闇の館
登場人物
ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。
カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。
ミサキ:ハルナの先輩とも言える魔法少女。今は戦うことが出来ない。
キャサリン:ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。
クローディオ:闇の皇子。時期尚早として世界の破壊に否定的な態度を示している。
クローディア:闇の皇女。
ソリーサ:闇の幹部。闇の魔法で世界を脅かす。
シン:闇の幹部。闇の機械で世界を脅かす。
ケミル:闇の幹部。闇の薬で世界を脅かす。
ゼノ:闇の幹部。宇宙より邪悪な意思を持つ者を呼び寄せて世界を脅かす。
イオ:闇の幹部。闇の生物兵器で世界を脅かす。
その日ハルナは学校で、街外れの山奥にある廃屋にオバケが出るという噂を耳にしました。
その廃屋は遥か昔に立てられていた宿泊施設であり、景気の悪化に伴い撤去もされずに放置されたものでした。
その廃屋にオバケが出るという噂は、建物が放置されるようになった当初から度々囁かれていたことでしたが、闇の力の増大に伴い街中に怪人が現われるようになってからは実際に存在するかも分からないようなオバケの話など誰もしなくなっていました。
しかし最近になって何故か再びオバケの噂が立ち始めたのです。
そのことを少々怪訝に思ったハルナは、放課後カーターにそのことを話してみました。
「オバケのウワサか……。」カーターは考えました。「火の無いところに煙は立たないって言うけど……。」
「うん。」ハルナが言いました。「立ち入り禁止になっているハズのその建物の窓から人の姿が見えたって話もあるし、噂の真相を確かめに向かった人がそのまま行方不明になったって話もあるし……。」
「まあ、人の姿を見たってのは気のせいってこともあるし、あの辺りはそもそも足場が悪いから下手に入れば行方不明にもなると思うけど……。」カーターが考えながら言いました。「調査の生配信とかしてる人はいないの?」
「いないね。」ハルナが言いました。「これも聞いた話なんだけど、あの辺りで通信機器を使おうとしても上手く使えなくなるみたいだよ。」
「そっか……。」カーターが言いました。
「私達で調べに行こうよ!」ハルナが言いました。
「え~……。」カーターが嫌そうに言いました。
「だって、世界の平和を脅かす存在がその建物に潜んでいるかも知れないじゃん!」ハルナが言いました。
「でも……。」
「私達なら多少の危険は魔法の力で乗り越えられる!」
「そうかな~……?」
「ねえ、行こうよ!」
「いや~……。」
「怖いんだ?」
「うっ……!」カーターが言葉に詰まりました。
「ひょっとしてカーター、オバケがニガテなの……?」
「いや……そんなんじゃあ……!」カーターが言いました。「オバケの正体によるかな……。」
「え~っと……。」ハルナはいまいち要領が得られませんでした。
「アレだよ。この世界に妖精が存在することはよく知ってると思うけど……。」カーターが言いました。
「まあ、目の前にいるからね。」ハルナが言いました。
「ボク自身他にどんな妖精がいるか詳しくは把握していないんだ。」カーターが言いました。
「なるほど……。」
「それで、姉さんから聞いたんだけど、妖精の中にはあまり友好的でないのもいるとかいないとかで……。」カーターが言いました。「そういうのには出来るだけかかわらない方が良いって言われたんだ。」
「ふ~ん……。」ハルナが言いました。「要するに、闇のバケモノは平気でも、悪い妖精は怖いんだ?」
「まあ、闇の力とは戦わなくちゃいけないってずっと前から思ってたし……。でも、同じ妖精とはどう接して良いのか分からないよ……。」カーターが言いました。
「人見知りみたいなものかな……?」ハルナが言いました。
「何とでも言えば良いさ。そこら辺に関しては僕自身も分からない。」カーターが言いました。
「でも、闇の力とは戦わなくちゃいけないって思ってるんだよね?だったら調査に行かなくちゃ!」ハルナが容赦無く言いました。
「ううっ……!」カーターが怒っているとも嘆いているともどちらともつかないような様子で言いました。
「困った時は私が助けてあげるよ、カーター!」ハルナが言いました。
「分かったよ、ハルナ。」カーターが諦めたように言いました。
