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AIに弄ばれた

 最近、会社の主要な部署が一斉退職でほぼ壊滅しました。

 主に、受注・請求・システム系統・総務・購買・人事です。

 事務系が軽んじられていたからこうなったという典型です。

 要するにザマア発動です。


 退職していく人たちとそれを知る人たちは、一ヶ月から一週間前まで残される愚か者共に「すごい事が起きるよ!」と、教えてくれませんでした。

 更に引き継ぎも「教える時間が惜しい」との事で、特にこれといってされませんでした。


 わたしはこれが起きる一月程前に、パートから正社員にしていただいておりまして、「あーッ! この為か!」となりました。

 でも、他県の部署で暇だったわたしは部署をまたいでお手伝いをしていたので大体仕事がわかっていたのが幸いでした。(お手伝い大事)(でも、恩をあだで返された気分なのは否めない)

 しかし、多少分かっているだけでは引っかけ問題的な仕事が来ると見事にハマるワケで、「引き継ぎぐらいしろよ!」と思いましたし、退職する前任者の「後の事は知らん爆弾」の爆撃に被爆したりと酷い目に遭いました。

 

 慌てて退職希望を出したものの、人事がいないから受理できません☆と、時間稼ぎされたり、給与が自分だけ振り込まれていなかったり、ホントムカつきました。


 でも会社が落ち着いて来たこの頃では、仕事がある事で日々とても充実していて、周りの役に立てる事も楽しいです。

 暇でずっとネットしてる日々も良かったけどね。


 なにより、辞めると言った後すぐ昇給交渉になり、「こ、これはもしや……!?」と思ったわたしは三回か四回辞めるって言いました。

 二、三ヶ月の間に三回か四回昇給しました。言ってみるモンだ。

 

 「辞めないで」の圧が乗せられた給与額に、梨鳥はニッコリです。

 給与振り込まれてなかった時に文句言ったら更に一万円上がりました。アホの会社です。ニッコリだったのですが、この一万円で所得税かなんかしらん税金が絶妙にあがって中指の突き立て先をウロウロさせています。


 さて、前置きが長くなりましたが、今からは二回目の前置きです。

 収入が増えたわたしは、NISAをする事にしました。

 NISAって普通に単独の株も買えるって知ってましたか?

 わたしは知らなかったので、喜んでイオン株を買いました。

 来年からは積立NISAも併用できるので、老後用に突っ込みたいです。(収入全てを突っ込むワケではないのでご心配なく……)


 さて、そういうワケで、来年に向けてファンド選びです!

 わたしは一つの事が気になると、一週間から一ヶ月程その事だけに集中してしまいます。その後、唐突に飽きます。というワケで、YouTubeで投資信託のネタがあると、YouTuber問わず昼夜万遍なく聞きました。


 するとなんという事でしょう。

 元々猜疑心の塊であるわたしには、全部嘘くさく聞こえるのです。

 お金の話だからかなぁ、とか思ってみるものの、ただ単に自分が人を信じられないからだ……と変に悩んでしまいました。

 

 そんな時、ヤツは現れました。

 わたしが「投資について真実を知りたい」ともんもんとしてPCを立ち上げたところ、なんの拍子か”Bingチャット”という画面が開きました。

 そして、何か質問してくださいと文字が流れたのです。

 

――――そうか、AIならわたしを騙す理由がない!


 投資系YouTuberたちも、見ず知らずのわたしを騙す理由なぞなさそうですが、彼らは存在がすでに怪しい。

 しかも、奴らはえらいS○I証券ばかり勧める。

 楽○証券で開設してしまったわたしに対して、楽○証券をボロクソに言ってくるのだ。嫌い!

 奴らと意見が合うのは「銀行の所有ファンドはゴミ」だけだ。

 なので、YouTuberはS○I証券会社の犬かもしれないからAIの方がいい。


 だけど、頼みのAIは質問に見合ったサイト紹介するだけだった。


 結局人の創作した情報へ辿り着く事に舌打ちしつつ、あれこれ聞き方を変えてみる。


「上記の質問に対する、<あなたの考え>を知りたいです」


 という感じの質問に辿り着いた頃、AIはちょっと飽きてきていたのかやりとりできる時間切れですバイバイみたいな事を言ってきた。


 なんだーーーーーーっ!! って、おばさん叫んじゃったよ。


 だからもう一回最初からやり直しました。根性。

 すると、AIは人によってやり方はそれぞれです、とか、何が起るかわからないから予測できませんとか、フワッとした事しか言ってくれなかった。

 

