更なる登場
登場人物
ハルナ：どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。
カーター：ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。
ミサキ：ハルナの先輩とも言える魔法少女。今は戦うことが出来ない。
キャサリン：ハルナのパートナーでありカーターの双子の姉に当たる妖精。
ブラックナイト：漆黒の鎧を身に纏いし正体不明の剣士。時折姿を現しハルナのことをサポートするが……？
クローディオ：闇の皇子。時期尚早として世界の破壊に否定的な態度を示している。
クローディア：闇の皇女。
ソリーサ：闇の幹部。闇の魔法で世界を脅かす。
シン：闇の幹部。闇の機械で世界を脅かす。
ケミル：闇の幹部。闇の薬で世界を脅かす。
ゼノ：闇の幹部。宇宙より邪悪な意思を持つ者を呼び寄せて世界を脅かす。
イオ：闇の幹部。闇の生物兵器で世界を脅かす。
この日、カーターはキャサリンと二人きりでその新しい魔法少女について話をしていました。
「それにしてもハルナって凄い子よね。」キャサリンが言いました。
「うん。」カーターが言いました。
「あなたが彼女と出会ったその日以来彼女にとって驚くべきことの連続だったでしょうに彼女はそれらを全て受け入れて闇の勢力との戦いに臨んでいるわ。その点に関してはミサキ以上かも知れないわね。」キャサリンが言いました。
「そうかも知れないね、キャサリン。」カーターが言いました。しかし実際のところカーターにはハルナがどれ程の覚悟を持って世界の平和を守る為の戦いに臨んでいるのか分かりかねていました。
ハルナはその日も学校で大人しく過ごしていました。例によってハルナには日常生活において目立たないようにすることが世界を守る者としての勤めであるように思われていたのです。
しかしそんなハルナに敢えて話しかけようとするクラスメイトがいました。
「ねえねえ、ハルナちゃん、もうずっと元気が無いけど、大丈夫？」そのクラスメイト、ハナコがハルナに話しかけてきました。
「うん、大丈夫だよ。」ハルナは素っ気なく返事をしました。
「大丈夫じゃないよ！」ハナコが言いました。「ハルナちゃん、前はもっと元気で明るかったじゃん！」
ハルナは何も言いませんでした。
「他のみんながハルナちゃんのことほっといても、ワタシはハルナちゃんのことほっといたりはしないからね！」ハナコが言いました。
ハルナは面倒くさいことになったと思いました。元々ハナコの存在など眼中に無かったハルナにとってこのような事態は全くの想定外だったのです。
とりあえずハルナは沈黙を貫いてその場をやり過ごすことにしました。
その頃、闇の神殿では闇の幹部達が話をしていました。
「次は誰が行く？」ソリーサが言いました。
「フン、僕が行っても構わないが、他に行きたいヤツはいるか？」シンが言いました。
「俺が呼び寄せた者達の中でこの星に辿り着いた者は今のところまだいない。」ゼノが言いました。
「私が現在開発中の生物兵器もまだ未完成だ。」イオが言いました。
「フン。ケミル、お前はどうなんだ？」シンが言いました。
「私の計画は順調だ。数多くのホムンクルス達がこの世界に潜伏し、人々から生命を抽出している。」ケミルが答えました。
「フッ、相変わらずの返事だな、ケミル。」シンが言いました。「自慢のホムンクルスとやらをたまには派手に暴れさせてみたらどうなんだ？」
「確かに、オレも同意見だぜ。」ソリーサが言いました。「今のままじゃ全然面白くねえよな！」
「良いだろう。」しばらく考えた末にケミルが言いました。
ケミルの言葉を耳にしてゼノとイオが意外そうにケミルを見ました。
「破壊活動に優れたホムンクルスを今から作ろう。」ケミルが“GRENADE LAUNCHER”と書かれた瓶を手に掲げながら言いました。
一方、ミサキはとある病室を訪れていました。