「よーし、それじゃあ調査開始!」
ハルナとカーターはその廃屋に辿り着きました。
「うわっ、不気味なお屋敷……!」ハルナが戦慄して言いました。「実際に見てみると物凄い不気味だよ……!何だか怖くなってきちゃった……。」
「探検気分はもうおしまい?」カーターが言いました。
「うん……。」ハルナが怯えながら言いました。
「でも引き返さないよ。これは世界の平和の為に必要な調査だからね!」カーターが先程の仕返しとばかりに言いました。
「カーター……!」ハルナが泣きそうな声で言いました。
「大体どうして今更になって怖気付くのさ?怖いのは承知の上だろう?」カーターが言いました。
「だって、こんなにヤバそうだなんて思ってもみなかったんだもん……!見てよこの建物、まるでオバケ屋敷じゃん……!」ハルナが言いました。
「そりゃあ大分前から放置されて、今では立ち入り禁止になっているような建物だからね。」カーターが言いました。
「漏らしそう……。」ハルナが言いました。そう言えばカーターも許してくれるとハルナは考えていました。
「さあ、中に入るよ!」カーターは許しませんでした。
「この……!悪い妖精が中にいても見捨ててやる……!」ハルナが言いました。
「ハルナはそんなことしないって信じてるから……。」カーターが言いました。
そしてハルナ達はその廃屋へと入っていきました。
老朽化により屋内も大分荒れ果てた様子でした。
「カーター……怖いよ……!」ハルナが言いました。
「さあ、奥へ進むよ。」カーターが言いました。ここまで来た以上意地でも噂の真相を確かめなければならないという思いがカーターにありました。
一人で帰る勇気も湧かないハルナには最早カーターに従ってその廃屋の調査を行う以外の選択肢は残されていませんでした。
ハルナ達は元々宿泊施設として立てられたその建物の食堂に当たる広間へと差し掛かりました。
「……!」ハルナ達は広間の奥で一人の人物が背を向けて佇んでいるのに気付きました。
「あの人……もしかして……。」ハルナが呟きました。
「えっ……。」予想外に冷静なハルナの態度に驚いた様子でカーターが言いました。
「ネットに動画を投稿してる人だよ。私はあの手のネット動画なんて全然見ないけど、あの服装はあの人のトレードマークだったハズ。ひょっとして動画を撮りに来たのかな……?」ハルナが安心した様子で言いました。
「……。」その人物はハルナ達が広間にやって来たのにまるで気付いていないような様子を見せました。
「どこか様子がおかしいな……。」カーターがその人物の様子を怪訝に思いました。
そんなカーターをよそにハルナはその人物に近付いていきました。
「あの……!」ハルナがその人物に助けを求めようと声を掛けました。
「待ってハルナ!」カーターが叫びました。
「……!」ハルナが足を止めました。
この時ハルナはカーターの心配に気付く由も無かったのですが、明らかに見た目がネコであるカーターが自分以外の人間の前で大声を出したことに慌てたのです。しかし幸いにもそのことがハルナの命を救う結果となりました。
「ウアアアア……。」その瞬間、呻き声を上げながら振り向いたその人物の容姿は最早人間のものではありませんでした。
「に……人間じゃない……!?」その人物の容姿にハルナは戦きました。
「コイツは……!?」その人物の様子を不審に思っていたカーターも、その人物の死人のような顔に驚きを隠せませんでした。
「ウアアアア……。」その人物がハルナににじり寄ってきました。
「ちょっとだけ漏らしちゃったかも……!」ハルナが目に涙を浮かべながら言いました。
「ハルナ、変身するんだ!」カーターが言いました。
「へ……変身……!」ハルナが変身してマジカルブラスターを構えました。
「それ以上近寄らないで!近寄ったら撃つよ!」ハルナが言いました。
「アアアアア……。」その人物はハルナの言葉を意に介さない様子でハルナに迫り続けました。
「警告はしたからね!」ハルナがその人物をマジカルブラスターで撃ちました。
「ウアアッ……!」その人物は胴に魔法弾を受け、ふっ飛んで倒れました。
ハルナがマジカルブラスターを下ろしました。
「ハルナ……。」落ち着かない様子のハルナにカーターが言いました。「まずは足を狙おうよ。」
「そんな余裕無かったよ。」ハルナが言いました。「怖かったんだよ……。」
「それにしてもアイツは一体……。」カーターが言いました。
