

「一気に行くわよ!」カスミが言いました。

 ヴァーミナス兵達がまっすぐ走ってくるその車を前に足を止めました。

 その車は目の前のヴァーミナス兵達をはねてそのままその場を走り去りました。


 ハルナ達はその車に乗ってツバキの研究所を目指していました。

「これでサッカーが出来ますね。」ハルナがアオイに言いました。

「サッカー……?何の話……?」アオイが言いました。

「えっ……?」ハルナが言いました。「ああ、このネタのことは知らないのか……。」

「よく分からないけど、乗ってあげるわ。」アオイが言いました。「要するに、SSSの連中をオフサイドトラップに掛けてやったってことね。」

「いや、サッカーのことよく分かんないです。」ハルナが言いました。

「じゃあ何ネタなのよ……?」アオイが言いました。

「いや、ツバキさんがサッカーやるのに車が必要だって言ったから……。」ハルナが言いました。

「それでチーム全員を荷台に乗せて運べる車を手に入れたワケね。」アオイが言いました。

「そうですね。」ハルナが言いました。

「私達がサッカーやってもレッドカードを貰う未来しか見えないわ。」アオイが言いました。

「オフサイドトラップで、ですか?」ハルナが言いました。

「オフサイドトラップなんて知らないわよ。」アオイが言いました。

「とりあえず、一番多くレッドカードを貰いそうなのはサクラちゃんだと思います。」ハルナが言いました。

「カードコレクターサクラね!」アオイが言いました。

「そう!」ハルナが言いました。

 SSSのバンが二台、その車の後ろにつきました。

「SSS……!」ハルナが言いました。

「しつこいわね……!」アオイが言いました。

 ハルナがその車の荷台からマジカルブラスターを撃ちました。しかしそのバンは魔法弾を受けても止まりませんでした。

「マジカルブラスターによる攻撃が効かない……!?」ハルナが言いました。

「どうやら装甲が施されているようね。」アオイが言いました。

 警備員達がそのバンの中から短機関銃を撃ってハルナ達を攻撃しました。

「撃たれてるわよ……!」アオイが車の中にいる二人に向かって言いました。

「分かってるわ……!」カスミが言いました。「何とか頑張ってる……!」

「SSSの通信は妨害済みだよ。あのバンは偶然近くを通りかかったんだと思う。」カエデが言いました。

「要するに、これ以上の追手は来ないってことね?」アオイが言いました。

「でも、あのバンを何とかしないと目的地へは向かえない。」カエデが言いました。

「ハルナ……!」アオイが言いました。

「ハアッ!」ハルナがマジカルブラスターを撃ちました。

 ハルナの放った魔法弾が窓から身を乗り出している警備員の一人に直撃し、その警備員が倒れました。

「車を止めないと意味が無いわよ!」アオイが言いました。

「でも、車は防弾だし……。」ハルナが言いました。

「マジカルボール!」アオイがマジカルワンドの先端から魔法弾を放ちました。しかしそのバンには通用しませんでした。

「アオイさんの攻撃でもあのバンを止められないなんて……!」ハルナが言いました。

「こうなったら突撃するしか無いわね!」アオイがマジカルワンドを構え直してその車から飛び降りようとしました。

「だったら私が突撃します!」ハルナが言いました。

「何ですって?」アオイが言いました。

「キックオフ!」そう言ってハルナがフェイタルアーツを発動しました。

「ハルナ……!?」アオイが言いました。

「ハアッ!」ハルナがその車の荷台からジャンプしました。「マジカルキック!」

 ハルナがバンの一台に跳び蹴りを当てました。ハルナの攻撃を受けたバンがバランスを崩し、もう一台のバンと衝突してそのまま二台とも停車しました。

「ハルナ……!」アオイが言いました。

 その車はそのまま走り去っていきました。

 その場に残ったハルナがバンから降りた警備員達に囲まれました。

「くうっ……!」


 とある建物の屋上からツバキがマジカルテックライフルのスコープを使ってハルナの様子を見ていました。

「やるじゃないか、ハルナ。」ツバキが言いました。「まさかホントに車でサッカーするとはね。」

 ツバキがマジカルテックモバイルを手に取りました。

「さて、私も少しだけ手を貸すとしよう。」そう言ってツバキが乗り物召喚アプリを起動しました。

 ツバキの前に魔法の自動二輪車“マジカルテックサイクル”が召喚されました。


 ハルナはバンから出てきた警備員達に囲まれ、短機関銃を向けられていました。

「……。」ハルナは黙って手を上げました。

 しかし警備員達はそんなハルナに容赦無く発砲しました。

「うわああああああっ……!」ハルナは短機関銃の弾丸を全身に浴びてもがきました。

