冷酷な戦い
登場人物
ハルナ：どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。
カーター：ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。
ミサキ：ハルナの先輩とも言える魔法少女。今は戦うことが出来ない。
キャサリン：ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。
ドグマ：イヌのような容姿を持った妖精。魔法少女はいかなる場合においても世界を守る為に戦わなければならないという考えを持っている。
アオイ：かつてミサキと共に闇の力と戦った魔法少女。今は入院中。
ハナコ：ハルナのクラスメート。極度のお人好しであり、元気の無い人を見ると放ってはおけない性格をしている。
ブラックナイト：漆黒の鎧を身に纏いし正体不明の剣士。時折姿を現しハルナのことをサポートするが……？
クローディオ：闇の皇子。時期尚早として世界の破壊に否定的な態度を示している。
クローディア：闇の皇女。
ソリーサ：闇の幹部。闇の魔法で世界を脅かす。
シン：闇の幹部。闇の機械で世界を脅かす。
ケミル：闇の幹部。闇の薬で世界を脅かす。
ゼノ：闇の幹部。宇宙より邪悪な意思を持つ者を呼び寄せて世界を脅かす。
イオ：闇の幹部。闇の生物兵器で世界を脅かす。
その日もハルナは学校でハナコに絡まれていました。
ハナコは元気が無いように見えるハルナを元気づけようとしてこれまでも色々な話題について一方的に話していましたが、この日はハルナ達の通っている第一中学校とは別の中学校である第二中学校に関する話をしていました。
ハルナは正直なところその話に全然興味がありませんでしたのでハナコの話をまるっきり聞き流していました。
その日の放課後、街中にロボットが現れました。シンが新たに発明した闇のロボット“フリーザロイド”です。
「凍てつく恐怖を味わわせてやる。」フリーザロイドは腕から冷気を発して街中を凍り付かせていきました。
下校中もしつこく絡んで来ようとするハナコを上手く撒いたハルナはフリーザロイドから逃げて来た人々を目の当たりにし、状況を把握しました。
「変身！」誰も見ていないその場でハルナは変身し、人々が逃げてきた方へと向かいました。
フリーザロイドは逃げ惑う人々を追っていました。
「くっくっくっ、逃がさんぞ。」そう言ってフリーザロイドは逃げ惑う人々に対し冷気を放とうとしました。
「ハアッ！」その瞬間、フリーザロイドの背中に魔法弾が直撃しました。
「ウアッ……！何者だ……！？」そう言ってフリーザロイドが背後を振り返っている内に逃げ惑っていた人々は全員その場から逃げ果せました。
「フッ！」ハルナが近くの建物の屋上よりジャンプしてフリーザロイドの前に姿を現しました。
「貴様……！」フリーザロイドが言いました。
「世界の平和は私が守る！あなたの野望はここまでだよ！」ハルナはそう言ってマジカルブラスターを発砲しました。
「ウアアアッ……！」フリーザロイドは魔法弾を受けて怯みました。
その頃、その日ハナコが話題にしていた第二中学校では一人の生徒が居残りをさせられていました。
「ああ、早く家に帰りたい……。」その生徒、ナナミは何事にも無関心でいつも無気力に過ごしていました。そしてこの日は宿題のサボり過ぎで遂に教師に居残りを命じられてしまったのです。
ナナミはそれでも課題をこなすつもりはありませんでした。夜になれば教師も家に帰してくれるだろうとひたすらに待ち続けていたのです。
「帰ったら何をしようかな……？」そんなことを呟きながらもナナミは家に帰っても特に何もするつもりはありませんでした。せいぜいポテトチップスを食べながらネット上の動画を見て、それに飽きたら寝るだけのつもりでした。
ハルナとフリーザロイドは夕日が沈む中戦いを続けていました。
「ハアッ！」フリーザロイドがハルナに向けて冷気を放ちました。
「わああああっ……！」ハルナは冷気を受けて怯みました。
「どうだ、冷たかろう？このまま凍りつかせてやるぞ！」フリーザロイドが言いました。