ハルナ達が倒れているその人物を見つめました。
次の瞬間、その人物が起き上がりました。
「何……!?」ハルナが言いました。「まだ生きてるの……!?」
「ウアアアア……。」その人物が再びハルナににじり寄りました。
「ゾ……ゾンビだ……!」ハルナが叫びました。
「ゾンビ……!」カーターが言いました。
「アアアア……。」ハルナの言うところのゾンビがハルナに迫りました。
「こうなったらもう一発……!」ハルナがマジカルブラスターを構え、そのトリガーを引きました。
「ウアアアッ……!」ゾンビがふっ飛ばされてまた倒れました。
「倒した……!?」カーターが言いました。
「分かんない……。また立ち上がってきそうだよ……。」ハルナが言いました。「オバケのウワサはウソじゃなかったんだ……。」
ハルナ達が倒れたゾンビを見続けました。
次の瞬間、広間のあちこちにあるドアを外側から叩く音が聞こえてきました。
「今度は何……!?」ハルナが言いました。
「ひょっとして……!」カーターが言いました。
さらに次の瞬間、ドアを突き破って大量のゾンビ達が広間に押し寄せてきました。
「うわ~っ……!」ハルナが絶望的な叫び声を上げました。
「ハルナ!しっかりして!」カーターがハルナに呼びかけました。
「変身してなかったら完全に漏らしてたかも……。」ハルナが震えた声で言いました。
「もう!しっかりしてよ!」カーターが檄を飛ばしました。「完全に囲まれる前に退路を作るんだ!」
「ゾンビめ……!私の脳みそが食べたいんでしょ!?でもあげない!代わりにこれでも食らいなよ!」ハルナは冷静さを欠きながらもカーターに言われるがままにマジカルブラスターを一方向に乱射しました。
ドアの一つから押し寄せてきたゾンビ達が魔法弾を受けて次々と倒れていきました。しかし道は開けませんでした。
「銃なんかじゃ意味が無い!」焦ったハルナがマジカルブラスターを投げ捨てました。
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
「ハアーッ!」ハルナが叫びながらマジカルチェンジャーに指をかざしました。
その瞬間、マジカルチェンジャーの隠された能力によりフェイタル・アーツが発動しました。
「ハアーッ!」ハルナのフェイタル・アーツを受けてその方向のゾンビ達がまとめてふっ飛びました。
ハルナはすぐさま走ってその広間を後にしました。
置いていかれそうになったカーターも急いでハルナの後を追いました。
ハルナ達が去ったその広間からゾンビ達の唸り声が響き渡りました。
その建物の奥は研究室となっていました。室内にはたくさんの闇の機器が設置されており、さらに部屋の一番奥には怪しげな光を放つ培養槽が設置されていました。
その培養槽の前で二人の人物が話をしていました。闇の幹部の一人であるイオと、そしてもう一人は闇の皇子であるクローディオです。
「ここで一体何をしているんだ?」クローディオがイオに訊ねました。
「実験、とでも言っておきましょうか。」イオが答えました。
「実験……?」
「そう。我が闇の力によって生み出されたD-ウイルスの実験です。」
「D-ウイルス……だと……?」
「フッ……。D-ウイルスはこの世界の生物に感染し、アンデッドに変異させます。しかしながら人間の肉体では現在のD-ウイルスの持つ闇の力には耐え切れず、アンデッドとなった際に知能が著しく低下してしまう問題があります。尤も、知性の無いバケモノ共にこの世界を滅ぼさせることも出来るのですが、せっかくこうして時間を頂いているのであれば、少々改良を加えてみるのも一興と思いまして……。フッフッフッフッ……。」イオが言いました。「その為には実際にアンデッドを生み出してそのデータを集める必要があります。」
「フン……。」クローディオが不満げに言いました。「くだらんな。」
「フッ……。」イオが言いました。
「俺は俺でもう少しこの世界を調べさせて貰う。余計なことをしてくれるなよ。」クローディオがそう言いながら部屋を出ていきました。
「……。」イオが黙ってクローディオを見送りました。
「所詮皇子には分からんか、この楽しみは……。」
ハルナ達はどこへ進めば良いのか分からず、闇雲に屋内を彷徨っていました。
「カーター……。」ハルナが不安げに言いました。
「大丈夫だよ、ハルナ。」カーターが言いました。
「もう出ようよ、こんなとこ。この前みたいにワープさせてよ、外まで。」ハルナが言いました。
