うろ覚えな話
過去に行って色々黒歴史を消したいのでタイムマシンを買いに未来へ行きたいのですが、未来への行き方が分からない梨鳥です。
使いふるされたアレですみません。
さて、先週から昨日にかけて、【lamplight】という作品に集中し、無事に完結致しました。
戦争の絡む暗めの話だったので、大して見向きもされないだろうと思っていたのですが、なろうでもTwitterでも反応を頂けてとても嬉しかったです。ありがとうございました。
なので、少し関連話を、と筆を取らせて頂きます。
物語を先に読んで下さった方はご注意下さい。
興を削がれるかもしれません。
梨BBA、お前あんな重たいの書いといてそらヒデェや、と思われるかもしれません。
いいよいいよ、それほど真剣に読んで無いっちゃ無いっちゃと言う方はどうぞ(∩´∀`)∩
すいすい~
登場する女の子の首を絞め殺した「アキ」のモデルは梨鳥の祖父です。(活動報告で生き証人と書いたので、薄々感じている方もいるかもですが)
でも、女の子は殺していません。あの話はノンフィクションを元にしたフィクションです。ただし、そういう事が茶飯事だったのは、ノンフィクションである事はノンフィクションです。
ですので、ノンフィクションをお伝えします。
作中では満州で日本人家族の家にいたアキですが、梨祖父は違いました。
凄いうろ覚えなのですが、朝鮮人か、シナ人?か、中国人か、台湾人の家……なのですが……す、すいません全然ちゃんときいてませんでした……だって、中学生の宿題で聞いたのではなく、どっかの旅行先の旅館のお食事処で突如大声で話し出したのです。
隣の席には『今夜がドキドキ初旅行☆』みたいな初々しいカップルがいるのに、強姦シーンの再現を大声でするのでそれどころではありませんでした。(でもここはちゃんと重く受け止めましたし、戦争というものをリアルに感じるという貴重な感覚を体験しました)
話を戻します。日本が敗戦したのをキッカケに押し寄せて来た元々現地人だった暴徒やソ連兵から逃れて、野垂れてるところを助けてもらい、2・3日泊めてもらう、くらいのつもりで梨祖父はそこにいたそうです。
「ありがたかったぁ……」と噛み締める様に言っていました。
「バカでもチョンでも」というイヤな言葉がありますね。
嫌がっていました。怒って抗議する姿勢ではなく、小さく首を振って悲し気にする事で気持ちを示していた覚えがあります。では助けて下さったのが朝鮮の方だったのか、と言われると残念ながらわからないのですが、そういう事ではないのでしょう。
梨祖父は人たらしで、人とすぐ仲良くなります。どんな人ともです。
普通にホームレスの方を家に上げて無償で長期滞在させたり、よくわからないちょっとあぶなそうな若者とかが泣きながら訪ねて来て再会を喜んだり、お金下さいって言って毎月(? だったかなうろ覚え)来る謎の人とかいたそうです。
彼が可愛がっていた若者の中に、お年玉を水着ギャルのテレホンカードでくれる人がいました。
…………。
まぁいいです。
でも、「俺に任せろ!!」という人ではなく、可愛がられるタイプの人だったです。
いるとなんか明るい気分にさせてくれるというか……あと声が大きかったです。
さて、家の中の人達、全員命は助かったそうです。
ただし、奥様は殺されはしなかったものの、作中の奥様と同じような目に遭ったそうです。
多分金品強奪と強姦目当ての押し入りだったのでしょう。
奥様に対して不謹慎ですが、祖父は運が良いです。
こうでした。
家に突然押しかけて来たソ連兵が銃を何発か撃って、彼らに突き付けながら「壁に手を突け」。
恐れおののいてそうしている祖父達の背後で、奥様の悲鳴と叫びと、沈黙と、そして更に悲鳴……が繰り返されたそうです。恐怖や苦痛に気を失っても、痛みでもって意識を戻されていたそうです。
祖父はガタガタ震えて壁に手を突いているしかなく、せめて耳を塞ぎたい、と思ったそうです。
「これがワシの戦争の話」
と切り上げようとするので、ビックリしたのを覚えています。
戦中に生きたのに、たった一晩が彼の体験した戦争? 戦争ってとても長い間あったんだよね、と。
思わず、
「え、お終い?」
と言うと、「そぉじゃ、これじゃたりぃせんかね(足りないの?)」と逆に驚かれました。
今思えば、謝りたいですが、もう何年か前に天国へ逝ってしまいましたので、謝れません。
忘れていると思いますが……。
しょうがないなぁ、という調子で、祖父は続きを話してくれました。
祖父は日本へ帰ろうと港まで行く途中で捕まって、シベリアへ連れて行かれました。
が、シベリアへ運ばれている途中で運よく解放されたらしいです。
なんかタイミングが良かったんでしょう。(うろ覚えですみません)
祖父は運が悪いんだけど、幸運で巻き返すみたいなところがある人で、しかもかなり天然ボケでした。
あまり警戒心が無く、前記しましたが本当に人たらしで、襲って来る中国人の群れの中に友達がいたから助けてもらったとか、一緒にシベリア行こうぜ、お前ともっと仲良くなりてぇYO!と言って泣いてくれた仲良し(どうやって仲良くなった)の兵隊がいた、とかちょっと意味不明ですが、「……有り得る」と言わしめるものを持っています。
「シベリアへ行こうぜ」話は、スパイの為に捕虜と仲良くなる、という策略があったらしいので、それかも知れないですね。
「なんて答えたの?」と聞くと「わしゃ帰りたいって言った」とてんぷらを貪りながら言っていました。
うん、美味しい物食べて、踊ったり歌ったりしたかったんだよね。となんとなく思いました。
彼は放蕩おじいちゃんでした。
壮絶な一晩の話を聞いて、「それだけ?」と言ってしまった自分と、「まだ足りない? これでも?」と言う祖父とのズレを感じた情けないショックはずっと胸に燻っていて、『lamplight』という話を書こうと思いました。体験者と、非体験者のズレを書きたくて。
「これだけ?」と思われる方。
でも、「これだけ」だと本当に思いますか? 野垂れた事がありますか? 銃を足元に発砲された事は? 銃口を突き付けられた事は? 兵隊に捕まえられた事は? 雪の上を軽装で何時間も歩かされたことは? 解放された、良かったねじゃないんです。車で港まで送ってもらったと思いますか? 家に帰りたいと願いながら、充ても無く食べ物もなく何日もいつ襲われるかわからない、まわりはどんどん亡くなって行く中、歩き続けた事は? ありますか?
上手く書けたかは判りませんが、そんな想いで書きました。
こんな支離滅裂なおじいちゃん話でもしも物事や作品に興味を持って頂けたなら幸いです。
ちなみに戦争に関わる論争が好きではありません。終わりが見えないからです。また、当時に関する質問などにもお答え致しかねますと、ビビッておきます。よろしくお願いします。
なんか、今回は楽しい感じじゃなくてすみません。
次回はなんか面白い事見つけたらがんばります!!!(∩´∀`)∩