「くうっ……！ハアッ！」ハルナは冷気を浴び続けながらも体勢を立て直し、マジカルブラスターでフリーザロイドを撃ちました。
「ウアアアアッ……！」そう言いながらフリーザロイドが怯みました。「バ、バカな……！」
「凍りつかされる前に決着をつけてみせる！」ハルナはそう言ってマジカルブラスターを構え直しました。
「……！」フリーザロイドはハルナがマジカルブラスターに魔力をチャージしていることに気がつきましたが、受けたダメージにより最早為す術がありませんでした。
「マジカルブラスト！」
「ウアアアアアアアッ……！」ハルナの攻撃によってフリーザロイドは爆発しました。
「決まった！」ハルナが喜びの声を上げました。
「おのれ……！」日が沈み辺りがすっかり暗くなったところでシンが姿を現しました。
「シン……！」ハルナが言いました。
「このままでは済まさんぞ！我が最新ロボットをお前に見せてやる！」そう言ってシンが巨大ロボット“マグナスマキナ2”を召喚しました。
「あのロボットはこの間の……！改造したんだ！」ハルナが驚きの声を上げました。
「ハッハッハッハッハッ！この巨大ロボットでお前を粉砕してやる！」そう言うとシンはマグナスマキナ2のコックピットへとワープしました。
「ハルナ！」カーターが姿を現しました。
「カーター！遅かったじゃん！」ハルナが言いました。
「いつもの場所で待ってても来ないから探してみたんだよ。」カーターが言いました。
「まあ、いつも会いに行けるとは限らないし、今後も頑張って探してみてよ。」ハルナがどうでも良さそうに言いました。
「うん。でも今はそんなことよりマジカンダーだ！」カーターが言いました。
「分かってるって！」ハルナが言いました。「マジカンダー召喚！」
夜の街中でハルナの操縦するマジカンダーとシンの操縦するマグナスマキナ2が対峙しました。
「ハアッ！」ハルナがマジカンダーの操縦桿を動かすと同時にマジカンダーが右腕に内蔵された機関砲を発射しました。
マグナスマキナ2に無数の魔法弾が直撃しましたが、マグナスマキナ2はビクともしませんでした。
「……！」ハルナは驚いた様子を見せました。
「ハッハッハッハッハッ！進化した僕の巨大ロボットにそんな攻撃は通用しないぞ！」シンが言いました。
「あの巨大ロボット、この間の時よりも防御力がアップしている……！」カーターが言いました。
「そんな……！」ハルナが言いました。
「お前の巨大ロボットの攻撃は連射性能に優れている一方で一発一発の攻撃力はそこまで高くは無い。よって装甲によりそのダメージを0にしてしまえば最早脅威では無くなるというワケだ！」シンが言いました。
マグナスマキナ2がマジカンダーに向かって歩き、マジカンダーを殴りました。
「うわあっ……！」マジカンダーが怯みながら後退し、ハルナのいるマジカンダーのコックピットが激しく揺れました。
「アイツめ、マジカンダーの対策を行っていたのか……！」カーターが言いました。
「さあ、どうする？潔く降参するか？それともこのまま粉々になるまで悪足掻きを続けるか？」シンが言いました。
「降参なんてしないよ！まだ私には逆転のチャンスがある！」そう言ってハルナは操縦桿を握り直しました。
「チャンスだと……？バカめ！そんなものは存在しないということを思い知らせてやる！」そう言ってシンは操縦桿を動かしました。
マグナスマキナ2がマジカンダーにパンチを繰り出しました。
「ハアッ！」その瞬間、ハルナが操縦桿を動かすと同時にマジカンダーがマグナスマキナ2のパンチを右手で受け止めました。
「何……！？」シンが言いました。
「ハアーッ！」ハルナが叫びながら操縦桿を動かすと、マジカンダーが左腕の機関砲でマグナスマキナ2を攻撃しました。
マグナスマキナ2がマジカンダーの反撃を受けて怯みながら後退しました。
「バカな……！ヤツの攻撃がマグナスマキナに通用するハズは……！」シンが言いました。
「私にはダメージを受ける度に攻撃力が上がるスキルが備わっている！」ハルナが言いました。「さっきの攻撃で受けたダメージによりマジカンダーの攻撃力もアップしていたんだよ！」
「くっ……！おのれ……！」シンが言いました。