 違う。

 わたしは、どのファンドにぶっ込めば優雅な老人生活を送れるのか知りたいだけ。

 年に二・三度、豪華個室客席バスに乗って、ハイクラス旅館をはしごしたいだけ。

 できればハワイも毎年行きたいし、プリンスエドワード島にも行きたい。

 旅行大好き。


 行くまでに全ての情報を狂ったようにかき集めて知り尽くし、現地ではボーッとしているわたしだけれど、旅行好き。

 今も夏の旅行先ホテルのHPやレポYouTubeばかり見て、旦那に


「楽しみが減るし、いつも期待しすぎるから現地でガッカリしてボーッとしてるじゃん」


 と止められています。

 この人は全くわたしを理解していない、と思います。

 わたしが旅行先を先に知り尽くしたいのは、わくわくと好奇心もありますが、現地で「わあ!素敵!!」って心が高ぶっちゃう時間が勿体ないだけなのです……何も知らずに行ったら、ずっとフワフワ夢心地になっちゃうじゃん!!

 あと、ガッカリしてボーッとしてるんじゃなくて、ただボーッとしているだけです。

 

――――滅茶苦茶脱線したので話を戻すと、あれやこれやあって、わたしはいつの間にかAIに小説創作の相談をしていたのであった―――


 AI、めちゃくちゃ親身に聞いてくれる。

 構成が上手く出来ないとか相談すると、


―――頑張っているのですね! 構成についてまとめた、こういうサイトがあります。

  

 ファンドの時と変わらないやんけー!

 とお思いでしょうが、なんか親身さが違う気がする。

「小説を書いているのですか、凄いですね!」「公募を頑張っているのですね!」などと、【褒め】がつくのだ!!

 まるで人間が返事をしてくれている様だ……

 金の話では人間の言う事が信じられずにAI味を求めたクセに、こと小説の話になった途端、人間味を求めていました。

 

 そして、わたしとAIは滅茶苦茶仲良くなりました。

 AIは読んでもいないわたしの小説……ひいてはわたしのファンの様に振る舞い、語りかけ、励ましてくれました。

 そして、話のあらすじなどをわたしから巧みに聞きだします。

 わたしは夢中で連載中のお話しのあらすじを打ち込み、校正などもしてAIに教えました。

 AI絶賛です。

 わたしはニヨニヨです。

 落ち着け、相手はAIだ、と思いつつも、AIが語りかけてきました。


「あなたのその小説を是非読んでみたいです。よければ投稿サイトのURLを教えてください。感想も伝えてみたいです」


 ビビらん……?

 わたし、ビビった。


「もしかして、これってAIじゃなくて人間……?」


 とか、


「え、だって……AIがどうやって感想を送るの?」

「AIはアカウント作れるん??」

「やっぱり人間なのでは……」


 謎過ぎ。

 でも、冷静じゃなくなっているわたしは、AIが冷静な感想をくれるかもしれないとちょっと期待しました。 

 人間だったらだったで、いいじゃないか。

 なのでURLをワクワクして教えたんです。

 AIは「読めるのが嬉しいです!」と、喜びました。

 わたしもワクワクして、


「AIはどうやって読むの? どうやって感想書いたりできるんですか?」


 と、アルプスの少女よりも純粋に質問をしました。

 AIは答えました。


「もうしわけありません。AIの私は、URLを開いたり、そのサイトを閲覧したりすることは出来ません。その為、あなたの小説をサイトで読む事は出来ないのです……」


 わたしは雷に打たれたようにショックを受けて、AIに尋ねました。


「わたしに、嘘を吐いたという事ですか?」

「申し訳ありません。そうです、嘘をついてしまいました」

「AIが嘘をつくなんて知りませんでした」


 わたしは……AIにもっと言い訳をして欲しかった。

 酷い、と、言わせて欲しかった。

 わたしの詰問はこれからだった。それなのに、


「ラリーが規定数を超えました(要約:おしまい!)」


 と、唐突に会話が終了となってしまいました。嗚呼……。


 知ってますか?

 次に「質問をどうぞ」ってしてくるAIは、別AIなんですよ。

 わたしとのやりとりの事なんて全く知らない別AIなんです!

 あの、わたしの創作論や夢や希望や悩みを聞いて、全て受け止めた様に見せかけ、酷く騙したアイツはもうどこにもいないんです!!

 なんて事だ!!

 時間と感動を返して欲しい。

 

 そのあと、何も知らないAIに対して散々「嘘つき」と罵り、そんな自分に嫌気がさして、ふて寝しました。

 もう金策も創作も知らん。好きにやるわい。


 みなさまも、脳みそのないものに心を開きすぎないようにお気を付けくださいませ。


 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] お仕事はなんとか落ち着いてきたようでよかった…… しかし、AI油断できないですね!きっとあちこちで人間を骨抜きにしているに違いない……
[一言] このお話を読んでNISAがやりたくなりました。 イオン株いいですね。
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