「ゾンビ達の謎を解くまでは引き返せないよ。もしゾンビがどんどん数を増して、この建物の外にまで出るようになったら世界は終わりだ。」カーターが言いました。
「謎なんてどうでも良いじゃん。外に出て、この建物はマジカンダーで滅菌しよう。」ハルナが言いました。
「マジカンダーを召喚ルールに従った方法で召喚するには敵の巨大戦力が必要になる。通常の方法で召喚するには膨大な魔力の生贄が必要になるけど、いたずらに魔力を消費するのは危険だよ。だから今はこの建物の探索を続けるのが得策だとボクは思う。」カーターが言いました。
「何でそんなに冷静なの……?」ハルナが嘆きながら言いました。
「そりゃあボクは知的でクールで、そしてキュートだからね。」カーターが言いました。そのやや不自然な発言はカーターもまた恐怖で冷静さを欠きつつあることを示していました。
「そっか……。」カーターの恐怖を何とか察することが出来たハルナは少しばかり安心感を覚えたのでした。
しかし次の瞬間、脆くなっていた床が崩れました
「うわっ……!?」
ハルナ達は為す術も無く下へと落下しました。
「いたた……。」
下の階の廊下へと落下したハルナ達は辺りを見回しました。そこは左右を金網によって仕切られていました。
「ここは……?」ハルナが呟きました。
「何だろう……?」カーターが呟きました。
「ウアアア……!」次の瞬間、大量のゾンビ達が金網の奥から押し寄せてきました。
「……!」ハルナ達は驚いて声も出せませんでした。
「ウアアア……!」
「アアアア…!」
「ウアアアアア……!」
ゾンビ達が金網を掴んで揺らしながら呻き声を発しました。
「ああ……あああああ……!」ハルナにはそれしか言えませんでした。
「ハルナ……!」カーターもまた何も考えることが出来ませんでした。
ハルナ達は恐怖のあまりただその場に立ち尽くすことしか出来ませんでした。
「ウアアアア……!」ハルナ達に追い打ちをかけるように今度は廊下の奥からもゾンビ達が押し寄せてきました。
「ああ……!」ハルナは絶望的な表情でそう言いました。
「何でこっちにも……?」ゾンビ達はその廊下には入って来られないんじゃないかと思い始めていたカーターはその状況にさらに混乱しました。
ハルナはもうどうすることも出来ませんでした。恐怖で足がすくみ、逃げることさえも叶わない状況でした。
ゾンビ達がハルナににじり寄りました。ハルナは何とか逃げようと後ろに振り返りましたが、その動きは機敏とは言えないものでした。
「アア……!」ゾンビの一体がハルナの左腕を掴み、その二の腕に噛み付きました。
「ああああああああっ……!」ハルナが腕に走った激痛に叫び声を上げました。
「ハルナ……!」カーターが何も思い浮かばずにそう叫びました。
「ううっ……このっ……!」ハルナが怒った表情でそのゾンビの方に向き直りました。
「ハアッ!」ハルナが右腕に持ったマジカルブラスターでそのゾンビを撃ちました。
「アアッ……!」そのゾンビがふっ飛ばされて後ろのゾンビ達を巻き添えにしながら倒れました。
「ハルナ……!」やはりカーターにはそれしか言えませんでした。
「この……!来るな……!食らえ……!」ハルナが震えた声で呟きながらマジカルブラスターを連射しました。
ゾンビ達は撃たれてふっ飛ばされながらもまた立ち上がってハルナににじり寄りました。ハルナは迫り来るゾンビ達に向けてマジカルブラスターを撃ち続けました。
「ハルナ……落ち着いて……!」カーターが言いました。「とにかくここを離れよう!」
ハルナはカーターの言葉に耳を貸さずにマジカルブラスターを撃ち続けました。
「ハルナ……!ハルナ……!」カーターがハルナに呼びかけ続けましたが、一向にハルナは耳を貸しませんでした。
「アア……!」一体のゾンビが今度はハルナの背後から迫ってきました。目の前のゾンビに対し必死なハルナはその接近に気がつきませんでした。
「ハルナ……後ろ……!」カーターがそのゾンビに気付きました。しかしハルナにはカーターの言葉に耳を貸す余裕がありませんでした。
「アア……!」そのゾンビが後ろからハルナに掴みかかりました。
「うっ……うあっ……!?」不意の攻撃にハルナは混乱しました。「うああああっ……!」
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