「ダメージさえ入れば後はこっちのものだよ！ラスティング・バースト！」そう言いながらハルナがマジカンダーの操縦桿を動かしました。
マジカンダーの両腕から絶え間無く魔法弾が放たれマグナスマキナ2に直撃しました。
「うあっ……！ダメージがどんどん蓄積していく……！このままでは……！」シンが言いました。
魔法弾を受け続け、マグナスマキナ2は爆発しました。シンはその瞬間にコックピットから脱出し、そのまま姿を消しました。
その頃、ナナミは夜道を一人で家に帰ろうとしていました。
少し離れていたとはいえ街中で二体の巨大ロボットが戦っていたのですが、人々とってそれは既に見慣れた光景であり既にナナミにとっても大して興味の湧くことでは無くなっていました。
そんなナナミの前にナックルダスターを装着した一体のホムンクルスが姿を現しました。
「……！」離れた場所で行われている戦いには関心を示さなかったナナミも目の前に現れた怪人に対しては動揺を隠せませんでした。
「ンンンンンンンン……！」そのホムンクルスが唸り声を上げながらナナミににじり寄りました。
「イ……イヤだ……！」ナナミは逃げ出しました。
「フン……！」そのホムンクルスは歩いてナナミを追い始めました。
走るナナミの前に一体の妖精が立ち塞がりました。以前ハルナの戦いを陰から見ていた妖精、ドグマです。
「な……何……？」ナナミは思わず足を止めました。ドグマは普通のイヌと変わらない見た目をしていましたが、その気迫はナナミの足を止めさせるのに十分なものでした。
「見つけたぞ、強い魔力を持つ人間を。」ドグマが言いました。
「えっ……？」ナナミが言いました。
「戦え。」ドグマが言いました。
「何……？」ナナミが言いました。
「戦え。」ドグマが再びそう言った瞬間、ナナミの腕にマジカルチェンジャーが召喚されました。
「これは……！？」ナナミが言いました。
「それを使えば変身することが出来る。さあ、お前の魔力でこの世界の平和を守るんだ！」ドグマが言いました。
「そんな……！」突然の出来事にナナミは困惑しましたが、ひとまず迫りくるホムンクルスから助かるにはと変身して戦うしか無いと思い身構えました。
「オオ……！ンン……！」そのホムンクルスは唸り声を上げて歩き続けました。
「変身！」ナナミは変身しました。
ナナミはそのホムンクルスに向かって走り出しました。
そのホムンクルスは向かってきたナナミを殴りました。ナナミは体勢を立て直し反撃しようとしましたが、その度にそのホムンクルスに殴られました。
「ハアッ！」そのホムンクルスがナナミを殴り飛ばしました。
「ああっ……！」ナナミは近くの建物の壁に叩きつけられて地面に倒れ込みました。
「ンン……！アア……！」そのホムンクルスがナナミににじり寄りました。
「お前の力はこの程度か……？」ドグマがナナミに言いました。
ナナミがゆっくりと体を起こしました。
「私は……家に帰るんだ……！」ナナミは立ち上がってマジカルダスターを召喚しました。
「ハアッ！」ナナミはマジカルダスターから魔法弾を放ってそのホムンクルスを攻撃しました。
「ンッ……！ウアアッ……！」そのホムンクルスは飛んできた魔法弾を受け止めようとしましたが受け止めきれずにふっ飛ばされました。
「……。」ナナミはマジカルダスターに魔力をチャージしました。
「アアッ！」そのホムンクルスが起き上がって構え直しました。
ナナミがそのホムンクルスに向かって走り出しました。
「アアアアッ！」そのホムンクルスも走り出しました。
「マジカルインパクト！」ナナミはそのホムンクルスが繰り出したパンチをかわし、マジカルダスターを装着した拳をそのホムンクルスにぶつけました。
「ウアアアッ……！」その瞬間、そのホムンクルスはふっ飛ばされ、そのまま炎上して消滅しました。
「……。」ナナミは黙って構えを解きました。
ハルナとカーターはとある建物の屋上で話していました。
「今日もお手柄だったね、ハルナ。」カーターが言いました。
「うん！この調子で世界の平和を守り続けていこう！」ハルナが言いました。
こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。