その病室のベッドには一人の人物が横になっていました。
街中にケミルが新たに作り出したホムンクルスが姿を現しました。
「アァ～。」そのホムンクルスは逃げ惑う人々を尻目にゆっくりと手にする擲弾筒を構え、その引き金を引きました。
そのホムンクルスが放った擲弾が爆発し、その爆発に巻き込まれた人々がふっ飛ばされて地面に倒れ込みました。爆発に巻き込まれた人々の体は一見すると無傷でしたが、ホムンクルスの攻撃を受けて生命を抽出されたことによりそれらの人々の体は時間と共に次々と消滅していきました。
ハルナは放課後でカーターと会っていました。
ハルナは自分に絡んでくるようになった面倒なクラスメートについてカーターに話そうと考えていましたが、その前にカーターが口を開きました。
「闇の力を感じる……！」
「ホント……！？」ハルナは突然のカーターの言葉に驚いた様子を見せました。
「うん！」カーターが念を押すように言いました。
「よし……！」ハルナが気持ちを切り替えてマジカルチェンジャーを構えました。
「変身！」ハルナが変身しました。
そのホムンクルスは依然として人々を襲っていました。
「ハアッ！」そこへ変身したハルナが登場し、そのホムンクルスに飛び蹴りを浴びせました。
「ウッ……！アッ……！」ハルナの攻撃を受けたそのホムンクルスはよろめきながら持っていた擲弾筒を落としました。その間に残っていた人々は逃げおおせました。
ハルナはそのホムンクルスに連続でパンチを浴びせ、怯んだところをさらに蹴り飛ばしました。蹴り飛ばされたホムンクルスは乗り捨てられた車の陰へと転がっていきました。
「……。」ハルナがそのホムンクルスが転がっていった先を見つめました。そのホムンクルスの姿は車の陰に隠れてハルナからは見ることが出来ませんでした。
「ウアァーッ！」その瞬間、そのホムンクルスが抽出した生命の力を使って三倍程の大きさになって車の陰から姿を現しました。
「……！？」ハルナは予想外の出来事に驚いた様子を見せました。
「ハアッ！」そのホムンクルスは目の前にあった車を蹴ってハルナに飛ばしてきました。
「フッ！」ハルナは横に転がって飛んできた車をかわしました。
「くっ……！」ハルナはそのホムンクルスを見ました。
「ハアッ！」そのホムンクルスが走ってハルナを蹴飛ばしました。
「うああああっ……！」ふっ飛ばされたハルナが地面に倒れ込みました。
「くうっ……！」ハルナがよろめきながら立ち上がりました。
「ハルナ……！」カーターが叫びました。「このまま押し切るんだ！」
「うん！」ハルナが構え直し、そのホムンクルスに向かって走り出しました。
そのホムンクルスは向かってきたハルナを踏もうとしましたが、ハルナは地面を転がってそのホムンクルスの攻撃をかわし続けました。
その時、近くの建物の屋上から一体の妖精がハルナの戦いの様子を窺っていました。
「……。」イヌのような容姿を持つその妖精は黙ってハルナの戦いを見続けていました。
ハルナがそのホムンクルスの攻撃を避け続けていると、次第にそのホムンクルスの動きが鈍り始めました。人々から抽出した生命が消耗され、今の姿で戦うことが困難になったのです。
「今だ、ハルナ！」カーターが叫びました。
「ハアッ！」ハルナが後方に宙返りをして近くの建物の屋上に着地しました。
「フッ！」ハルナがマジカルチェンジャーに指を当て、フェイタル・アーツを発動させました。
「マジカルキック！」ハルナがその屋上からジャンプしてそのホムンクルスに飛び蹴りを浴びせました。
ハルナのキックがそのホムンクルスの体を貫き、体に風穴の空いたそのホムンクルスはそのまま炎上して消滅しました。
「やったね、ハルナ！」カーターが言いました。
「うん！」ハルナが言いました。
そしてハルナとカーターはその場を後にしました。
こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。