 次の瞬間、どこからともなく魔法弾が飛んできてハルナを囲む警備員の一人に直撃しました。

 倒れたその警備員を見て他の警備員達が発砲を止めて辺りを見回しましたが、そこへさらなる魔法弾が飛んできて警備員達が次々と倒れていきました。

 ハルナは走って停まっているバンの陰に隠れました。残っていた警備員達が短機関銃を撃ちましたが、放たれた弾丸はハルナには当たりませんでした。

 ハルナがバンの陰に隠れながらマジカルブラスターを撃って残った警備員達と戦いました。

 そんなハルナの元へマジカルテックサイクルに乗ったツバキがやって来ました。

「乗ってくかい?」ツバキが言いました。

「ツバキさん……!」そう言ってハルナがツバキの運転するマジカルテックサイクルに乗りました。

 ツバキはマジカルテックモバイルを手にして煙幕アプリを起動しました。

 突然の煙幕に警備員達が困惑する中、ハルナ達の乗ったマジカルテックサイクルが飛び出しました。

 その場を離れていくマジカルテックサイクルに向けて警備員達が慌てて短機関銃を向けました。

「後ろは頼むよ、ハルナ。」ツバキが言いました。

「はい……!」ハルナが後ろから短機関銃を撃つ警備員達に向けてマジカルブラスターを撃ちました。

「さてと……もうちょっと飛ばすか!」そう言いながらツバキがマジカルテックモバイルを手に取り、ロケットアプリを起動しました。

「ちょっと……運転中にケータイをいじらないでくださいよ!」ハルナが言いました。

「大丈夫だって!」そう言いながらツバキがマジカルテックモバイルをマジカルテックサイクルに接続しました。

 その瞬間、マジカルテックサイクルの後部に魔法のロケットエンジンが召喚され、その推進力によってマジカルテックサイクルが加速しました。

 警備員達は瞬く間に離れていくハルナ達に為す術がありませんでした。


 アオイ達はその車でツバキの研究所に到着していました。

「ツバキはどこにいるのかしら?」アオイが言いました。

「計画だとここで待ってるハズなんだけど……。」カエデが言いました。

「一体どういうつもりなの……?」カスミが言いました。

 そこへマジカルテックサイクルに乗ってハルナとツバキがやって来ました。

「ツバキ……!」カスミが言いました。

「ハルナ!」アオイが言いました。「無事だったのね!」

「ツバキさんのおかげで……。」ハルナが言いました。

「私達のことを見ていてくれてたんだ。」カエデが言いました。

「多少のアクシデントに見舞われたが、まあ、概ね計画通りだ。」ツバキが言いました。「ご苦労様。」

「かなりのムチャをさせられたけど、目的の車を手に入れたわよ。これで満足かしら?」カスミが言いました。

「ああ、満足さ。」ツバキが言いました。「今回の目的は達せられたよ。」

「この車にそれだけの価値があったの?」アオイが言いました。

「まあ、この車も欲しかったけど、私にとって今一番大事なのは君達のスキルアップさ。」ツバキが言いました。

「スキルアップ……?」カスミが言いました。

「シオンは君達にあまり難しい仕事はさせないだろう?」ツバキが言いました。「魔法庁はそこら辺のパープル企業とは違う。君達からもシオンに言ってやったらどうだい?」

「正しいこと言ってるように聞こえなくも無いけど、腑に落ちないわね。」カスミが言いました。

「まあ、とにかく、みんなこれからも平和の為に頑張ってくれよ。」ツバキが言いました。


 人気の無い夜の通りでヴァーミナス兵達が縦横無尽に跳ね回っていました。

 跳ね回るヴァーミナス兵達の間をフーデッドコートを身に纏った少女が真っ直ぐに歩き続けていました。その少女は全身に包帯を巻いており、その隙間から片目だけを覗かせていました。

「紛い物は全て消し去る。」


 ハルナはとある建物の屋上でカーターと落ち合いました。

「計画は上手く行った?」カーターが言いました。

「うん。何とか……。」ハルナが言いました。

「フルーツは出てきた?」カーターが言いました。「ジューシー!」

「出てこなかったね。」ハルナが言いました。「でも、ここに来る前に買って来たよ。」

 そう言ってハルナがフルーツソーダを見せました。

「ソーダ!」カーターが言いました。

 ハルナがそのフルーツソーダを飲みました。

「う~ん……!」ハルナが顔をしかめました。「私炭酸苦手なんだよね。」

「じゃあ何で買ったの?」カーターが言いました。

「風情があるから。」ハルナが言いました。

「なるほど。」カーターが言いました。

「ジューシー!」ハルナが言いました。

 こうしてこの日もハルナは世界の平和の為に頑張ったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