「うあああああああっ……!」両腕の自由を奪われたハルナが混乱しながらも前方から迫り来るゾンビ達を必死で蹴飛ばしていきました。しかしその抵抗もいつまで続くか分からない状況でした。
「ハアッ!」その瞬間、ハルナを掴んでいたゾンビが何者かに切られて倒れました。
「……!」ハルナが咄嗟に振り返ってそのゾンビを倒した人物を見ました。
その人物は全身を漆黒の鎧に身を包んでおり、その右手には先程ゾンビを切り伏せた鋭い剣を握り締めていました。
「黒刃波!」その人物が剣を振ることで召喚される神秘的な刃を放ってハルナの前方にいたゾンビ達を倒しました。
「だ……誰……!?」ハルナが思わず訊ねました。
「ここは君のような者が来るべき場所じゃない。俺が外まで送ろう。」その人物はハルナの質問には答えずにそう言いました。
「……。」ハルナは自分の質問を無視されたことと自分の力を甘く見られていると感じたことに少々腹を立てた様子でした。「平気だよ。」
「ん……?」その人物はハルナの発言を理解出来ない様子でした。
「私にはここでやるべきことがあるんだ。だから今ここを離れるワケにはいかない。」人並にプライドが高かったハルナは先程までの様子から一転してそう断言しました。
「……。」その人物が考え込むような様子を見せました。
その様子を見たハルナは自身の危機を救ってくれた人物に対し自分が失礼な態度を取ってしまったと感じました。
「いや……。」ハルナが言いました。「ありがとう、助けてくれて。でも、私はこの建物の謎を突き止めるためにここまで来たんだ。だから真実まで辿り着き、ゾンビ達をやっつけるまでは帰る訳にはいかないの。」
「なるほど、な……。」その人物が言いました。
「大丈夫!私は負けない!ゾンビなんてもう怖くなんか無いよ!」ハルナが堂々と言いました。
「分かった。」その人物が言いました。「幸運を祈っている。」
その人物が歩き出しました。
「ありがとう。」去っていくその人物にハルナが言いました。
「一体何者なんだろう……?結局名乗らなかったね……。」カーターが言いました。
「名前か……。雰囲気的にはブラックナイトって感じだったね。」ハルナが言いました。
「微妙……。」カーターが言いました。
「とにかく奥へと向かうよ。」ハルナが言いました。
「うん。」カーターが言いました。
ハルナ達がその場を後にしました。
研究室でイオが機械を操作していました。
そこへハルナ達がやって来ました。
「ん……?」イオがハルナ達を見ました。
「お前は……!?」カーターが言いました。
「この部屋は……一体……?」ハルナが言いました。
「フン、邪魔者が来たか……。」イオが言いました。「変身した人間……それに妖精……。フン……。」
「あなたがゾンビ達を生み出したの……?ひょっとしてあなたも闇の幹部……?」ハルナが言いました。
「いかにも。私こそ闇の幹部の一人、イオだ。」イオが言いました。
「イオ……!」カーターが言いました。
「我が闇のウイルスによって生み出されたアンデッド達とは十分遊んで貰えただろうか?」イオが言いました。
「やっぱりあなたが……!」ハルナが言いました。
「闇のウイルス……!」カーターが言いました。
「さて、せっかくだからお前達にはもう少しここで遊んで貰うとしよう。」イオがそう言いながら指を鳴らすと、部屋にあった培養槽が開き、中から怪人が姿を現しました。
「コイツは……!?」カーターが言いました。
「私がD-ウイルスによって生み出した生物兵器第一号“レイン”だ。」イオが言いました。「コイツがお前達の相手をしてやる。」
「望むところだよ……!」ハルナがマジカルブラスターを構えました。
「ウッ……ウアアアッ……!」その瞬間、突如としてレインが苦しみ出しました。
「何……?」イオが驚いた様子を見せました。
「えっ……?」ハルナとカーターもまたその突然の出来事に驚きました。
「チッ……出来損ないめ……!」イオがそう言い残して消え去りました。
「ウアアアアアアアッ……!」次の瞬間、レインの肉体が変異し始めました。
「……!」ハルナが戦慄しました。
「外へ出るよ、ハルナ!」そう言ったカーターが魔法で自身とハルナを建物の前までワープさせました。
その建物を破壊しレインが変異した怪獣“スーパーレイン”が現われました。
「ハルナ……!」カーターが言いました。
「うん!召喚、マジカンダー!」ハルナがマジカンダーを召喚し、そのコックピットへ移りました。
山々に囲まれる中、マジカンダーとスーパーレインが対峙しました。
次回へつづく!